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インデックス投資

金融リテラシーの向上は証券会社の淘汰を促進するか

投稿日:2019年3月5日 更新日:

ブログ記事のタイトルは検索流入のために極めて重要なので、本当はもっと検索されそうなキーワードを使うべきです。この記事が扱うのは、人気の指数をベンチマークにしているものの、マイナーな(失礼)インデックスファンドです。その固有名詞(長い)をタイトルに使っても検索されないと思い、生意気なタイトルになりました。

取り上げるのは「農中<パートナーズ>つみたてNISA米国株式S&P500」です。Fund of the Year 2018で同シリーズの「農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド」が19位に入ったので、そのつながりで存在を知った人もいることでしょう。僕はもう少し前から存在は把握していたものの、ずっとスルーしていました。

農中<パートナーズ>つみたてNISA米国株式 S&P500

信託報酬が高めですが、それを除けばまっとうな組成です。

  • ベンチマークはS&P500指数。
  • 信託報酬は税込み0.486%。
  • 購入時手数料なし。
  • 信託財産留保額なし。
  • 信託期間は無期限。
  • 設定日は2017年12月19日。
  • マザーファンドの現物株比率は95.5%。

ただし、1点強烈な特徴があります。販売会社は「農林中央金庫」のみです。このインデックスファンドの運用会社は「農林中金全共連アセットマネジメント株式会社」ですが、農林中央金庫の子会社です。実質直販と言っていいでしょう。

以下、この記事では「農中<パートナーズ>S&P500」と略します。

iFree S&P500 vs 農中<パートナーズ>S&P500

農中<パートナーズ>S&P500の設定日直後を避けて2018年年初から2018年2月28日までの比較です。

iFree S&P500 vs 農中<パートナーズ>S&P500

赤のラインがiFree S&P500、緑のラインが農中<パートナーズ>S&P500です。青のラインがリターン差で、iFree S&P500ー農中<パートナーズ>S&P500です。右肩上がりなので、iFree S&P500の方がリターンが高いことを示しています。1年で0.5%程度の差が生まれています。

このリターン差は大きいです。iFree S&P500のトータルコストは税込み0.3723%と計算されるので、農中<パートナーズ>S&P500のトータルコストは税込み0.8%を超えると思われます。

この推定トータルコストの値はともかく、ごまかしの効かない基準価額データが示しているのは、農中<パートナーズ>S&P500よりもiFree S&P500を買った方が儲かるという事実です。そして、現在iFree S&P500とスリムS&P500のリターンには差がないので、iFree S&P500の代わりにスリムS&P500を買ったのでもいいです。

全く売れていません

現在の純資産総額は21億円ありますが、20億円は運用会社の初期投資なのでそれを除いて計算します。次は設定来の総口数の推移です。

設定来の総口数の推移

赤のラインはiFree S&P500です。農中<パートナーズ>S&P500は全く売れていません。いくらか買った人が出てもその後解約されてしまっています。

iFree S&P500の現状には同情しますが、農中<パートナーズ>S&P500にはひとかけらも同情しません。

おそらく農林中金全共連アセットマネジメント株式会社と親会社である農林中央金庫は長い期間をかけて育てていく予定なのでしょう。

買う価値なし

企業型確定拠出年金で選択肢が限られているため泣く泣く高コストのインデックスファンドに投資するという場合を除けば、同じ指数をベンチマークにしている低コストで運用にも不安がないインデックスファンドがある場合に、わざわざ条件の不利な商品を選択する理由などありません。投資は付き合いや人間関係でやるものではありませんから、明らかに損すると分かっている選択などすべきではないのです。

つまり、よりどりみどりの金融機関で自由に買えるiFree S&P500または主にネット証券になりますがスリムS&P500を選択しないで、農中<パートナーズ>S&P500に投資するのは控えめに言っても賢明ではありません。失礼な言い方をすれば「情弱」とか「金融リテラシーに欠ける」となります。

長い道のり

現在全く売れていない農中<パートナーズ>S&P500ですが、ごく一般の受益者がわざわざこの商品を選択して農林中央金庫で買うとは思えません。この商品を買う可能性があるのは農林中央金庫に自分から出向くか、農林中央金庫が持っている名簿に名前がある人だけでしょう。仕事関係をきっかけに勧誘されることもあるでしょうね。その結果、損することになる不利な商品を買うことになったとしても、それはその人の自己責任です。あといくらかの金融リテラシーがあれば、違う選択ができるはずです。

貯蓄から投資への転換が進まない日本において、投資を始めようとする人の金融リテラシーを向上させるのはきっと容易なことではなく、時間もかかると思われます。でも金融リテラシーが向上すれば、農中<パートナーズ>S&P500に限らず、競争力に欠ける商品は売れなくなると思われます。それが進むと、証券会社の淘汰は促進されるでしょうか。

話はそんな単純なものではないと思いますが、僕は高コストや低品質の商品は受益者から見向きもされなくなる時代に変わっていって欲しいと思っています。超ローコストインデックスファンドは現在より桁違いの純資産総額を集めないと商売として成立しませんが、そうなるためには次の2つが満たされる必要があります。

  • インデックス投資家が増えること。(貯蓄から投資への転換が進むこと。)
  • 投資家の金融リテラシーが向上し、不利な条件の商品を避けられるようになること。

道のりは長いです。ちなみに、農林中金全共連アセットマネジメント株式会社が扱っている投資信託の総額は4兆円を超えているようなので、農中<パートナーズ>S&P500が売れなくても痛くも痒くもないと思われます。

よろしければ次の記事もご覧ください。

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