2023年10月以降も免税事業者でいられますか?

個人事業主のみなさん、消費税はどうされていますでしょうか。現在課税事業者で、今後もその見込みでしたらこの記事は読む価値はありません。

現在非課税事業者または今後非課税事業者に戻ると思われる方は要注意です。

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個人事業主が消費税の免税事業者でいられる条件

今年免税事業者であるかどうかを決める条件が2つあります。

  • 2年前の年間の課税売上高が1,000万円以下であり、かつ、
  • 1年前の1月1日から6月30日までの課税売上高が1,000万円以下である。

一度この条件を満たせなくて課税事業者になると、今年の課税売上高に関わらず翌年も課税事業者です。翌々年は、上記条件を満たせば非課税事業者に戻れます。

当然ですが、消費税の非課税事業者と課税事業者では利益に差が出ます。売上が1,000万円を少し超えるだけよりは、1,000万円には少し余裕がある方がお得なのは間違いありません。

免税事業者が消費税を請求していいのか

これは全く問題ありません。例えば僕がある案件を100万円で請け負う場合、見積書、請求書には開発費100万円+消費税8万円の総額108万円と記載します。免税事業者なので8万円は僕の売上の一部になります。確定申告においては108万円の内訳は出て来ません。言葉の響きは悪いですが「益税」です。

個人事業主(フリーランス)のソフトウエア開発者と契約する会社の中には、消費税が導入されてから28年にもなろうというのにいまだに内税と称して消費税を払っていないところがあります。ソフトウエア開発の現場では一般的に人月という工数単位に対していくらという単価が存在します。個人や組織あるいは顧客によってまちまちですが、本来ならその単価×工数+消費税が売上になります。が、前記消費税を払わない会社の場合単価を変えずに内税です、と言っているのです。その会社はソフトウエア開発案件を受注した顧客からは8%の消費税をもらっています。そして、内税と称して実際に仕事を外注したフリーランスには払っていない消費税分を国庫に納税しません。その分会社の利益になります。

幸い現在僕がお付き合いさせて頂いている(仕事を発注して頂いている)ソフトウエア開発会社はきちんとしているので、もちろん消費税はもらっています。

現在の消費税の流れ

我が家ではLLPとして案件を受注します。LLP自体には課税されないためLLPが消費税を払うとか、免税LLPとか課税LLPとかいう概念もありません。が、ここでは河童プロジェクトLLPとソフトウエア開発会社との間でのお金のやりとりに着目して説明します。

仮に次の内容の案件を受注したとします。

  • 河童プロジェクトLLPは開発費120万円+消費税8%で請け負います。
  • ソフトウエア開発会社は様々な条件を考慮した結果、顧客から開発費200万円+消費税8%で受注します。

この場合、現在だと消費税は次のように扱われます。

河童プロジェクトLLPは開発費の消費税8%分である96,000円を益税として売上の一部にできます。これは日本の税制上認められています。

ソフトウエア開発会社は顧客から預かった消費税16万円から河童プロジェクトLLPに払った消費税を引いた額を納税します。ソフトウエア開発会社は消費税について損も得もしません。

2019年10月から2023年9月まで

2019年10月にはついに消費税が10%になり、同時に軽減税率が導入されます。この軽減税率の導入のために「インボイス方式」が導入されることになっていますが、実施時期は2023年10月です。そのため、消費税が10%になっても2023年9月までは現在のやり方が通用します。

次の表は消費税を10%にしただけで、お金の流れは現在のままです。開発費は同じでソフトウエア開発会社の取り分も同じですが、河童プロジェクトLLPの益税が、消費税が2ポイント上がった分高くなっています。つまり、消費税の増税分我が家のLLPの売上が増えます。

そもそも河童プロジェクトLLPには「仕入れ」が限りなく存在しません。その案件専用の機材などを購入することはありますが、それは仕入れでなくて経費です。そのため軽減税率とも無縁です。

2023年10月から

インボイス方式が実施されると、免税事業者はインボイスを発行できません。従来の請求書は発行できますが、消費税額を明記できません。インボイスには消費税額を書けます。河童プロジェクトLLPは免税事業者であり続けたいのですが、それだとインボイスを発行できず、請求書には消費税額を書けません。でも消費税10%分は当然欲しいので、開発費を10%増やします。請求書にそう明記できないのですが、内税のようなものです。

河童プロジェクトLLPがそういう形式で請求するのは問題ありません。が、その場合ソフトウエア開発会社は河童プロジェクトLLPに消費税を払っていることにできないため、顧客から預かった消費税を全額納税しなければなりません。それはソフトウエア開発会社の取り分を減らす結果になります。

このため世間では、2023年10月からは免税事業者との取引は敬遠されると考えられています。インボイスが発行できるのは課税事業者だけで、登録制であるため免税事業者とは明確に区別されます。これまでも何かと不利な立場であることが多かった下請け業者にとってインボイス方式の導入は大きなリスクです。仕事の発注元が免税事業者との取引を避けることは想像に難くありません。

6年間は緩和策があります

2023年10月にインボイス方式が開始されても、そこから3年間は請求書にある消費税額の80%、その後の3年間は50%を、従来通り支払った消費税として控除できる緩和策が提示されています。でも課税事業者がインボイスを発行すれば消費税を100%控除できるので、発注元が非課税事業者を敬遠することは間違いないと思われます。

個人事業主に残された選択肢

一般的には2つあります。

消費税の課税事業者になる

売上が1,000万円以下でも課税事業者になれます。そうするとインボイスを発行できるので消費税を請求できます。が、消費税は納税しないといけないので、もともと仕入れがない、つまり仕入れ時に消費税を払っていない事業の場合には手間が増えるだけです。でも免税事業者のままだと仕事を発注されなくなる場合はやむなく課税事業者になるのでしょうか。

これは影響が大きい問題なのでインボイス方式の実施時期が近付くにつれて議論が増えると思います。

消費税を含まない金額を請求する

従来の請求書には消費税額を明示できません。そのため本体価格に消費税分を加算して請求したいのですが、そうすると発注元の費用負担が増えるため仕事を発注してくれなくなるリスクがあります。そこで泣く泣く消費税を含まない金額を請求します。仕入れが実際にある場合は厳しいですね。

仕入れがない河童プロジェクトLLPの場合は、目当てにしていた消費税分売上が下がります。免税事業者なんだから本来はこうあるべきだろ、と言われる気持ちも分かりますが、長年享受してきた特典を失うのは誰だってうれしくありません。

我が家のLLPの選択肢

現在メインでお付き合いさせてもらっているソフトウエア開発会社は、河童プロジェクトLLPに発注した案件で十分な利益を上げているようです。そのため2023年10月以降も現在の請求書の形式のまま消費税額を10%にしたので通るのではないかと思っています。メインでないところはきっと嫌がると思いますが、2023年10月にはもうメインでお付き合いさせてもらっているところだけでいいかなという気がします。

未来は予測できないのでその時になってみないと分からないですけども。

ちなみに、僕は2025年までは現役で今と変わらない働き方をしたいと思っています。

本当にこのまま実施されるかは大いに疑問

軽減税率の導入にはインボイス方式が必須というのは理解できますが、次の制約は売上が1,000万円以下の個人事業主や小規模事業者にはインパクトが大きいです。

  • 免税事業者はインボイスを発行できない。
  • 消費税を請求できるのはインボイスだけ。従来の請求書ではできない。

平成28年度の税制改正大綱には次の記述があります。

軽減税率制度の円滑な運用及び適正な課税の確保の観点から、中小・小規
模事業者の経営の高度化を促進しつつ、軽減税率制度の導入後3年以内を目
途に、適格請求書等保存方式(インボイス制度)導入に係る事業者の準備状
況及び事業者取引への影響の可能性、軽減税率制度導入による簡易課税制度
への影響、経過措置の適用状況などを検証し、必要と認められるときは、そ
の結果に基づいて法制上の措置その他必要な措置を講ずる。

全員が納得できる完璧な制度は存在しないのでどこかに妥協が必要です。このインボイス方式がどうなるかは我が家にとっても大きな話なので動向に注意していきます。

我が家がLLPを設立した理由の1つは

消費税の非課税事業者でいるためです。LLPの売上は僕と妻に分配されるため1,000万を少々超えたとしても僕と妻の個人事業で見ると売上を1,000万以下にできます。

LLP(有限責任事業組合)は、条件を満たせば、個人事業主にとってメリットの大きな制度です。特に夫婦でLLPを構成した時の節税効果は破壊的です...

我が家のLLPの売上はまだ1,000万円には余裕がありますが、案件が重なった忙しい年には超えてしまうかも知れません。そうなってもいいように(それでも非課税事業者でいられるように)するのが、LLPを設立した1つの理由です。

LLPはインボイス発行できるのか

課税事業者が登録することで初めてインボイスを発行できるようになるのですが、ではLLPはどうなるのでしょうか。調べたのですが分かりませんでした。そもそもLLPには課税されないし、そこに参加している個人や法人で決めるのでしょうか。LLPのパススルー課税とは相容れない気がしますね。これも今後の動向に注目します。

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