インデックス投資

グローバル3倍3分法ファンドの最大の問題点は信託期間の短さです

2019年4月20日

グローバル3倍3分法ファンドは2018年10月4日に設定された、これまでになかったタイプのバランスファンドです。新しい試みなので、いわば、受益者から集めた資金を使って目論見通りのリターンが得られるかどうか実験するようなものです。過去のデータを使って行うバック・テストではうまく行っても、現実に設定して運用するとダメなことがあるのは、業界の専門家も認めるところです。

グローバル3倍3分法ファンドの受益者が期待したリターンを得られるかどうかは、既存のインデックスファンドよりも未知数なわけですが、期待通りなら素晴らしい結果が得られます。期待通りではないにしても、既存のインデックスファンドの代わりに投資していた場合よりも高いリターンが得られたなら、グローバル3倍3分法ファンドのコストがどれほど高くとも、結果的に「賭けには勝った」ことになります。問題はこの賭けのリスクの高さです。

仕組み

次の図は目論見書からの引用です。3分法とは株式、REIT(不動産)、債券の3つの資産に投資することを指しています。これは普通にあります。それを、先物取引などを使って純資産総額の3倍相当額で運用するのが3倍3分法です。

仕組み1

値動きのイメージも説明されていますが、全く理解できません。

隔月分配型は不要

グローバル3倍3分法ファンドは既存のインデックスファンドよりも高いリターンを狙う商品です。そういう性格で組成されるとたいてい「ボッタクリ感の強い」ものになりがちですが、これはそうでもありません。

  • 信託報酬は良心的と言える税込み0.4572%です。
  • 販売手数料は税込み3.24%を上限にして販売会社が設定可能にしてあります。楽天証券では無料です。窓口で販売している金融機関だと無料ではないかも知れません。
  • 信託財産留保額はありません。

が、グローバル3倍3分法ファンドには1年決算型(これは普通)と隔月分配型があり、後者の存在そのものがこのファンドの印象を悪くしています。わずかでも金融リテラシーがあれば隔月分配型を避けるはずなので、それを設定した意図を想像すると、どういうアプローチで販売しようとしているのか、昔のままの不誠実な姿勢が透けて見えるようでがっかりです。隔月分配型など設定しないで、「新しい試み」で勝負すれば良いと思うのです。

人気は異常

次は設定来の純資産総額の推移です。1年決算型は169億円、隔月分配型は68億円あります。(うち1.5億円は運用会社による初期投資です。)

3月中旬からの急激な立ち上がりがすごいです。1年決算型は4月だけで150億円集めています。この人気は異常です。

設定来の純資産総額の推移

隔月分配型の人気は1年決算型の半分以下ですが、これだけ売れていることに不安を覚えてしまいます。

グローバル3倍3分法ファンド vs スリム先進国株式

リターン比較は1年決算型とだけ行います。設定直後をさけて2018年10月22日からの比較です。赤のラインがグローバル3倍3分法ファンドです。

グローバル3倍3分法ファンド vs スリム先進国株式

これは面白いですね。スリム先進国株式より下落率が大幅に低いです。

この比較期間だとiFree S&P500、スリムS&P500のリターンはスリム先進国株式と大差ないので、並の株式インデックスファンドでは得られないパフォーマンスを発揮したということです。

次は比較開始を2019年1月4日にしたものです。

比較開始を2019年1月4日にした

上昇傾向が強い時はスリム先進国株式に負けています。

グローバル3倍3分法ファンド vs スリムバランス(8資産均等型)

グローバル3倍3分法ファンド vs スリムバランス(8資産均等型)

これも面白いですね。仕組みが理解できないから投資しないという判断もいいですが、どうしてこのような結果になるのか理解してみたくなりませんか。もしかすると、著名なヘッジファンドのCEOが推奨する全天候型ポートフォリオより優れた特性を持つ組成かも知れませんよ。

次の暴落時にどうなるかは予測不可能

2020年末までには次の暴落を経験できると思っていますが、その時、そしてその後しばらくグローバル3倍3分法ファンドがどのような値動きになるのかは予測不可能です。普通の株式100%のインデックスファンドよりひどいことになるかも知れませんし、その逆になるかも知れません。

でもリスクは従来の3分法ファンドよりも高い(目論見書にはリスクとリターンがほぼ3倍になるとあります)ので、場合によってはより大きく下落し、より回復に時間がかかるかも知れないことは覚悟すべきでしょう。それを現在の受益者のどれほどが理解しているでしょうか。2割もいない気がします。

償還まで10年ありません

信託期間は2028年9月21日までです。あと9年5ヶ月しかありません。どうしてそんな短期間の設定としたのか分かりませんが、信託期間が終わればその時の基準価額で売却されてしまいます。もし含み損なら損失が確定します。含み損だけど我慢してガチホして世界経済の復調を待つということができません。

このことだけで、僕は投資する気になれません。

もし信託期間が無期限だったら

では、もし信託期間が無期限だったらどうでしょうか。以下は僕の偽らざる感想です。

  • この新しい試みには非常に興味をそそられます。商業的に成功すると(もうそうなりそうですが)類似ファンドが次々出てきてもおかしくないでしょう。
  • アクティブファンドはファンドマネージャーの能力と運任せですが、このファンドはそうではありません。運用手法の好き嫌い、負うリスクと期待されるリターンで買うのか買わないのかを決めれば良いと思います。
  • 投資対象の資産配分は全く好みではありません。同じ手法で、先進国株式+先進国リート+先進国債券で組成してくれたら心が激しく乱れると思います。
  • 僕はコア・サテライト戦略(資産の一部を主力でない投資先に振り向けること)に否定的で、スリム先進国株式100%が良いとしているため対象外ですが、サテライトの投資先に選ぶのは悪くないと思います。
  • このファンドを主力の投資対象にするのは(リスクが高くなりすぎるので)やめた方がいいでしょう。

結論

僕は買いませんが、値動きがどうなるかとても興味があり、ブログネタとしても面白いので監視対象にします。また、明らかにボッタクリでない組成なら、新しい試みのファンドが設定されるのは大歓迎です。ただし、ここが最大の問題だと感じているのですが、受益者に本当にリスクを理解してもらえる売り方をしているのか?について非常に疑問があります。特に金融機関の窓口です。言い過ぎでしょうか。

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