LLPの決算と確定申告用の雛形を無料公開します

我が家がLLPの決算時と確定申告時に作成したLLP関係の書類の雛形とその使い方についてお話しします。公開する雛形のファイルを使えば割りと簡単にLLPの決算と確定申告を終わらせられると思います。

おことわり

  • ここでは経理用サービスとしてfreeeを使った例を示します。他のサービス等をご利用の方は適宜読み替えて下さい。
  • ここでお話しする内容は我が家で実績のあるものですが、将来にわたって税務署から指摘されないという保証はありません。
  • 雛形のエクセルファイルは自由に改変してご利用頂けますが、転載はご遠慮下さい。

雛形のエクセルファイルはこちら(LLP決算書)です。印刷前にセルを黄色にした塗りつぶしを解除して下さい。

前提

我が家ではfreeeのアカウントを3つ使い分けています。

僕は個人事業主になった初年度から経理にfreeeを使っています。初年度の確定申告はfreeeできちんと記帳していたので楽勝でした。freee...
  • LLP用で1つ。
  • 僕の個人事業用で1つ。
  • 妻の個人事業用で1つ。

合計で年間3万円ほど利用料がかかりますが、その価値は十分あります。LLPの決算と個人事業の確定申告を終えた時(=所得税の申告額がいくらになるか分かった時)に実感できると思います。実感できない場合は、多分、まだ節税の余地があるのではないでしょうか。

僕は自分の経験から個人事業主の方にfreeeをおすすめしています。

ここでは3つのfreeeを使い分けていることを前提にしてお話しします。

LLPの売上と経費を確定する

LLPの法定調書は年明け1月末までに税務署に提出しなければなりません。確定申告よりもずっと早いので注意が必要ですが、1年を通してfreeeを使ってきていたなら楽勝です。次は全てLLP用のfreeeでの処理です。

  • 売上と経費の記入漏れがないことを確認します。
  • 我が家は自宅が事務所なので、水道光熱費、通信費は家事按分をします。
  • 確定申告書の作成を行います。LLPそのものでは確定申告はしませんし、freeeが出力する書類も一切提出しませんが、その帳簿は記録として残しておく必要があります。普通にfreeeを使っていれば問題ありません。
  • freeeが出力した青色申告決算書を見ます。

引用:freeeの出力結果

  • まず売上を見ます。我が家はソフトウエア開発を生業にしていて、②から⑥は0です。そのため①と⑦は同額です。この⑦を後述するエクセルに入力します。
  • 次に経費を見ます。ここから該当する項目を後述するエクセルに入力します。そのエクセルには我が家では発生しない、あるいはfreeeの自動同期の都合上ここに現れるけれども個人事業主の経費に付け替えている(入力し直している)ものはエクセルに項目がありません。必要な方はエクセルを修正してご利用下さい。

このステップではLLPの売上と経費を確定します。この売上と経費をLLPで決めた分配率で2名の組合員に分配します。

分配率を決める

LLPで発生した損益の分配率は組合員の出資比率とするのが標準です。我が家の場合は出資比率が1:1なので僕と妻に同じ比率で分配してもとがめられないものと思われます。そういう制度なのですが、事業への貢献度を無視して出資比率で分配するのはおかしいとも思います。で、LLPでは組合員が話し合って合意できれば分配率を変更することが可能です。これまたLLPの制度で認められた大事な権利です。(内部自治と言います。)

で、我が家は今年年初に行ったLLPの決算で分配率を変更しました。その際、次の書類を作成、印刷して署名しています。

  • 変更、記入するところを黄色にしています。
  • 出資の割合は合計で100%にします。我が家の場合は50%ずつです。
  • 損益分配の割合も合計で100%にします。
  • 損益分配の割合の理由には、「売上への貢献度及び実働時間を考慮して」とか、「年間を通じた事業運営の実績を考慮した結果」とか、後で税務署から尋ねられた際に説明できる内容を書きます。
  • 適用開始の年月日はその年度のLLPの運営開始日を記入します。2年目以降は1月1日です。
  • 作成年月日はその年度末にLLPの損益を分配する前の日付にします。
  • 印刷して組合員全員の署名欄に自筆で署名します。

売上と経費をエクセルに入力する

配布しているエクセルファイルの2シート目に売上と経費を入力します。

このシートに入力した金額が後述するシートに現れます。

有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書を作成する

舌を噛みそうな名称ですね。入力するシートが2枚あります。僕の分と妻の分です。変更、記入が必要なところはセルを黄色にしてあります。

  • 対象期間はその年の1月1日から12月31日です。LLPを設立したのがその年の途中だった場合は調整します。
  • 住所、氏名、事務所の所在地、名称はいいですね。
  • 個人番号とはマイナンバーのことです。
  • 「有限責任事業組合の会計帳簿を作成した組合員」の組合員名は2シートで同じ名前にします。
  • 作成日はいいですね。
  • 組合事業の内容は適切なものを記入して下さい。
  • 出資の価額の欄は出資金の金額を記入します。我が家は10万円ずつです。
  • 交付年月日は対象年の最終日でいいでしょう。
  • 損益分配割合は2シートの合計が100%になるようにします。この比率で売上と経費に関連したセルの金額が変わります。
  • このシートに押印するところはありません。
  • 我が家の事業には負債はありません。あった場合の処理は分かりません。簡単ではないはずです。負債が出る事業をされている方はご自分で調べて下さい。

妻のシートも要領は同じです。会計帳簿を作成した組合員の名前は、1シート目のそれと同じにするところだけ注意して下さい。

入力できたら2シートを印刷します。

有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書合計表を作成する

これも変更、記入が必要なところはセルを黄色にしてあります。

  • 入力に困るところはないと思います。
  • 金額は組合員別のシートを参照するので組合員が2名だけの場合は変更不要です。
  • 印刷して「有限責任事業組合の会計帳簿を作成した組合員」の組合員名の右に押印します。このシートで押印するのはそこだけです。(左上の○は税務署用です。)

マイナンバーカードのコピーをとる

組合員全員のマイナンバーカードのコピー(両面)をとります。各組合員の確定申告でも必要なので2部ずつ作っておくといいでしょう。

確定申告時にはこちらにある方法でいいのですが、LLPの法定調書提出時にマイナンバーカードのコピーを貼る台紙が見当たらなかったので僕はコピーをそのまま同封しました。

書類をまとめて税務署に郵送する

1月末までに提出となっているので間に合うように郵送します。必要な書類は次の通りです。

  • 有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書が2名分。
  • 有限責任事業組合等に係る組合員所得に関する計算書合計表。
  • 損益分配率が出資金の比率でない場合は組合員の損益分配の割合に関する書面。
  • 組合員全員分のマイナンバーカードのコピー。

作成した書類は控えとしてコピーをとっておくのがいいでしょう。(確定申告の場合は控えと返信用封筒を同封すると控えに押印して送り返してくれるのですが、このLLPの法定調書についてはそういう対応をしてくれるのかどうか分かりません。)

これで1月末までにすべきことは完了です。次は3月15日までに行う確定申告です。我が家は前回の確定申告では2月15日に郵便局で出しました。freeeをしっかり使っていたので、LLPの決算が終わればもう組合員の確定申告もすんなり終わります。確定申告の時期は憂鬱だと良く聞きますが、それは日頃から経理処理していない人のことでしょう。(その経理処理にかかる手間を、freeeなどの自動同期機能を備えた会計サービスは激減させてくれます。)

確定申告書を作成する

12月31日にLLPから売上がいくら、経費がいくらと2名の組合員に分配されました。これを各組合員の個人事業用のfreeeに入力します。経費もまとめて1件でいいです。

  • 売上は収入、勘定科目は売上にします。
  • 経費は支出、勘定科目は売上にして、品目に「経費」と書きました。

我が家のfreeeの画面ではこんな感じになります。

あとは一般の個人事業の確定申告時と変わりません。freeeの確定申告書作成機能は秀逸なのでガイダンス通りにすればいいです。(これまで2回freeeで確定申告書を作成していますが、2回目は1回目よりも機能が改善されていました。)ただし、自分でいろいろと工夫して節税してきた努力が確定申告書に反映されないと意味がありません。ここで必要な記入を逃したりしないようにするには、確定申告書の控除欄の内容が想定通りかを判断できることが求められます。決して難しいことではなくて、所得控除の対象は何か、青色申告特別控除はどこに確定申告書の現れるのかなど要点だけ押さえておけば大丈夫です。

確定申告書を印刷後、青色申告決算書のタイトルの上に手書きでLLPの名称を括弧付きで記入します。

引用:有限責任事業組合の組合事業に係る所得に関する計算書の説明書(税務署作成)

有限責任事業組合の組合事業に係る所得に関する計算書を作成する

  • 印刷後、組合員氏名の右に押印します。
  • 「組合事業から生じた各所得の内訳」の営業等の欄に、LLPから分配した売上と経費を記入します。必要な他のセルに自動で反映されます。
  • 丸囲み数字13のところは出資金額です。このシートは損失を考慮していませんので、損失がある場合は個別に対応して下さい。

組合員2名がそれぞれ作成、印刷、押印します。「入力」シートに提出用と控え用の選択肢がありますので、それを切り替えてから印刷して下さい。

書類をまとめて税務署に郵送する

一般の個人事業の確定申告の場合に加えて次の書類を同封します。なお、青色申告決算書のタイトルの上に手書きでLLPの名称を括弧付きで記入するのをお忘れなく。

  • 有限責任事業組合の組合事業に係る所得に関する計算書
  • (これはLLPと関係なく必要ですが)マイナンバーカードのコピー(両面)

有限責任事業組合の組合事業に係る所得に関する計算書は控えを同封したら、受領印を押して返送してくれました。確定申告書の控えに受領印を押し返信してもらうチャンスは確定申告時に1回しかないので逃さないようにしましょう。この控えは見た目以上の効力を発揮することがあります。また、返信用封筒に貼る切手は92円にしましょう。25gを超えることがあります。

なお、僕はe-Taxの利用はおすすめしません。もう利用している場合は別ですが、新たに使い始める必要はないと思っています。それについては別の機会にお話しするつもりです。

個人事業主にとって確定申告書の作成、提出は1年間の事業活動と節税の総仕上げです。我が家はfreeeを使って経理処理にかかる手間を大幅に削減し...

備えあれば憂いなし

準備をしておけばLLPの決算も組合員の確定申告も大したことはありません。それらにかかる手間は、LLPによる大きな節税効果から見れば屁みたいなものです。個人事業の確定申告に苦労していないのであれば、LLPを構成しても大して苦労は増えないでしょう。代わりに大きな節税効果を手にできます。LLPという制度を活用することで可能になるのです。



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コメント

  1. kaneko より:

    はじめまして。昨年LLPを設立し決算の準備をしている者です。LLPに関する情報は少なく、こちらのサイトを参考にさせていただきました。一つ質問があるのですが、決算の際に財務諸表を作る必要がありますが、河童さんの場合はFreeeで作成されているのでしょうか?FreeeはLLPに対応していないとのことですが、それは損益の分配方法(総額方式、中間方式、純額方式)や貸借対照表の累計利益金などでしょうか?提出の必要がないということもあるせいか、国税庁などの情報もあいまいで、具体的にどのような形で作成するべきなのかがわからず、情報を探しています。もしアドバイスなどをいただけましたら非常に助かります。ちなみにFreeeは使っておらず、導入するべきか検討中です。

    • 河童 より:

      コメントありがとうございます。
      まずfreeeがLLPに対応していないというのは、freeeにはLLPという概念がなく、LLP固有の書類を一切扱えないということです。
      また、LLPの決算で必要な書類のうち、提出を求められているものは一応はっきりしていて、それはこの記事の手順に出てくるとおりです。
      提出の必要がないものの保存が必要という各種記録は、freeeで日頃から入力しているデータになります。3つのfreeeアカウントを使い分けています。

      https://secrets2mysuccess.net/2017/10/09/post-154/

      確定申告のことを考えると支援ツールを使うべきで、そのコストはすぐに回収できます。僕はfreeeしか知らないのでfreeeを推奨していますが、その出来、使いやすさにはとても満足しています。