確定拠出年金(iDeCo)は90歳まで運用可能ですが僕は一時金を選択します

最初に考えたこの記事のタイトルは「確定拠出年金(iDeCo)は90歳まで運用できるって知っていましたか?」でした。が、それだと期待させてからがっかりさせることになり、タイトルで釣らないというポリシーに反するのでやめました。

iDeCoが90歳まで運用可能とありますが、

「何寝ぼけたこと言ってんだ、iDeCoの運用は70歳までしかできねーだろ。」

そう思われても驚きません。つい先日まで僕もiDeCoの運用は70歳になったらできないと思っていました。間違っていました。70歳以降に年金を受け取りながら最長20年間運用できます。

が、この方法で十分得をするのは老齢年金の額が低い人だけです。厚生年金をもらっている人は多分ダメです。

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読者のコメント

読者のハニエル様から次の記事にコメントを頂きました。

確定拠出年金は、個人事業主の方は最大68,000円を毎月積み立てることができ、拠出金は全額所得控除対象になるため節税効果が高い制度です。僕も...

次はコメントからの抜粋です。強調は河童の編集です。

ちなみに、iDecoの年金受取は「5年~20年」で、受取開始も、制度上、70歳直前でも可能です。そして最長20年(90歳まで)運用を続ける事も可能です。

90歳まで運用できるなんて聞いたことがなかったので、その情報の出典を尋ねたところ、次の書籍を紹介して頂きました。

早速購入して確認しました。

年金として受け取っている期間も運用できます

iDeCoで積み立てた資産の受け取り方は遅くとも70歳までに決定しなければなりません。そして全額一時金で受け取るなら70歳で運用も終了です。ところが年金で受け取る場合、受け取りが完了するまでの期間も運用できるのです。その場合70歳以降も運用指図者の資格を失いません。そしてここが最大のミソですが、70歳になっても資産はどこかに払い出されるわけではないので、基準価額の上昇に伴い資産の含み益も増えるのです。

もちろんその逆(基準価額の下降によって含み益が減る)も起こりますが、考えてみて下さい、iDeCoに資金を拠出できるのは60歳になるまでで、そこから10年いわばガチホしてきました。そこから最長20年ガチホ+一定口数を取り崩すのです。もう基準価額の変動は気にならないほど大きな含み益になっていることが期待できます。よほど運が悪いとそうなりませんが、その時はあきらめましょう。

大胆な試算

僕の実際の状況を材料に大胆な試算をしてみます。楽天証券でたわら先進国株式ファンドに、60歳になるまで拠出をしました。60歳になった時点の評価額は400万円でした。先進国株式の期待リターンは5%なので70歳になる時には評価額は600万になっていてもおかしくありません。うれしいことに60歳からの10年間は、60歳で400万円を一括投資したのと同じことになるので期待リターンそのままのパフォーマンスが得られます。もちろん、70歳時点の評価額がどうなっているかは多分に運(相場)に左右されます。

70歳で600万円まで育てた資産を一時金で受け取ると一時金は600万円で、あとは税金がどうなるかという計算になります。一般的には一時金が有利とされています。が、僕がこれまで見てきたその計算は、年金受け取り中に資産が増えないのが前提でした。これは間違っていたのです。たわら先進国株式ファンドの場合、年率5%で増えることが期待できるのです。

では70歳から10年かけて年金で受け取るとします。基準価額の上昇(=世界経済の成長)の恩恵を最大限に享受するため年末1回の受け取りとします。手数料は運用指図者としての費用が年間768円、給付手数料が432円です。(楽天証券の場合です。)正確な計算は誕生月の影響を受けるのでここではそれを求めないとして、大雑把なイメージとしては次のようになります。(間違っていたらご指摘下さい。)

年金額試算

年末に総口数の1/10を受け取ります。その金額と手数料を引かれた残りは1年間ガチホされて基準価額の上昇の恩恵を受けて増えます。リスクを取って先進国株式に投資しているので年率5%が期待値です。そしてまた年末に総口数の1/9を受け取ります。次の年末は1/8です。

そうすると10年間で受け取る総額は789万円になります。70歳で一時金で受け取るより(税金を無視すると)189万円も増えます。

これって、インデックスファンドに投資して老後にガチホしたまま資金を取り崩しているのと全く同じ光景です。でも根本的に異なる点が2つあります。

  • 運用益は非課税です。
  • その代わり取り崩した資産は「雑所得」となり、他の年金と合算して税額が決まります。

問題は2番目です。僕の年金見込額は年額192万円なので、それに62万円(1年目)から97万円(10年目)を加算したのが年金の総額になります。これが「公的年金等の収入金額の合計」です。330万円未満なので120万円を控除した金額が雑所得になります。つまり、困ったことに僕の場合はiDeCoを年金で受け取る場合、毎年受け取る金額分だけ雑所得が増えます。

70歳以降を想像してみる

(節税のため)個人事業は廃業せず、LLPも解体していないと思いますが、ソフトウェア開発の請負はしていない気がします。そうすると、

  • 基礎控除は使えます。多分48万円。
  • 配偶者控除は(妻に収入がないとすると)38万円。
  • 扶養控除はもう子供が対象外の年齢なので使えません。
  • 青色申告特別控除は雑所得には適用できません。
  • 国民健康保険料控除は使えます。
  • 国民年金控除はもうとっくに年金を払える年齢ではないので対象外です。
  • 小規模企業共済等掛金控除は使えますが、もう拠出していないと思います。
  • 経営セーフティ共済は雑所得には適用できません。

という状況だと思うので、48万円+38万円+国民健康保険料は所得から控除できます。国民健康保険料を12万円だとすると98万円が所得控除額です。

  • 1年目の年金総額は254万円。120万円が公的年金等控除額なので課税対象所得は254万円ー120万円ー98万円=36万円。
  • 10年目の年金総額は289万円。120万円が公的年金等控除額なので課税対象所得は289万円ー120万円ー98万円=71万円。
  • 所得税を5%、住民税を10%、国民健康保険料の負担増を9%とすると増えた所得に24%も課税されます。
  • つまり、iDeCoを年金として取り崩した額の58%から73%の24%が税金になります。

年金にかかる税金を考慮した結果

この税金を反映させるとこうなります。右下のセルの662万円が結果です。

税金を考慮した年金額試算

リスク資産に投資して基準価額の上がっている時を選んで取り崩すような自由度がない方法で10年間分割で受け取った結果実質62万円しか得をしません。そして支払う税金の総額は127万円にもなります。

一時金でもらう場合

一時金を選択すると「退職所得」になり、課税所得は次の式で計算されます。

課税所得=(資産額ー退職所得控除額)÷2

退職所得控除額は加入期間20年までは年40万円、21年目以降は年70万円ですので、僕の場合は52ヶ月の端数を切り上げで(切り上げのはず)5年×40万円=200万円です。よって課税所得は200万円になります。195万円以下なので所得税率は5%となり課税額は10万円です。よって590万円を手にできます。

年金なら662万円、一時金なら590万円

この試算では12.7倍もの税金を支払ながらも年金でもらう方が総額で考えると72万円多くなりました。年金でもらった方が十分得じゃないか、と思うかも知れません。が、この2つには大きな違いがあります。一時金なら70歳の時点で590万円を手にしていて自由に使えるのです。

次は手にした590万円をeMAXIS Slim 先進国株式に全額一括投資して毎年1/10ずつ売却した場合の試算です。

590万円をeMAXIS Slim 先進国株式に全額一括投資して毎年1/10ずつ売却した場合の試算

手数料は一切なく売却益(売却額ではありません)に20.315%課税されます。この表の税額の計算は不正確ですがおおよそこれぐらいです。で、右下のセルの703万円が税引き後の総額です。可処分所得を手にしたタイミングは同じなのに、年金でもらうより一時金でもらって自分で運用しながら取り崩した方が41万円も得します。(売却益にかかる20.315%の税率は税制全体で見ると決して高くなく、金持ち優遇だと批判されるのは無理もないと思っています。)

年金で受け取って得する条件

iDeCoを年金で受け取る場合、老齢年金との合計が120万円+48万円(基礎控除)以下なら課税されません。国民年金など老齢年金の額が少ない場合は70歳以降も運用しながら年金として受け取ることで非課税のメリットを活かせる可能性があります。

また、SBI証券など一時金と年金の併用ができない金融機関では使えませんが、年金でもらいながら課税されずに運用する資産額を見積もり、それ以外を一時金でもらうという方法もあるでしょう。なお、金融機関により年金で受け取れる期間にも異なる制約がありますので注意が必要です。例えば楽天証券は5年から20年の1年刻みですが、SBI証券は5年か10年の二択です。iDeCoには落とし穴が多いです。良く考えずにSBI証券を選択している人は受け取り方に制約が多い(楽天証券は自由度が高い)ことが将来ネックにならないか確認しておいた方がいいでしょう。(僕は楽天証券が好きですが関係者ではありません。)

iDeCoの制度上の問題

iDeCoは年金として設計されたそうです。そのため拠出時は全額所得控除されますが、年金として受け取る時は税制上も「年金」の扱いを受けてしまい、その結果総合課税の対象になります。そして年金の控除額は非常に少ない(120万円+基礎控除など)ので税負担が大きくなります。

一時金でもらう時は退職所得控除が適用されるのですが、これは年金とは次元が違うほど優遇されていて、他の退職金との合算など退職金用の税制の制約もありますが、条件をクリアすれば税負担は非常に少なくてすみます。そのためほとんどの試算では一時金が有利とされます。

また、投資信託を特定口座で購入した場合、売却時の課税は売却益に対してのみ行われます。iDeCoの場合運用益は非課税と言われますが、年金で受け取ると受取額全体が雑所得になってしまいます。それは拠出時に全額所得控除していたからというのが理由だと思いますが、厳しいですね。

大きな利益を手にできるのはiDeCoを一時金で受け取り、かつ、退職所得控除を最大限に受けられる場合だけだと思います。その場合は税負担を非常に軽く感じ、それ以外だと税負担を大きく感じるのではないでしょうか。

そう考えるとNISA、つみたてNISA、ジュニアNISAは夢のような制度です。拠出時の所得控除はありませんが、後は非課税、利益が出ればまるもうけです。NISAの非課税枠をたくさん無駄にしてしまった僕は6年ぐらい前からやり直したいです。

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僕はNISA制度に鈍感でした。何度も失敗しました。 ジュニアNISA制度は2016年にスタートしたようですが、関心を払っていな...

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