配偶者が個人事業主の場合の税額計算

このブログは個人事業主向けなので、世帯主は個人事業主、配偶者も個人事業主の場合の税額計算について考えます。

ここに出てくるのは僕の理解であって、間違っている可能性も十分あります。見過ごせない間違いがありましたら根拠と共にご指摘頂けると幸いです。

試せるエクセル作りました

配偶者の税額計算方法を試して学べるエクセルを作りました。ファイルはこちら(配偶者の税額計算)です。

赤枠のところに金額を入れればいいようにしてあります。では順番に見ていきましょう。

売上

「河童プロジェクト②」とありますが、これは夫婦で構成したLLPから分配されたもの、という前提にしているためです。LLPではなくて配偶者の個人事業の売上でも構いません。(LLPから分配された売上は、確定申告時には個人事業の売上と区別されません。)

経費

個人事業主が経費として売上から控除できるのは次の3つです。

  • 必要経費
  • 昨年支払った個人事業税
  • 経営セーフティ共済の掛金

必要経費

ここでは「河童プロジェクト②」としていますが、これはLLPから分配されたものです。夫婦でLLPを構成した場合に、LLPから分配される経費以外に、配偶者の個人事業でも経費が発生すると思いますが、ここでは省略しています。(例えば個人事業用のfreeeの利用料がそれに該当します。)

売上同様、LLPを構成していない場合は個人事業の経費と読み替えて下さい。

昨年支払った事業税

これは経費扱いされます。

経営セーフティ共済の掛金

全額経費扱いされますが、使いにくさがあるので注意が必要です。

個人事業主が節税に使える手段として「経営セーフティ共済」も良く目にします。これは僕から見るとバランスの悪い制度で使い方が難しいです。でも我が...

給与収入

配偶者がパートなどの給与収入がある場合、ここに金額を入力します。個人事業主はパートで働いてはいけないという規則はないので、正社員で副業禁止でもない限り働き方は自由です。ここは青色専従者と大きく違っています。

個人事業主の配偶者を青色専従者とすることで節税させてくれるという、僕には個人事業主の税負担を軽減するための(少しは軽減してあげるから我慢して...

各種控除

このエクセルは配偶者用なので次の2つにしてあります。

  • 基礎控除
  • 青色申告特別控除

基礎控除

所得税は38万円、住民税は33万円です。

青色申告特別控除

65万円です。事業所得のある個人事業主がこの控除を利用するための条件は2つです。

  • 所得税の青色申告承認申請書を提出している。
  • 収入・支出の記帳方法と確定申告書類の作成方法が青色申告の要件を満たしている。

前者は書類を1枚提出するだけです。たいていは開業届と一緒に提出すると思います。後者はfreeeなどの青色申告対応のサービスやソフトを利用すれば大丈夫です。

もし個人事業主なのに青色申告特別控除を利用していないとしたら、今すぐ考えを改めて行動しましょう。

小規模企業共済等掛金控除

これに該当するものが2つあります。

小規模企業共済等掛金

これは使いやすく個人事業主必須の制度です。年間最大84万円まで拠出できます。

小規模企業共済は個人事業主にとってメリットの大きい制度です。最大月額7万円、年間84万円を積み立てることができ、全額所得控除の対象です。所得...

個人型確定拠出年金

これもメリットの多い制度ですが、配偶者が利用する場合その掛金を世帯主が拠出することはできません。そして年間最大81.6万円拠出できるのですが、国民年金基金と併用する場合は、両方の合計が年間81.6万円以下にする必要があります。

我が家はLLPを設立する前に妻が国民年金基金を利用し始めたため、また国民年金基金にもメリットはあるとの判断で、妻は個人型確定拠出年金を積み立てていません。

世帯としては、配偶者が国民年金基金と個人型確定拠出年金のどちらを選択しても、あるいは併用して利用しても、最大所得控除可能額はほぼ同じです。

所得とは

所得=売上ー経費です。給与収入がある場合はこれに加算します。

課税所得とは

課税所得=所得ー所得控除です。所得控除は次の4つです。

青色申告特別控除の65万円も大きいですが、小規模企業共済の84万円(拠出すれば、ですが)はとても大きいです。これらの合計は187万円にもなります。控除額合計欄を見て下さい。所得からこれだけの金額を控除できるのです。

配偶者なのになんで、と思うのは間違いです。配偶者であってもひとりの個人であり個人事業主なのです。

税額

所得税と住民税は計算方法が異なります。ここでは住民税の均等割4000円がありますが、住んでいる地域で変わります。また計算式上必ず4000円が存在していますがそこはご愛嬌ということで。

事業税は所得控除が一律290万円です。売上ー経費が290万円を超えていた分に5%課税されます。なお青色申告特別控除は事業税には適用されません。

税法上の合計所得

これは配偶者控除額の算出基準となる「配偶者の合計所得」のことです。僕の理解は、売上ー経費ー青色申告特別控除+(給与所得ー65万円)です。最後の65万円は給与所得控除で、給与所得がある場合のみ有効です。(給与所得ー65万円)が負になる場合は0とします。

配偶者の合計所得が38万円以下なら世帯主は配偶者控除(38万円)が使えます。38万円を超えると配偶者特別控除となり、配偶者の合計所得が38万円を超えた額に応じて控除額が減ります。(2018年度からは変更になりますが、それについては別の機会に。)

引用:国税庁

この38万円を超えたら、というのが誤解・議論の多い103万円の壁の元になっています。個人事業主の配偶者の場合はこの壁を気にしなくていいです。世帯としての税額が、あるいは課税率が配偶者の所得でどう変わるかは把握すべきですが、壁を気にして働くのを制限するのは得策ではないです。

ここで、確定申告で大事なのは「配偶者の合計所得金額」です。次は確定申告Bの抜粋です。

この金額で世帯主の「配偶者控除」または「配偶者特別控除」の額が決まります。この金額は世帯主が自分で記入します。その元となるのは配偶者の確定申告書になりますが、正しく計算できないと適切に控除できません。

その前に、そもそも働き方を制限したり、売上を制限したりしていないでしょうか。これだけ売上があると税額がこうなるからこの程度にしておこうと、計算した上の判断ならいいですが、計算しないで想像や感覚で行動を制限すべきではありません。

個人事業主の配偶者の可能性

女性の社会進出とか働き方の改革とかが話題になりますが、世帯主が個人事業主の場合、その配偶者には大きな可能性があります。

  • 専業主婦なら青色専従者になって世帯主の事業を助け、節税することもできます。
  • 配偶者も個人事業主になって自分の事業を運営することもできます。税負担を増やすことなくかなりの所得を得ることが可能です。
  • 配偶者が単独で個人事業を営み売上を得るのが難しい場合、夫婦でLLPを設立して配偶者が世帯主の事業をベースとしたLLPの運営に参加することも可能です。この場合はLLPで認められている損益分配により大きな節税効果が期待できます。

行動しなければ変わりません。

LLP(有限責任事業組合)は、条件を満たせば、個人事業主にとってメリットの大きな制度です。特に夫婦でLLPを構成した時の節税効果は破壊的です...

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