インデックス投資

インデックスファンドが受益者のために負っている税務リスクとは何か

2019年1月27日

賢明なインデックス投資家は、毎月分配型などの分配する投資信託ではなくて、極力分配しないものを選択すべきです。でもおそらく、ローコストで良質なインデックスファンドを選択した時点で、自然と「極力分配しない方針のインデックスファンド」を選択していると思います。でもそれは「絶対に分配しないインデックスファンド」ではないはずです。

目論見書の分配方針の表現

主なインデックスファンドの分配方針が目論見書にどのように書かれているかを調べました。図は各社の目論見書からの引用で、赤枠の囲みは僕が追加したものです。

三菱UFJ国際投信

eMAXISシリーズ、スリムシリーズ、つみたてんとうシリーズでテンプレ的に使われている表現です。

「原則として分配を抑制する方針」と明記してあるところに好感が持てます。またその理由を「信託財産の成長を優先し」としていることに着目して下さい。

ニッセイアセットマネジメント

<購入・換金手数料なし>シリーズに見られる表現です。

分配を避けたい気持ちは表現されていません。

アセットマネジメントOne

たわらノーロードシリーズに見られる表現です。

分配を避けたい気持ちは表現されていません。

野村アセットマネジメント

Funds-i シリーズに見られる表現です。

分配を避けたい気持ちは表現されていません。

大和証券投資信託委託株式会社

iFreeシリーズに見られる表現です。

分配を避けたいという表現を避けながらも、遠慮がちに、信託財産の成長を優先させたい気持ちをにじませています。

三井住友アセットマネジメント

三井住友・DCつみたてNISAシリーズに見られる表現です。

 

「複利効果による信託財産の成長を優先するため、分配を極力抑制します」と明記してあります。素晴らしいです。三菱UFJ国際投信に並ぶ強い意欲が感じられます。

三井住友トラスト・アセットマネジメント

次はi-SMTシリーズ、SMTシリーズに見られる表現です。

分配を避けたい気持ちは表現されていません。

りそなアセットマネジメント

次はSmart-i シリーズに見られる表現です。

分配を避けたい気持ちは表現されていませんが、「留保益は、運用の基本方針に基づいて運用します」と明記してあることは評価します。これは、配当金を分配しなかった時にそれがどのように扱われるかを控えめに表現したものです。

ブラックロック・ジャパン

次はiシェアーズシリーズに見られる表現です。

分配を避けたい気持ちは表現されていませんが、「留保益の運用については特に制限を設けず、委託会社の判断に基づき、元本部分と同一の運用を行います」と明記していることを評価します。これはりそなアセットマネジメントよりも踏み込んだ表現で強い意思を感じます。

楽天投信投資顧問

次は楽天バンガードシリーズに見られる表現です。

分配を避けたい気持ちは表現されていません。

実際はどうなのか

運用報告書などを確認すれば、過去に分配金を出したかどうか分かります。eMAXIS先進国株式は出していません。ニッセイ外国株式も出していません。

SMTグローバル株式は何度か出していますが、金額は株式保有で得られる配当金の額とは桁違いに少ないので、どのような計算をしているかは別にして、形だけという気がしてなりません。

図はモーニングスターからの引用です。

同じく、外国株式インデックスeも配当金を何度か出しています。どちらも三井住友トラスト・アセットマネジメントの商品です。

こちらも、金額は株式保有で得られる配当金の額とは桁違いに少ないです。

アセットマネジメントOneのたわら宣伝部長の非公式発言

アウターガイ様のこちらのブログ記事に、アセットマネジメントOneの中の人との雑談が紹介されています。非常に興味深い内容です。必見です。そこから、分配金に関する発言を引用します。

投資ブロガーは特に無分配へのこだわりが強いものの、税務リスク(当局の介入)を避けるため、目論見書などでは無分配だと断言しにくい。たわらノーロードシリーズが自発的に分配することは、おそらくないだろう。

雑談の席での非公式発言です。本音だと思われます。

三菱UFJ国際投信の代田取締役の非公式発言

次はスパイク様が文字起こしをされた(その努力に敬服します)こちらの記事からの引用です。三菱UFJ国際投信のブロガーミーティングの質疑応答での一幕です。

【代田さん】すごく■■■(管理人自主検閲により黒塗)に非常に聞かれたくない、わかんないようにブログとかツイートしただければと思うんですけれども・・・

(オフレコ依頼により197文字非公開

【虫とり小僧さん】■■■■(管理人自主検閲により黒塗)も?

【代田さん】はい。■■■■■■■■■■(管理人自主検閲により黒塗)です。

【虫とり小僧さん】書かないほうがいいですか?

【代田さん】書かない方がいいです。これ結構微妙な話なんですよ。

【山崎さん】国民の義務を果たしていない

【代田さん】ということで、結構無分配のストレートに謳っている約款をこれまで見たことがないと思います。実はそういうちょっと投資信託という導管体で、そこに生ずる収益は配当しないといけないという前提で、この制度が成り立っているというところがあって、ちょっとすいません。そんな感じです。

僕はたまたまその場にいたので、幸運にも代田取締役の本音を聞くことができました。山崎さんとあるのはヤマゲン先生のことですが「国民の義務を果たしていない」とあるのは「納税」のことを指しています。たわら宣伝部長の雑談での発言と同じで、無分配で通したいがそこには税務上の問題があり、誰もそれには触れたくないのです。

そう言えばその後三菱UFJ国際投信主催のブロガーミーティングに呼ばれなくなったのは、ブログ記事の内容が危ないためブラックリストに載ってしまったからかも知れません。

税務リスクとは

僕らが通常投資対象として選択するインデックスファンドは「追加型」に分類されますが、制度上、追加型では無分配のものを組成できないそうです。そのため、目論見書に無分配ですとか、分配しませんとか書けません。でも、分配すると(配当金を出すと)そこで課税されますし、分配すると基準価額が下がります。なぜなら基準価額の上昇には投資対象からの配当益が含まれているからです。キャピタルゲイン(基準価額の上昇によって利益を得ること)により資産形成を目指すインデックスファンドにとっては、配当金を出すことは二重のデメリットであり、できれば避けたいわけです。

そして、受益者が賢明なインデックス投資家であるならば、欲しいのは配当金ではなくて、投資対象からの配当益を非課税で再投資して基準価額の上昇への複利効果が期待できる運用です。配当金のようなものが欲しいなら自分で必要な分だけ売却すれば良いのです。その時は、非課税口座でなければもちろん譲渡税が課税されます。

よって受益者にとって、分配を避け続けてくれる(くれている)インデックスファンドが間違いなくより良い商品です。

でもそれは、課税の繰り延べをしていることと同意なので、国(金融庁)としてはいつまでも現在の状況のまま放置できない(しない)かも知れません。これが税務リスクで、ある日突然「指導」が入る可能性を否定できません。

分配されなかった配当益はどうなるのか

この記事で扱っているインデックスファンドは、どれも投資対象から得られる配当益を非課税で再投資していると考えています。投信ブログの中にはそうではないのでは?という指摘もありますが、僕は間違いなく再投資していると思っています。目論見書の分配方針ににじみ出ている思い、意思はそれを裏付けていると理解しています。一部の運用会社が抑えた表現で暗示しているのはこのことです。

SMTグローバル株式や外国株式インデックスeは過去にわずかな配当金を出していますが、それとは桁違いの金額を毎年再投資しているはずです。

でも前記税務リスクがあるからでしょう、運用報告書を見ても再投資している様子はほとんど感じられません。また、ここで言う再投資は総口数を増やしているわけではなくて基準価額を上げているので、よく聞く株式やETFの保有で手にする配当金を再投資する話とは根本的に違うはずです。でも、複利効果を得るためにはその配当益を投資対象に投資する必要があり、それをどう処理しているかは分かりません。もしそういうことを事細かに教えてくれるセミナーがあったら是非参加したいものです。

サクソバンク証券のDRIP

サクソバンク証券は日本の証券会社で初めてDRIPに対応しています。

サクソバンク証券のDRIPで受け取った配当金が再投資される場合、国内課税されないことは確認済みです。再投資されなかった端数は国内課税されてから口座に入ります。つまり、再投資では課税の繰り延べが行われるとサクソバンク証券は明言しているわけで、これはインデックスファンドの運用会社の控えめな分配方針の表現とは次元が違います。

もしかすると、サクソバンク証券が日本に持ち込んだDRIPは、インデックスファンドの運用会社から見ると「寝た子を起こす」厄介者かも知れません。

未来予測

僕には予知能力がないので次の未来予測も当たらないはずです。だから安心して下さい。

202X年3月X日に金融庁は株式等の譲渡所得等に対する申告分離課税の税率を現行の20.315%から引き上げる議論を開始し、数年以内に実施する旨を発表しました。引き上げ率は5から10ポイントが想定されています。それに伴い非課税枠の拡大とマイナンバーの活用も検討されるそうです。

また、長年容認されてきた投資信託の無分配問題については、厳格な適用基準を新設した上で既存の投資信託も含めて無分配型を認める方向で議論するそうです。

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