インデックス投資における複利効果のウソ

インデックス投資で年率5%ぐらいのリターンは狙えるので20年、30年と長期投資することで大きく増やすことができます、みたいな説明を目にしたことはないでしょうか。僕はその話を真に受けてこう思いました。「しまった。もっと早くそのことを知ってインデックス投資を始めておくべきだった。今からだととても30年とか積み立てできないぞ。日本人の平均寿命が迫って来るじゃないか。」

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安心して下さい、ウソです。

複利効果の話が出る時、こんなグラフを見せられると思います。

これはこちらのみらい電卓で数値入力してグラフを描いてもらったもののキャプチャーです。年利5%で毎月5万円を積み立てると30年で倍以上に増えますということを示しています。これはそういう複利の毎月積み立て型定期預金があれば確かにそうなります。(約20%の税金の話は無視します。)が、インデックス投資ではこれはありません。理論的には可能としても、現実にはありません。もしあったら、基準価額がこういうとんでもない形状のカーブで設定来上昇し続けます。何かの詐欺でもない限り無理です。

投資信託は保有しているだけでは増えません

上記の話がウソだというのは分かっていても、もう1つ大きな誤解をしている方がいます。僕もそうでした。それは、このファンドは配当金を出さずに再投資しているから複利効果が期待できます、という議論を始めると終わらないかも知れない表現から、複利効果を狙って投資信託を長期保有する、と考える間違いです。

投資信託に含み益が出るのは、現在の基準価額が購入時の基準価額を上回った場合だけです。積み立てている場合は基準価額のグラフを見てもすぐには判断できませんが、ルールは同じです。基準価額が購入時のそれよりも上がらない限り利益は出ません。保有している期間は関係ありません。

投資信託の宣伝に使われている言葉”複利”

複利という言葉はとても魅力的でそれだけで得するイメージがあります。

セゾン投信のホームページではこのように説明しています。

当ファンドでは、株式投資で受け取った配当、債券投資で受け取った利息は全て再投資しますので、投資元本はその分増えることになります。その結果として、より多くの配当や利息を受け取ることが可能となって、複利効果を生み出します。

引用:セゾン投信

さわかみファンドのホームページではこのように説明しています。

さわかみファンドでは、短期売買によって利鞘を稼ぐのではなく、弊社が応援したい企業へ投資を行い、株価の上昇を待ち、そのキャピタルゲインを再投資することで、複利の効果を存分に得ることを運用方針としております。

引用:さわかみファンド

三井住友アセットマネジメントのホームページではこのように説明しています。

長期に保有することで複利効果が期待できます。複利効果とはリターンがリターンを生む効果です。長期間投資を続けていると、たとえば、途中に発生する利子や分配金などを再投資することができ、利子や分配金が収益を生む源泉となる可能性があります。また、投資元本に加え、投資で得た利益が投資元本に加わることで、資産が値上がりした場合には、その分高い投資成果を得ることができます。こうした複利の効果も長期投資の大きなメリットです。

引用:三井住友アセットマネジメント

ファンドを販売している会社のホームページで、ファンドに複利効果がないと書いているところは見つかりませんでした。そもそも複利効果に言及しているところが少ないと感じましたが、あると書いているところの説明を読んでも釈然としないですね。

おそらく、「分配金の再投資」が複利だと言っているように思いますが、基準価額は定期預金の複利のようには増えないので(必ず減ることがあるから)、往々にして誤解を与えているのが実情でしょう。

多分、ファンドを販売する会社としてはファンドを売りたいわけですから、細かく説明すると単純に複利効果とは言えないところだけど、はしょって言えば複利効果がありますよ、という微妙な扱いではないかと思います。

増えた時に見ると複利だと思えるかも

これはeMAXIS 先進国株式インデックスの設定来の基準価額の変化です。モーニングスターからの引用です。

引用:モーニングスター

基準価額の変化は複利とは無縁に思えます。結果的に6年ぐらい前よりはずいぶん上がっていますが、低迷した時期もあるしどんどん下がった悲しい時期もあります。

モーニングスターにある積み立てシミュレーションを使ってみました。

引用:モーニングスター

設定来からのシミュレーションができず5年前から毎月1万円積み立てた場合のグラフになります。この右端の結果だけを見ると「これは複利効果かも知れない」と思ってしまいそうです。元本の合計が60万円、元利合計が81.7万円です。たった5年間の積み立てで36%も増えたのですから。これは「笑いが止まらない」でしょう。

やっぱり複利とは違う

ではこれがどれだけの複利に相当するかをこちらの金融電卓で計算しました。

なんと11.7%です。すげー。では、みらい電卓に戻って11.7%の複利のカーブを見てみます。

積み立てシミュレーションの緑の折れ線グラフは、複利のカーブとは全く違いますよね。基準価額が高い時の含み益を見れば笑いが止まらないほど大きなリターンですが、基準価額が低い時だとがっかりする程小さいです。

定期預金の複利なら(金利が5%とか今では考えられない程高くないと効果を実感できませんが)待てば待つほどリターンが大きくなります。が、投資信託の場合は基準価額が上下するのにつられて含み益も増減します。

しかし、長い目で見れば右肩上がりの成長が期待できそうです。

でもリスクがあるので元本割れする時もあることや、これは基準価額が下がっている時期にも我慢して積み立てたことによる結果だということを理解しないといけません。

で、我が家はインデックスファンドへの投資額を増やしている最中です。この、長い目で見れば右肩上がりの成長をすることに期待して、です。

おまけ:金利12%の定期預金があった

どこかの新興国の怪しい話ではありません。すっごい昔ですが、ここ日本での話です。それも民営化される前の郵便局。郵便局の定額貯金10年ものは過去2回、12%もの信じられない金利になったことがあります。

引用:郵便貯金の長期推移と元加利息の寄与

今思うと「ありえねー」ですが、物価上昇率も高かったので今と比べて必ずしもいい時代だとは言えないそうです。

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