LLPの損益分配率についてまとめました

LLPの損益(売上ー経費)はLLP自体には課税されず、それを分配した組合員に課税されます。これはパススルー課税と言われます。この時の分配率については様々な見解があります。

本ブログでは個人事業主のみなさんに夫婦でLLPを構成することをおすすめしています。そして我が家のLLPでの分配率の扱いについて具体例をあげてお話ししています。その根拠、どうしてそれで良いと思っているかをまとめました。

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出資額の比率で分配するのが基本です

これは間違いないのですが、この制度を悪用あるいは恣意的に解釈して過度な節税を行うことが懸念されるようです。

たとえばこういうケースです。

  • 法人組合員AはLLP以外の事業が好調で大きな利益をあげています。
  • 法人組合員BはLLP以外の事業が不調で大きな損失を出しています。
  • 出資金比率を組合員Aを1、組合員Bを99としてLLPを設立しました。
  • LLPでそれなりに大きな利益が出ましたが、その99%が組合員Bに分配されました。
  • LLPの組合員は、組合員の事業の損益とLLPから分配された損益を通算できるため、結果的に組合員Bは課税対象額を大きく減らすことができます。(損失の扱いには制限がありますが、ここでは割愛します。)

これを「利益の付け替え」と表現するようです。明らかに不自然な出資金比率である点が恣意的と見なされるわけです。

LLPをこのように利用すると、経済的合理性を欠くと判断されて課税額を訂正される可能性があります。でもこれは個人事業主の夫婦が構成するLLPには当てはめにくいでしょう。少なくとも僕が想定している読者の方からはほど遠いケースです。

出資金の比率が妥当ならそれで分配しておとがめなしか

出資金の比率が妥当かどうかの判断には明確な基準がないため、問題になった時に個々のケースで議論するしかないです。では夫婦でLLPを構成する時に出資金の比率を1:1にしたら、無条件で損益を1:1で分配して問題にならないのでしょうか。

僕の結論は「なりません」です。それはLLPの制度で認められていることであり、かつ、夫婦で出資金の比率が1:1であることに経済的合理性を欠くとは言えないからです。

が、こういう見方もできます。世間一般の概念として働き相応の利益が与えられるべきであり、配偶者がほとんどLLPの事業に参加していないのに出資金の比率が1:1だからLLPから利益の半分を分配してもらっていいのかと。そしてこれが結果的に節税につながっている時に問題とされはしないかと。

出資だけでして働かないのはダメです

LLPの組合員には業務執行が義務付けられています。

問21.LLPの業務執行はどのように行うのか。

(答)
1.LLPの組合員は、全員が業務を執行する権利を有し、義務を負います。すなわち、組合員は何らかの形で、業務執行を行うことが必要です。
2.業務執行に関しては、マーケティング担当、財務担当など、分担をすることは可能ですが、業務執行の全部を他の組合員に委任することはできません。

引用:LLPに関する40の質問と40の答え

その理由をこう説明しています。

問22.なぜLLPの組合員は業務執行に参加しなければならないのか。
(出資のみの組合員はなぜ排除されるのか。)

(答)
1.LLPでは、組合契約に基づき、組合員全員がそれぞれの個性や能力を活かしつつ、共通の目的に向かって主体的に組合事業に参画するという制度のニーズに基づいて導入した制度です。このため、組合員全員の業務執行への参加を義務付ける規定を導入することとしています。
2.なお、こうした組合員への業務執行への義務付けや重要な意思決定への総組合員の同意(問20.参照)は、損失の取込だけを狙った租税回避目的の悪用を防ぐ効果もあります。

引用:LLPに関する40の質問と40の答え

そのため、出資はしたが働かなかった配偶者に利益を分配することはできません。それに、LLPを構成するのは参加した組合員に働いてもらい、LLPとして(そうしない場合よりも)効果的な経済活動をするためです。

では働きさえすれば出資金の比率で分配していいのか

僕の結論は「いいですが、説明できる比率にしましょう」です。もし税務署から問題だと見なされる時は、その分配率に経済的合理性があるかどうかが議論になると思います。それには明確な判断基準がないので税務署も「ダメ」とは言い切れません。でも税務署に問題視されない方がいいし、もし「お尋ね」された場合に説明できるようにしておいた方がいいです。

それで我が家では出資金の比率は1:1ですが、次の要素を考慮して利益の分配率を決めています。

  • 事業(売上)への貢献度。
  • 実働時間。
  • 有形無形の能力発揮。
  • できあがりの課税額が夫婦間で不自然でないか。

分配率は変更できます

LLPの制度で僕が一番柔軟性があると思うのがこれです。

問25.柔軟な損益分配はどのように行うのか。

(答)
1.民法組合では、出資比率と異なる損益分配が可能であり、民法組合の特例制度であるLLPにおいても、同様に柔軟な損益分配が可能です。
(損益分配の取り決めをしない場合は、出資比率にしたがって損益を分配します。)

引用:LLPに関する40の質問と40の答え

これも恣意的に使うと過度な節税につながるため、様々な意見があります。経済産業省の見解を紹介した文章を見つけました。

・・・出資比率と異なる損益分配割合について「税務上の観点からみて合理的な範囲内であれば認められる」としつつも「ケース・バイ・ケースで判断されると考えて」いると発言されている。
しかし、ケース・バイ・ケースと言われても納税者としては非常に悩むという阿部氏の発言に対しては、「全く基準がないのでは困るという声も強いと認識しております。そこは制度の利用状況を見ながらということになるのではないかと思います」と発言されており、損益分配割合が経済的合理性を有するかについて何らかの判断基準が必要であるとの認識を示しているが、その後具体的な判断基準となるような規定や通達は経済産業省から出されていない。

また、各組合員の人的資源の貢献について、「例えば、組合員の知的な貢献についてどのように考えているかということを個別に判断しながら決めていく」と発言しているが、具体的な判断基準についての見解は示されていない。

引用:我が国における LLP の損益分配割合に関する一考察 岡田 好未

完璧な制度なんて存在しないし、LLPは日本で始まってから日が浅い(まだ12年程度)ので運用上問題があっても不思議ではありません。

そしてこの制度を恣意的に利用して次のことを行うと、税務署から問題を指摘される可能性が高いと思われます。

  • 利益を損失と通算することで課税対象額を大幅に減らす。
  • 経済的合理性を欠く比率で分配する。

我が家のLLPではこうしています。

  • 損失と通算していません。(損失が出る事業をしていません。)
  • 経済的合理性を欠くのではと疑われるような分配をしていません。

また、妻にもLLPの事業に参加してもらい、働いてもらっています。分配した利益の額について妥当かどうかの判断は我が家にしかできないことですが、「説明可能」です。なので全く問題ありません。

分配率によって税額がどう変わるか資産するエクセルを公開しています。

夫婦でLLPを運営した場合に、LLPからの損益分配によって世帯としての税額がどう変わるか試算するエクセルを公開します。夫婦でLLPを構成した...

節税効果は制度上のメリットです

夫婦でLLPを構成するのをおすすめする理由です。

  • 大きな節税効果が期待できる。
  • 配偶者に効率よく事業に参加してもらえることにはメリットが多い。

どちらもLLPの制度を適切に利用することで得られます。後ろめたいところありません。

国に認められた制度を活用して節税できるのです。どんどん活用しましょう。

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コメント

  1. 茶々丸 より:

    非常に興味津々で勉強になります。参考にさせていただきLLP検討してみます!

  2. 河童 より:

    我が国の制度なので最大限活用しましょう。