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【不誠実】One Tap BUYのつみたてロボ貯蓄が見せたくないリスク

投稿日:2019年5月25日 更新日:

One Tap BUYは当初、お金はないけど若い人をターゲットにしていたと思われます。若い頃から投資に関心を持つのは素晴らしいことですが、One Tap BUYのアプローチには違和感をおぼえていました。

その後当初の志を忘れて暗黒面に落ちてしまいました。

今度はお金はあるけど金融リテラシーのない高齢者をターゲットにしたサービスを開始しました。「つみたてロボ貯蓄」です。

つみたてロボ貯蓄の問題点

僕が一番まずいと思うのは、預金よりも圧倒的に有利かつリスクが少ないと思わせる(リスクを感じない)方法で売り込んでいる点です。

つみたてロボ貯蓄

引用:One Tap BUY

金融リテラシーのない高齢者が狙われるのは「高分配・高配当コース」です。

高分配・高配当コース

引用:One Tap BUY

最初の2つは個別株、残りはBlackRock社のETFです。直近の分配金実績を年利で表示していますが、ターゲットになる高齢者はこれを円定期預金と同じ感覚で捉えてしまいそうです。サイト全体がそういう有利誤認をしかねない作りになっています。細かい字でリスクについての説明もありますが、総じて誠実さが感じられません。

ではOne Tap BUYが厳選した7商品をまじめにレビューしたいと思います。左上から順に行きます。(分配金の年利が高い順です。)

出典

取引価格データはYahoo! FINANCEからダウンロードしました。グラフはどれもドルのままです。配当金実績の出典は各銘柄の説明に書きました。

なお、配当金は米国で10%課税された後、日本で20.315%課税されてから、円で証券口座に入金されます。その際は為替手数料はかかりません。また再投資はされません。(One Tap BUYに確認しました。)

ARCCエイリアスキャピタル

株式が公開された2004年10月以降の取引価格の推移です。

ARCCエイリアスキャピタル

リーマンショックによる暴落後は伸び悩んでいるのか、これが正常なのかは分かりませんが、ある狭い範囲での変化となっています。この様子だと、キャピタルゲイン(資産価値の上昇で得る利益)は期待できません。

でも年利8.70%もの配当金が得られるならいいじゃないですか。こちらによるとARCCの直近3年間の配当金は年間で1.52ドル程度です。直近3年間の取引価格の平均は16.4ドルなので、年率9.3%程度の配当金実績でした。

非課税口座でもない限り国内課税20.315%は当たり前で、円預金の利率だって税引前の数値を表示します。よって米国課税10%のみ考慮した8.37%が期待値となります。すごく高いじゃないですか。飛びついちゃいそうですね。

問題は取引価格の推移です。変動しながらも右肩上がりで上昇することが期待できるなら、資金投入後にホールドしていれば評価額がプラスの状態で売却することを思い描けます。(その通りにできる保証がないのでリスク資産なわけですが。)が、ARCCの取引価格は成長していないので、それが続くなら含み損の状態で売却することになるかも知れません。

ARCCはやめた方がいいでしょう。

MAINメインストリート

株式が公開された2007年10月以降の取引価格の推移です。

MAINメインストリート

S&P500種指数に投資するETFであるIVVと比較します。

MAINメインストリート vs IVV

緑のラインがIVVです。MAINはボラティリティ(変動率)が高いですが、S&P500に劣らない成長率を維持していることがうかがえます。

こちらにあるMAINの配当金実績から直近2年分の平均額は0.195ドルでした。年間だと2.34ドルです。直近2年間の取引価格の平均は38.5ドルでした。よって米国課税10%のみ考慮した5.5%が期待値となります。

One Tap BUYでは年利7.27%とありますが、取引価格の変動率が高いので計算方法で大きく変わるでしょう。

MAINの投資対象がどういうもので、どういうリスクがあり、過去の実績も踏まえてどういう投資姿勢で臨めば良いか判断できるなら買ってもいいと思いますが、米国株式マニアでないなら避けたほうが無難でしょう。

PFF優先株式&インカム証券

設定来の取引価格の推移です。

PFF優先株式&インカム証券

リーマンショックによる暴落後は伸び悩んでいるのでしょうか。また、徐々に下落しているように見えます。この様子だと、キャピタルゲインは期待できないですね。

こちらにあるPFFの配当金実績から直近2年分の平均額は0.176ドルでした。年間だと2.11ドルです。直近2年間の取引価格の平均は37.5ドルでした。よって米国課税10%のみ考慮した5.1%が期待値となります。

One Tap BUYでは年利5.91%とありますが、それぐらいの違いは避けられないでしょう。

値上がりが期待できないと配当金が5%あっても元本割れのリスクが高まります。おすすめできないですね。

EMBドル建新興国債券

設定来の取引価格の推移です。

EMBドル建新興国債券

リーマンショックによる暴落後、しばらくは成長していましたが、その後伸び悩んでいるように見えます。

こちらにあるEMBの配当金実績から直近2年分の平均額は0.466ドルでした。年間だと5.59ドルです。直近2年間の取引価格の平均は110.8ドルでした。よって米国課税10%のみ考慮した4.5%が期待値となります。

One Tap BUYでは年利5.63%とありますが、それぐらいの違いは避けられないでしょう。

4.5%の配当金が期待できるとしても、わざわざ扱いにくい新興国債券に投資することはないでしょう。

HYGドル建ハイイールド社債

このレビューを始めたことを後悔していますが、続けます。設定来の取引価格の推移です。

HYGドル建ハイイールド社債

リーマンショックによる暴落後、しばらくは成長していましたが、その後伸び悩み、近年は下落傾向です。

こちらにあるHYGの配当金実績から直近2年分の平均額は0.374ドルでした。年間だと4.49ドルです。直近2年間の取引価格の平均は86.3ドルでした。よって米国課税10%のみ考慮した4.7%が期待値となります。

One Tap BUYでは年利5.27%とありますが、それぐらいの違いは避けられないでしょう。

ハイイールド社債は信用格付けが低い代わりに利率が高いわけで、一般のインデックス投資家も敬遠した方が良いと思われます。ましてや高齢者向きではないでしょう。

USIGドル建投資適格社債

設定来の取引価格の推移です。

USIGドル建投資適格社債

リーマンショックによる暴落後、しばらくは成長していましたが、その後は10%のレンジ内で変動しています。

こちらにあるUSIGの配当金実績から直近2年分の平均額は0.240ドルでした。年間だと2.88ドルです。直近2年間の取引価格の平均は54.6ドルでした。よって米国課税10%のみ考慮した4.7%が期待値となります。

One Tap BUYでは年利3.44%とありますので僕の計算より低いですね。

投資適格社債はハイイールド社債の逆です。ハイイールド社債よりはいいと思います。でもこのサービスに惹かれる対象者向きとは思えないです。いや、そういう表現だと向いている投資対象を見つけるのは困難ですね。「そんな都合の良いものなどこの世に存在しない」になるかと。

TLT米国国債20年超

これで最後です。やっと僕も名前を知っていた商品の登場です。設定来の取引価格の推移です。2002年8月からです。

TLT米国国債20年超

他の商品にあわせて2007年以降だとこうです。

2007年以降

S&P500種指数に投資するETFであるIVVといっしょにプロットします。

IVVといっしょにプロット

株式といくらか逆相関の特性を持っています。その特性を活かすべく株式とあわせたポートフォリオを構成する人も多いです。

こちらにあるTLTの配当金実績から直近2年分の平均額は0.264ドルでした。年間だと3.17ドルです。直近2年間の取引価格の平均は121.7ドルでした。よって米国課税10%のみ考慮した2.3%が期待値となります。

One Tap BUYでは年利2.63%とありますのでそんなものでしょう。

対象の7商品の中ではもっとも一般人向けだと思います。米国長期債の金利が高い時期に買えれば期待に近い結果が得られる可能性が上がりますが、このサービスはある期間での積み立てを前提にしていますし、そもそも米国の金利の動向を見て行動する人を対象にしていないので、運任せになってしまいます。

円定期預金とは違う

すっごい昔ですが、民営化される前の郵便局の定額貯金10年ものは過去2回、12%もの信じられない金利になったことがあります。

引用:郵便貯金の長期推移と元加利息の寄与

今では「ありえねー」ですね。現在、ボッタクリ商品との抱合せでもない限り、円定期預金で普通に利用できる年利1%以上のものは存在しません。

ですから年利2%超がずらりと並んだ「つみたてロボ貯蓄」の画面はとんでもなく魅力的に見えることでしょう。問題は投資元本が大きな価格変動リスクにさらされることが意識されないようなアプローチをとっていることです。わずかな金融リテラシーがあれば、リスク資産に投資するからそれだけ高い配当金が期待できると分かりますが、それを持たない人をターゲットにしていると思われます。

手数料

手数料についてはこちらにスッゲー分かりにくい説明があります。せめて表にまとめて欲しいです。

つみたてロボ貯蓄の「高分配・高配当コース」では売買手数料はかかりませんが、売買時に1ドルあたり1円かかります。1ドル110円とすると片道0.9%です。片道で終わることはないので手数料は1.8%と理解するのがいいでしょう。

仮に1ドル110円のままで、1,000万円積み立てて取引価格に変動がなく1,000万円をそのまま売却すると、それを1年かけて行おうが10年かけて行おうが、手数料の合計は18万円です。

WealthNaviの手数料は現在税込み1.08%なので、毎年200万円積み立てるのを5年間続けると6年目が終わる頃には手数料の合計は32万円を超えます。WealthNaviの保有資産が1,000万円あると毎年の手数料負担は10.8万円です。

それを考えるとつみたてロボ貯蓄の「高分配・高配当コース」の手数料は驚くほどではないかも知れません。いや、WealthNaviを比較対象にしたのは不適切かも知れませんね。

超ローコスト投信のトータルコスト水準から考えると、ボッタクリとは言わないまでも高いです。

なお、ここではETFの経費率を考慮していません。参考までに経費率を載せておきます。

  • PFF:0.46%
  • EMB:0.39%
  • HYG:0.49%
  • USIG:0.06%
  • TLT:0.15%

もっとリスクの高さが分かるようにして欲しい

リスクの高さが分かるようにすると、ターゲットにしているお金を持っているけど金融リテラシーのない高齢者を獲得できなくなるので、ビジネス的に避けたいでしょうね。でもそんな商売を2019年にやりますかね。

One Tap BUYの手数料水準が、提供しているサービスに比べて大したことはないとしても、もし元本割れしないと思って利用を始めた高齢者がいたとしたらそれを金融リテラシーがないのが悪いとか、情弱だとか、いわゆる自己責任で済ませていいものでしょうか。

リスク資産への投資を勧誘する以上、相応の倫理観や誠実さが求められると思います。金融庁に指導して欲しいものです。

2019年6月4日追記

我が家は読売新聞を購読していますが、問題の「つみたてロボ貯蓄」の広告が載っていました。

引用:読売新聞

引っかかってリスクの高さを理解しないまま投資してしまい、将来後悔するハメになる高齢者がそれなりにいるでしょうね。

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