インデックス投資

iFree S&P500とスリム米国株式(S&P500)の運用はベンチマーク通りか

2019年5月4日

S&P500種指数をベンチマークにしているインデックスファンドに投資するなら、コスト的に見てiFree S&P500かスリム米国株式の二択になります。スリム米国株式の方が信託報酬が安いので、スリム米国株式の方がパフォーマンスが高いと思っている人もいるでしょうが、そうでもありません。現状、このふたつにリターン差はほとんどありません。

iFree S&P500の信託報酬は税込み0.243%、スリム米国株式の信託報酬は税込み0.1728%です。信託報酬はスリム米国株式の方が0.0702%ポイントも安いのですが、隠れコストを含むすべてのコストが反映された基準価額は、リターンに差がないことを示しており、それは真のトータルコストが同じであることを示唆しています。

近年、運用報告書にある数値から計算されるトータルコスト(信託報酬+隠れコスト)は必ずしもすべてのコストを表していないと言われるようになりました。三菱UFJ国際投信の代田取締役がブロガーミーティングで言われた「すべてのコストは基準価額に反映されている」は、基準価額を比較することでコストの大小が分かることを意味していますが、そのためにはゆずれない条件があります。比較対象のインデックスファンドがベンチマークを正確にトレースしていることです。

ベンチマークを正確にトレースしている場合に限り、基準価額の差(=リターン差)は真のトータルコスト差を表します。インデックスファンドはベンチマークへの忠実度が命ですから、それを守れないならリターン差も割り引いて評価しなければなりません。

前置きが長くなりましたが、iFree S&P500とスリム米国株式はベンチマークを正確にトレースできているでしょうか。

S&P500トータルリターン

S&P500種指数のベンチマークに相当するデータは、Yahoo! Financeでティッカーシンボル^SP500TRでダウンロードできます。これは配当金を米国内課税すらせずに再投資したもので、現実には実現不可能です。

これを円換算したものと比較します。次の4商品に登場して頂きます。

  • iFree S&P500
  • スリム米国株式
  • SSGA米国株式
  • 農中<パートナーズ>S&P500

比較期間はスリム米国株式の設定日直後を避けた2018年7月17日から2019年4月26日です。

iFree S&P500

iFree S&P500 vs ベンチマーク

赤の矢印の位置に大きなヒゲがあります。配当金を取り込んだ日の違いかと思ったのですが、このヒゲは3月13日にあり、配当日とは無関係です。原因不明です。

リターン差を示す青のラインはこのヒゲを除けばほぼ直線ですが、わずかな変動があります。

この青のラインの傾きはトータルコストの大小を指しています。また、直線からの乱れはトラッキングエラーかコスト要因によるものだと思われますが、その評価は難しいです。

スリム米国株式

スリムS&P500 vs ベンチマーク

大きなヒゲはスリム米国株式にもあります。青のラインの形状はiFree S&P500と微妙に異なりますが、こちらもほぼ直線です。

SSGA米国株式

SSGA米国株式はiFree S&P500の1ヶ月後に設定されたにも関わらず信託報酬が税込み0.486%とやる気がありません。

SSGA米国株式  vs ベンチマーク

大きなヒゲはここにもあるので、S&P500トータルリターン固有のものだと判断していいでしょう。

青のラインの傾きが大きくなりました。ベンチマークと比べてリターンがより低いからです。でも青のラインはほぼ直線です。

農中<パートナーズ>S&P500

農中<パートナーズ>S&P500はiFree S&P500の約4ヶ月後に設定されたにも関わらず信託報酬が税込み0.486%とやる気がありません。

農中<パートナーズ>S&P500 vs ベンチマーク

青のラインの傾きはさらに大きくなり、かつ、直線から外れた部分が目立つようになりました。

農中<パートナーズ>S&P500の選択は賢明とは言えませんね。

iFree S&P500 vs スリム米国株式

ベンチマークとの比較結果から、SSGA米国株式と農中<パートナーズ>S&P500がコスト的に劣っていることが再確認できました。

iFree S&P500とスリム米国株式については、どちらもほぼベンチマーク通りと言えると思いますが、優劣までは分かりません。

次はiFree S&P500とスリム米国株式のリターン比較です。グラフのスケールは同じです。

青のラインはスリム米国株式ーiFree S&P500です。プラス圏にある時はスリム米国株式の方がリターンが高いです。

青のラインが示しているのは、リターンにはほとんど差がないということです。

結論

  • iFree S&P500とスリム米国株式の運用はほぼベンチマーク通りと言っていいでしょう。
  • SSGA米国株式の運用もほぼベンチマーク通りと言っていいでしょう。
  • 農中<パートナーズ>S&P500の運用は、相対的に他の比較対象より劣ると言っていいでしょう。

スリム米国株式は、ベンチマーク通りの運用という点では不満はありませんが、iFree S&P500より十分信託報酬が安いのにリターンに差がない現状を深刻に受け止めて欲しいと思います。

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