トラノコ・ファンド3兄弟のパフォーマンスはとても残念なものでした

「トラノコ」というサービスを知っていますか?主に若い人をターゲットにしていると思われるもので、買い物時に発生するおつりをカウント、その累積額で毎月1回選択してある投資信託を購入する、というものです。投資に縁遠い人を取り込むことを狙いにしていると思いますし、それは良く分かるのですが、金融リテラシーがわずかでもあればそもそも選択しないような内容です。

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サービスの仕組み

買い物をした時におつりを計算する端数の選択肢が3つあります。100円、500円、1,000円です。330円の買い物をした場合、100円なら400円払っておつりが70円、500円なら500円払っておつりが170円、1,000円なら1,000円払っておつりが670円、という計算をします。その金額を「おつり」として積算します。

積算した金額を毎月1回、指定した銀行口座から引き落として選択してある投資信託を購入します。5円以上1円単位です。上限金額を設定できるので意図せず投資しすぎることを防げます。こうすることで買い物をするたびに投資されるような感覚を楽しめます。

投資に縁遠い、特に若い人を取り込むことを狙ったサービスだと思います。でも問題がたくさんあります。

問題点1:サービス利用料が高い

トラノコのサービスを利用するには月額税込み300円のサービス利用料を支払う必要があります。買い物時のデータ収集、銀行口座からの引き落としなど発生するコストがあるのは分かりますが、月額税込み300円は高いです。年間3,600円ですよ。

問題点2:出金にも費用がかかる

投資信託を一部解約して現金を得るのに、税込み300円の出金手数料がかかります。何ですと?振込手数料のようなものだと思いますが、楽天証券やSBI証券ではかからないはずです。これは受益者をナメてると思います。

問題点3:投資信託が3択しかない

選べるのはトラノコ・ファンド3兄弟だけです。みなバランスファンドです。

引用:おつりで投資 トラノコ

よくあるバランスファンドの資産割合を変えて、リスク許容度に合わせて最適なものを選んで下さいというアプローチです。

引用:おつりで投資 トラノコ

資産比率は固定ではなく、パフォーマンスを追求して変更するアクティブファンドです。信託報酬はみな税込み0.324%です。次のETFを購入するようです。

引用:おつりで投資 トラノコ

トータルコストは不明ですが、雰囲気的には超ローコストとは言えない水準になる気がします。

問題点4:パフォーマンスが悪い

グラフを見る前から3兄弟にはそれなりの違いがあり、大トラ、中トラ、小トラの順にリターンが減るだろうということは想像していました。でも比較のためにスリムバランス(8資産均等型)と合わせてプロットしたところ愕然としました。

スリムバランスはトラノコ・ファンド3兄弟よりも1ヶ月ちょっと遅れて設定されました。それでスリムバランスの設定日直後を避けて2017年5月22日から2018年5月18日までで比較しました。

スリムバランスは株式資産が3/8しかありませんから、株式比率を上げているバランスファンドにはリターン面で勝てなくても不思議はないのですが、トラノコ・ファンドで一番株式比率が高い大トラにも圧勝しています。スリムバランスのリターンは「そこそこ」ですが、リスクを取っているはずの大トラがこれではダメでしょう。中トラも小トラも全体的にパフォーマンスが低いです。

積み立て結果を比較

上記グラフは比較開始時に一括投資した時のものです。より現実的な積み立てでの比較もしてみましょう。次は毎月初に5,000円投資した時の結果です。トラノコの実際の投資タイミングとは違います。期間は2017年6月から2018年4月です。

ファンド名 資産額 損益率(年率換算)
元本 55,000円 0%
スリムバランス 55,755円 1.5%
大トラ 55,606円 1.2%
中トラ 54,922円 -0.2%
小トラ 54,606円 -0.8%

スリムバランスと大トラの差はわずかです。

ほとんどの投信ブロガーがパフォーマンスを比較する際に参照する数値は、一括投資でしか得られないものです。それは間違ってはいませんが、普通は一括投資などできないにも関わらずその数値で比較してしまうので間違った理解をしてしまいます。

スリムバランスと大トラのリターンは、2017年6月に一括投資した場合は年率6.0%と3.4%であり、スリムバランスの圧勝です。それは前記グラフが示す通りです。でも積み立て投資かつ積み立て期間が1年未満だとリターンの差は想像以上に小さくなります。これをどう評価するかは別にして、これが積み立て投資の効果です。

論旨が逸れましたが、楽天銀行と楽天証券に口座を開設してマネーブリッジを設定し、少額でもいいのでスリムバランスの積み立て設定をした方が儲かります。サービス利用料も出金手数料もトラれません。(誤字じゃないです。)

結論:投資を始めるきっかけにはなるかな

投信ブログを読む人は選択しないサービスであることは明らかです。それは、投信ブログを読む人が先進国株式に投資するのに、スリム先進国株式ではなくてeMAXIS先進国株式を選ぶなんてあり得ないのと同じです。わずかな知識があれば得ではないことが分かるからです。

ではどうしてそんなサービスが存在するのか?顧客層が違うからだと思います。投資に関心を持たず、投信ブログなど読まず、そのままだったら一生NISAを利用することがないかも知れない人向けに、既存サービスとは異なるアプローチで市場を開拓しているのではないでしょうか。それにはそれなりの役割があり、それをきっかけにして投資について関心を持ち始め、もっと得する方法があることに気付けばいいと思います。気付かないのもその人の人生です。



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コメント

  1. 青井ノボル より:

    これは確かに残念ですね。
    表に出ている手数料が高くて、実質コストも高そうな印象。

    初心者向けに、もっと良い商品やサービスが広がって欲しいと感じました。
    丸井グループの積立専門証券会社には大いに期待したいですね。

    • 河童 より:

      コメントありがとうございます。
      若い人に投資に興味を持ってもらわないとせっかくのつみたてNISAなどの素晴らしい制度も利用者が増えませんので、こういう試みは必要だと思います。でもトラノコは残念なところが多いですね。丸井グループ含め、より良いサービスを展開して欲しいです。三菱UFJ国際投信の直販にも、若い人が参加したくなるサービスを期待します。