eMAXIS Slim新興国株式のトータルコストを試算しました:期待値よりも大きいです【追記あり】

もうじきスリムシリーズ第一弾の運用報告書が公開され、トータルコストが明らかになります。次の記事でスリム国内株式(TOPIX)のトータルコストが期待値よりも小さい(それはおかしい)と書きました。

もうじきスリムシリーズ第一弾の運用報告書が公開され、トータルコストが明らかになります。次の記事でスリム先進国株式のトータルコストが期待値より...

スリム新興国株式はスリムシリーズ第一弾ではない(第一弾から3ヶ月後に設定されました)のですが、第1回決算日が2018年4月25日なのでもうじき運用報告書が公開されるようです。それで同じ手法でトータルコストを試算したらそれらしい値になるのか、スリム国内株式のようなことになるのかやってみました。

広告
広告

おことわり

ここに書いてあることは間違っている可能性が十分あります。投資行動に影響を与える判断は自己責任でお願いします。

スリム新興国株式の信託報酬

スリム新興国株式は2017年12月13日に信託報酬を税抜き0.339%から0.190%に引き下げました。新興国株式の信託報酬は他の資産クラスよりも高い傾向がある中で、かなり安くなってきたと評価されています。

スリム新興国株式のトータルコストを試算するのに、eMAXIS新興国株式とのリターンの差を見ます。信託報酬が税抜き0.190%に引き下げられてからの6ヶ月間のリターン差は、トータルコストの差を反映したものになることが期待されます。

eMAXIS新興国株式とのリターンの差

次は2017年12月13日から2018年6月22日までの期間で、スリム新興国株式とeMAXIS新興国株式のリターンを比較したものです。青のラインがリターンの差です。ほぼ直線ですね。

リターンの差が直線になるためには次の条件を満たす必要があります。

  • 2つのインデックスファンドがベンチマークを忠実にトレースしていること。
  • トータルコスト(=信託報酬+隠れコスト)が比較期間中は一定であること。
  • 比較期間中に分配金を出さないこと。

そしてこの直線の傾きがトータルコストの差を示しています。なお、比較期間が長くなるとトータルコスト差が生む複利効果によりこの直線は弓なり状に曲がります。次の記事で説明しています。

あるブログ記事で、インデックスファンドのコスト差0.1ポイントは気にならないという趣旨の記述を見ました。0.01ポイントならともかく、0.1...

リターンの差の収束を見る

次はリターンの差を年率換算で求めたものです。

次は収束している部分の拡大図です。

この計算は安定(収束)するのに時間を要するようで、この6ヶ月間ではまだゆらいでいますが、0.40%から0.37%の間に収束すると思われます。単純なリターンの差の1年分もそれぐらいでしょう。

ラインの傾きからトータルコスト差を試算する

このリターンの差をcsvに吐き出してエクセルの回帰分析にかけました。

得られた直線の傾きの係数1.573E-05は1営業日のものなので、これを246倍して年率換算すると0.3871%になりました。これがトータルコスト差です。

スリム新興国株式の信託報酬引き下げ後のリターンをeMAXIS新興国株式と比較した結果では、これだけのトータルコスト差があるはずだと確信しました。トータルコスト差以外に、このリターンの差を生む要因があるはずがないからです。

試算結果:期待値よりも大きくなりました

eMAXIS新興国株式の運用報告書にあるコストのうち、信託報酬を除いたものを流用すると税込み0.3652%が期待値となります。

eMAXIS新興国株式のトータルコストは税込み0.816%なので、推定トータルコスト差である0.3871%を加味すると税込み0.4289%がスリム新興国株式のトータルコストとなります。期待値よりも0.0637%ポイント高いです。

運用報告書の数値は現実を反映したものになるか

まずはトータルコストが判明するのが楽しみです。でも、スリム新興国株式は途中で信託報酬を引き下げているので運用報告書を見ても、現在のトータルコスト(=信託報酬引き下げ後のトータルコスト)がいくらなのかは明確には分からないと思います。信託報酬以外の費用が期を通して変わらないとするならば期待値は計算できますが、上記計算値とは合わない気がしています。

合わない理由が計算上の誤差なのか別の理由によるものかは分かりません。運用報告書に書かれる費用明細の真実を知っている人から見れば馬鹿な議論をしているで終わることなのかも知れません。

三菱UFJ国際投信のブロガーミーティングの懇親会で、驚愕の事実が話されていたそうです。そのサワリの部分を引用します。

ここまでのコストは書面で開示されているコストです。

実はこの他に、基準価額の変動要因にもなる隠れたコストがあるのだというのです。三菱UFJ国際投信のブロガーミーティングで行われた懇親会で、とある方を5人くらいで囲みながら、そんな話を聞く機会がありました。

引用:インデックスファンドにおけるコストの実態を考える

このブログ記事によると、運用報告書に載せなくてい良いコストが存在するとのことです。それだと運用報告書にある費用明細を見て、どのファンドが最安かという判断をするのは実は正しくないとなってしまいます。怖い話ですね。

でも、同じ指数をベンチマークにするファンドAとBがある場合に、AとBのリターンの差は(いわゆるトラッキングエラー、乖離がなければ)トータルコストの差によって生まれるずですから、リターンを比較することでどちらがよりローコストなのかは判断できます。基準価額はごまかしが効かない、ファンドの実態を反映したものです。

2018年6月28日追記

第1期運用報告書が公開されました。そこに書かれている信託報酬を除く費用を1年分に引き直すと隠れコストは税込み0.1845%になります。これに現在の信託報酬率税込み0.2052%を加算するとスリム新興国株式のトータルコストは税込み0.3897%になります。eMAXIS新興国株式の隠れコストを流用したものよりは少し高かったわけですが、現物株を買う新興国株式インデックスファンドとしては圧倒的に安いと思います。

広告
広告
広告

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加
  • にほんブログ村 株ブログ インデックス投資へ
    にほんブログ村

フォローする

コメント

  1. 青井ノボル より:

    記事の引用および紹介ありがとうございます。

    ブログ記事には書かなかった気がしますが、表に出てこないのはコストだけでなく、収益の要素である貸株料などもあると、ブロガーミーティングで聞きました。
    また、Twitterにて運用の中の人と思われる皆さんからは、隠れコストがあっても誤差の範囲内といったニュアンスのお話も見聞きしたが、実際どうなんでしょうね。
    具体的な数字が出せないにしても、インデックスファンドのコスト構造を分かりやすく解説してもらえると嬉しいなと思ってしまいます。

    数字で開示されない(開示できない?)以上は、河童さんのように基準価額などから推測するアプローチが、実態を捉えるのには適しているのかもしれませんね。

    • 河童 より:

      コメントありがとうございます。
      競争は同じルールの下でやらないといけないのですが、信託報酬で比較するのは不適切なのは確実、実質コストが判明するのは運用報告書が公開されてから、それでもまだ非公開のコストがあるというのはまずいと思います。
      この業界にはもう一段、オープンになって欲しいです。それがより適切な競争につながると思っています。