個人事業主が節税してインデックス投資

個人事業主のリアルな節税やインデックス投資、お金についてお話しします

インデックス投資

VTの多重課税コストは0.1327%でした

投稿日:2019年1月31日 更新日:

良く耳にするVTの三重課税問題ですが、たわら男爵様の次の記事がわかりやすいです。

これまで考えるのを避けてきた三重課税問題ですが、調べてみる気になりました。この記事ではこちらの年次レポートから図や数値、文章を引用して僕なりの解釈をしています。間違いなどありましたらご指摘頂ければ幸いです。

出てくる数値はVTの2018年のものになります。

株式の保有で発生する配当金

VTは全世界株式に投資しますが、米国が58.1%、米国以外が41.9%でした。

株式を保有すると銘柄によって様々ですが配当金が発生します。この配当金は米国の株式だと米国による10%の源泉課税だけですが、米国以外の株式だとまず現地国で源泉課税されてから、さらに米国で10%課税されます。これを二重課税と言います。

米国以外の国の源泉課税の税率は一様ではないので、何%と言えません。

VTの配当金

VTが株式の保有で発生した配当金の総額は379,901,000ドルでした。これは外国株式の現地での源泉課税額22,221,000ドルを引いたあとの金額です。

図にするとこうなります。

この配当金のうち、外国で源泉課税されたのがいくらなのかははっきり分からなかったのですが、次の文章からは219,858,000ドルだと読めます。

その後に出てくる外国税額が先に出てきたものと一致しないのですが、この219,858,000ドルが米国外の株式からの配当金だとすると、配当金の54.7%が二重課税の対象ということになります。

米国外での課税

VTが株式の保有で得た配当金から5.53%が米国外で源泉徴収されています。重要なのはこの数値であって、配当金の明細ではありません。VTは年4回受益者に配当金を出しますが、その合計がXである時、2018年の実績だとXの5.53%がVTに入ってくる前に徴収(課税)されています。この数値は毎年変動しますが、2018年の実績なので重みがあります。でしょ。

問題はここからです。VTに入ってきた配当金ですが、ETFは制度上必ず配当金を出さねばなりません。その時米国で10%源泉課税されます。よって、VTが保有する株式から発生した配当金の合計を100とすると、VTに入った時にはすでに94.47に減っており、受益者はそれを受け取る直前に94.47×0.9=85.02に減ります。

わかりやすさのため話を単純化しますが、ここで言っている受益者は米国民です。我々日本国民の場合はもう1回課税されます。

VT(ETF)を特定口座で買った場合

楽天証券やSBI証券の特定口座でVT(ETF)を買った場合、年に4回保有株数に応じて配当金を受け取りますが、その額はドルで言うと米国民と同じです。でも我々日本国民にはさらにここで20.315%課税されます。(非課税口座だと課税されません。)

つまり、元々の配当金から見ると、94.47×0.9×(1-0.20315)=67.75に減ってしまうのです。この減った後の配当金をVTの一株以上になるまで貯めて再投資(=VTを普通に買い増し)してもいいわけですが、その場合は日本の譲渡税20.315%を先に払ってしまっているので再投資効率が下がります。

課税は繰り延べするのが有利

税務を扱っている人には当たり前のことだそうですが、同じ税率の税金であってもできるだけ未来に払った方が(繰り延べした方が)有利です。そして、日本の良質なインデックスファンドは運用会社の努力によって、配当金を極力分配しない運用がなされています。僕の理解では、配当金はファンドの中で再投資されて基準価額を上昇させ、受益者は(非課税口座でない場合)売却時に譲渡税20.315%を払います。この時、いわば配当金に課税されるはずだった分も払うわけですが、課税の繰り延べ効果があるので再投資効率が高くなります。

楽天全世界株式 vs スリム全世界株式

楽天全世界株式はVTを買うだけのインデックスファンドですが、VTが出す85.02に減った配当金は譲渡税20.315%が課税されずに再投資されているはずです。よって、売却するまでは米国以外の株式からの配当金に二重に課税されてはいますが、まだ三重課税ではありません。特定口座だと売却時の譲渡税課税は免れないので、その時には三重課税が発生します。

スリム全世界株式(オール・カントリー)は楽天全世界株式とはベンチマークが異なるため横並びでは比較できませんが、この2つにはもうひとつ大きな違いがあります。スリム全世界株式は現物株運用なので、投資対象の株式の現地国で源泉課税された後、配当金を出す時に国内で譲渡税20.315%が課税されます。そして前述したとおり、配当金は課税が繰り延べされて再投資されているはずなので、現地国源泉課税後の配当金が再投資され、売却時に国内課税される二重課税で終わります。

つまり、楽天全世界株式は二重に課税されて100あった配当金が85.02に減って再投資されるのに対して、スリム全世界株式は100あった配当金が日本を除く現地国での源泉課税後のXのまま再投資されます。

では現地国での源泉課税がいくらなのかは分からないのですが、投信ブログでは10%としている記事を良く見かけます。すると100あった配当金は90に減って再投資されますから、スリム全世界株式は楽天全世界株式よりも5%ポイント程度再投資効率が良いと言えます。

多重課税コスト

国内課税の20.315%は値上がり益と配当金の両方にかかりますし、税率が高いです。これは受益者から見ればとんでもなく大きな負担ですが、その前段階に位置する「二重課税」のコストも馬鹿になりません。ここは僕の好みで「多重課税コスト」と表現します。

VTの例だと多重に課税されるのは米国以外の株式から発生する配当金で、その税負担率は配当金全体の5.53%です。2018年のVTの配当金は年率2.4%(Dividend Yield)だったので、2.4×5.53%=0.1327%が多重課税コストになります。スリム先進国株式、ニッセイ外国株式の信託報酬が税抜き0.1090%であることを考えるとこの多重課税コストは異様に大きいですね。バンガードがETFの経費率を0.01%ポイント下げたり、日本の投信運用会社が信託報酬を0.001%ポイント下げて競争する時代です。0.1327%は無視して良い水準ではありません。

スリム全世界株式(オール・カントリー)に期待すること

スリム全世界株式(オール・カントリー)は現物株運用なので前記多重課税コスト問題がありません。Fund of the Year 2018で3位に入りましたが、純資産総額は13ヶ月先行していて圧倒的な人気を誇る楽天全世界株式に遠く及びません。差は14.5倍もあります。

  • 楽天全世界株式の純資産総額:171億円
  • スリム全世界株式の純資産総額:11.8億円

仕組み的にはスリム全世界株式の方がトータルコストを安く抑えられるので、ベンチマークは違うものの、同じ全世界株式インデックスファンドとして有望です。

僕は新興国が嫌いなのでスリム全世界株式に投資することはありませんが、VTを買うだけなのにトータルコストが高く、多重課税問題を抱えている楽天全世界株式よりも受益者にとって良い選択肢になれると考えます。そのためには、第一期運用報告書が出るまで不安を隠せないトータルコストが十分低廉であることが必須です。三菱UFJ国際投信には是非頑張ってもらって、Fund of the Year 2018で3位になった期待を裏切らないで欲しいものです。

よろしければ次の記事もご覧ください。

見直しました

多重課税コストの計算方法を見直しました。

 

-インデックス投資

Copyright© 個人事業主が節税してインデックス投資 , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.