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もしも楽天全米株式(完全分配型)が設定されたら儲かるのか【訂正あり】

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たわら男爵様のブログで興味深いレポートが紹介されていました。

内容は超マニアックで、僕も読んでて頭がクラクラしますが、思いっきり要約するとこうなります。

  • 2020年から投資信託が外国資産から受け取る配当金の課税ルールが変わります。
  • これまでは完全無分配型が(課税の繰り延べ効果により)有利でしたが、2020年からは完全分配型の方が有利になる可能性があります。
  • ただし、つみたてNISAやiDeCoなどの非課税口座では完全無分配型が有利です。

数学的に生成したデータでは現実味がないので、VTIの実データを使って完全分配型の効果を調べました。

2019年6月23日追記

たわら男爵様からコメント欄で指摘を頂きました。外国籍の投資信託(ETF含む)を買うものは、新税制の外国税額控除が適用されないそうです。よって、楽天バンガードシリーズの組成では完全分配型を作れません。

この記事に登場する楽天全米株式(完全分配型)は、あくまでその効果をVTIの実データを使って調べてみるために引用した、と理解して下さい。

楽天全米株式(完全分配型)

楽天全米株式はVTI(バンガード社のETF)を買うだけのインデックスファンドです。VTIから年4回得られる配当金は、米国での10%課税後に国内課税されることなく再投資されています。

でも、つみたてNISAやiDeCoなどの非課税口座でない場合は、楽天全米株式の売却時に利益に対して20.315%課税されます。

仮に楽天全米株式(完全分配型)が設定されて、2020年からの税制を適用したとします。

  • VTIから配当金をもらうと、米国での10%課税なしに20.315%の国内課税だけした状態にして、即座に全額分配します。年4回です。
  • 受益者が証券会社で「分配金再投資型」を選択していると、分配金は自動的に再投資されます。

VTIを買うだけのインデックスファンドを完全分配型にするなら、この対応が最も効果的です。

課税の繰り延べ効果

まず、現行の楽天全米株式と、楽天全米株式が現在の税制のもとで完全分配型だった場合の、税引き後リターンの差を見ます。2013年年初から2019年5月末までです。

課税の繰り延べ効果

比較するデータはVTIのトータルリターンを生成する要領で作成しました。楽天全米株式特有の運用コストは付加していません。楽天全米株式の名前だけ借りた形です。

現行税制の完全分配型は米国課税10%さらに国内課税20.315%後の配当金を再投資しますが、その際元本が増えます。

青のラインは完全無分配型ー完全分配型です。売却時の税引き後評価額の差です。この期間のVTIは取引価格の上昇率が高い(=利益率が高い)ため、課税の繰り延べ効果がとても高いです。

くどいですが、現行の税制では完全無分配型が有利で、受益者のために税務リスクを負ってそれを実現してくれています。

楽天全米株式(完全無分配型) vs 楽天全米株式(完全分配型)

まず税引き前評価額の比較です。グラフのスケールは同じです。

楽天全米株式(完全無分配型) vs 楽天全米株式(完全分配型)、税引き前評価額

完全無分配型は配当金に10%課税、完全分配型は配当金に20.315%課税しています。

次は税引き後評価額の比較です。

楽天全米株式(完全無分配型) vs 楽天全米株式(完全分配型)、税引き後評価額

次は右軸のスケールを拡大したものです。

右軸のスケールを拡大

青のラインがプラス圏内にある時は完全無分配型が有利、マイナス圏内にある時は完全分配型が有利です。

この期間のVTIだと課税の繰り延べ効果の方が大きい時が多いですね。

VOOの場合

全く同じ処理をVOO(S&P500種指数に投資するバンガード社のETF)で行いました。

VOOの場合

この期間のVOOだと途中から完全分配型の方が有利な状態が続きました。

売却時の課税方法

  • 完全無分配型は配当金の再投資で元本が増えません。そのため売却時には配当金とそれが生み出した利益全体に(元本を上回っていれば)課税されます。
  • 完全分配型は配当金の再投資で元本が増えます。そのため売却時には(もう)配当金そのものには課税されません。

頭がどうかなりそうだとしても恥ずかしくありませんから安心して下さい。課税の繰り延べはややこしいのです。(さらに、売却時に含み損だと繰り延べた課税を免れることもできてしまいます。)

結論

楽天全米株式(完全分配型)が設定されたら、現行の楽天全米株式より儲かるかどうかはやってみないと分からないと思います。基準価額の上昇率が高い時は課税の繰り延べ効果が大きくなるので、完全分配型は相対的に不利になります。

課税の繰り延べ効果が低い投資対象の場合は、完全分配型の方が有利になると思われます。

非課税口座ではほぼ無意味

  • 非課税口座なら、完全無分配型は配当金に国内課税されることはありません。
  • 非課税口座でも、完全分配型は配当金に(外国課税はされませんが)国内課税されてしまいます。
  • 外国課税の税率が国内課税の税率より低いなら、完全無分配の方が有利です。(多くの投資信託でそうなると思います。)

また、非課税枠に上限があるNISA、つみたてNISA、ジュニアNISAで投資する投資信託が分配金を出した場合、再投資型を選択していると次のことが起きます。

  • 年間の非課税投資枠にあまりがある場合は、それを使って再投資されます。(同じ投資信託を非課税口座で自動的に買ってくれます。)その分、非課税投資枠は減るので、設定通りに買えなくなる可能性があり、注意が必要です。
  • 年間の非課税投資枠にあまりがない場合は、同じ商品を特定口座で買ってくれます。(楽天証券の場合。)

iDeCoの場合は分配金は必ず再投資されるそうです。

もし完全無分配型が組成されるとしても、課税口座でなければ意味がないことを考えると対象は限られるでしょう。でも、つみたてNISAやiDeCoで採用されないワイルドな(やんちゃな)投資信託も存在するので、ちょっと楽しみでもあります。

なお、つみたてNISAやiDeCoで採用されている既存の、事実上無分配型である投資信託が、来年以降完全分配型に変わることはありえないと思っています。

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