毎営業日積み立ての効果を検証しました(前編):あのレポートとは真逆の結果です

次のレポートをご覧になった方も多いと思います。

 投資信託の積立投資は毎月など機械的に買い付けていくので、高値づかみのリスクを減らす効果がある。であるならばいっそのこと、毎日積み立てるのが得策のようにも感じるが、実際のところどうなのか。データを検証してみると、意外にも毎月と毎日では積み…

このレポートでは「リターンは毎日も毎月も差がない」と結論付けています。そして計算上は毎日積み立ての方が毎月積み立てよりわずかながらリターンが高いとあります。

これに疑問を持った訳ではないのですが、自分でも検証してみたところ真逆の結果となり驚いています。毎営業日積み立てをしている人は今すぐ見直した方がいいです。

今回は前編です。

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比較方法

毎営業日積み立ての効果を検証したかったので、毎営業日積み立てた場合と、毎営業日あたりの積立額×各月の営業日日数分を月初に積み立てた場合のリターンの差をシミュレーションすることにしました。実際には毎月積み立ては毎月同額積み立てるものであり、各月の営業日日数は気にしませんが、それだと投資総額が異なってしまうためあえて毎営業日積み立てと毎月積み立てで毎月の投資額が同じになるようにしたのです。

手始めにeMAXIS 先進国株式インデックスをサンプルに選びました。すると毎月積み立ての方がリターンが高くなりました。それであのレポートをよく読むと次のように書いてありました。

レポートの注釈

引用:積立投資に驚きの結果 購入頻度でリターンに大差なし

関係するところを抽出するとこうです。

  • 「毎日」は毎営業日と休日分を翌営業日に購入します。これはSBI証券、松井証券の毎営業日積み立てとは違う方法です。カブドットコム証券、マネックス証券の毎日積み立てに相当します。
  • 「毎月」は月末営業日に購入します。「毎日」は月の日数分がその月の投資額になりますが、「毎月」の投資額は明記されていません。
  • 2012年4月末から2017年4月末の5年間でリターンの差を比較。

「毎月」は月末営業日に積み立てますが、計算期間が2012年4月末からなので、

  • 「毎月」は先にひと月分まとめて積み立て。
  • 「毎日」はひと月分をひと月かけて積み立て。

していると理解しました。なお、「毎日」はSBI証券の毎営業日積み立ての仕様としました。また、僕のシミュレーションは次のように条件が微妙に異なります。

  • 毎営業日に1,000円を積み立て。
  • 月初営業日にその月の営業日日数×1,000円を積み立て。
  • 2012年5月1日から2017年4月28日の5年間でリターンの差を比較。
  • リターンの差は月末営業日に算出。

eMAXIS 先進国株式インデックスの場合

赤は毎営業日積み立ての評価額、緑は毎月積み立ての評価額、青はリターンの差です。リターンの差は月末のみのプロットです。積み立て期間は5年です。

eMAXIS 先進国株式インデックスの場合

緑が赤の上にあるのは毎月積み立ての方がリターンが高いことを示しています。青のラインがその様子を明確に語っています。積み立て当初は毎営業日積み立ての方が有利ですが、数ヶ月後に逆転し、時間の経過とともに1%未満程度に収束してます。

積み立て期間7年では

積み立て期間7年

毎月積み立ての方が0.5%リターンが高いです。青のラインの変化にも注意して下さい。積み立て期間が短いと安定しません。

積み立て期間3年では

積み立て期間3年

毎営業日積み立ての方がリターンが高いです。どうしてそうなったかは基準価額の変化に鍵があります。

基準価額の変化

基準価額の下降局面では月初にひと月分積み立てるより、毎営業日に積み立てた方が安く購入できるので平均取得価額が下がります。これは真実であり、このシミュレーションのキモです。

疑似データによる検証

2012年5月1日から2017年4月28日の5年間で基準価額が幾何学的に変わる疑似データを使ってシミュレーション方法を検証します。

基準価額がリニアに増え続ける場合

もしも毎営業日基準価額が10円増える夢のようなインデックスファンドがあったら、です。

基準価額がリニアに増え続ける場合

当然ひと月分を月初に積み立てる方が有利です。青のラインがうねるのは営業日の数が月によって変わるためです。

積み立て比較

基準価額が必ず毎営業日上がることが分かっているなら一括投資が一番儲かります。でも基準価額は変動しますので、高掴みを避けることができることもあって積み立てが推奨されます。(これは一括投資 vs 積み立て投資を議論する記事でありません。)では毎月積み立てと毎営業日積み立てを比べた場合、早く投資した方が有利なのは変わらないので毎月積み立ての方がリターンは大きくなります。これは当然です。

基準価額がリニアに下がり続ける場合

もしも毎営業日基準価額が10円減る悪夢のようなインデックスファンドがあったら、です。

基準価額がリニアに下がり続ける場合

そんなクソファンドに積み立てし続けるわけない?でも「ほったらかし投資」を勧められてそれを信じて5年間ほったらかしにする人はいるかも知れませんよ。

積み立て比較

この場合は後から買うほうが安く買えるので、毎営業日積み立ての方がリターンが高くなります。(リターンはともにマイナスですけどね。)

変動するけど右肩上がりで成長する場合

変動はするものの毎月初で見ると必ず先月よりも基準価額が上がっている場合です。

変動するけど右肩上がりで成長する場合

この場合も毎月積み立ての方がリターンが高くなります。

積み立て比較

結論:景気後退時以外は毎月積み立てが有利です

基準価額が変動しながらも全体としては右肩上がりで上昇する場合は毎営業日積み立てよりも毎月積み立ての方がリターンが高くなります。毎営業日積み立てが有利なのは景気後退により基準価額が下降傾向にある時か変動するけど全体として上がって行かない停滞期です。

「毎営業日積み立てが究極のドルコスト平均法である」というのは間違いだとは言いませんが、それは「毎営業日積み立ては毎月積み立てよりも有利である」ことを指していません。SBI証券は毎営業日積み立てを「究極の時間分散投資」と表現しています。間違ってはいませんが、そこから受けるイメージと現実にはギャップがあります。

みなさんがインデックス投資をするのは、基準価額は上げ下げがあっても全体的には、長い目で見れば右肩上がりに成長するからですよね。右肩上がりに成長するなら、毎月初の基準価額の変化を見た場合、前月よりも今月の方が上がっていることの方が多いと思いませんか。そうでないと右肩上がりにならないでしょう。その場合、疑似データによるシミュレーション結果が示すように、毎月積み立ての方が有利です。

驚きの結果です。これは僕もそこそこ苦労してシミュレーション用のプログラムを書いて確認するまで知らなかったことです。

後編ではポピュラーなインデックスファンドの実績データを使って検証します。

これは次の記事の続きです。 後編ではポピュラーなインデックスファンドの実績データを使って、毎月積み立てと毎営業日積み立てのどち...

おことわり

僕のシミュレーション方法はNIKKEI STYLEのレポートで使われたものと異なりますから、NIKKEI STYLEのレポートのシミュレーション結果の正しさについては一切評価・言及しません。僕が「景気後退時以外は毎月積み立てが有利」と結論付けているのは、あくまで僕のシミュレーション方法による結果からの判断です。

また、シミュレーション結果は検算して自分なりに正しく計算できていると思っていますが、皆さんが投資行動を変更する場合はあくまで自己責任でお願いします。

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