インデックス投資 年金

【老後資金】トンチン年金とつみたてNISAではどちらが有利ですか

2019年7月2日

みなさん、トンチン年金をご存知でしょうか。民間の終身保険の一種ですが、早死にすると損、長生きすると得というトンチン性が強いのが特徴です。

公的年金は終身年金で、人の寿命に基づいた計算で成り立っています。トンチン年金も同じですが、民間の運営なので税金は投入されませんし、保険会社のコストと利益が引かれます。

長生きリスクに対応する上で公的年金だけでは足りない場合に、トンチン年金という選択肢が複数の保険会社から提供されていることは歓迎します。でも、かなり頑張って長生きしないと損益分岐点を超えません。おや、またそんな不穏当な表現を使ってしまいましたね。インデックス投資家の性分ですね。

おことわり

トンチン年金は民間の保険会社が運営する、互助の性格が強い保険です。この記事では比較対象として、つみたてNISAによるインデックス投資を取り上げていますが、トンチン年金の利用を選択したい人に代替案として勧めるものではありません。

トンチン年金に申し込もうと保険会社に連絡してもカモにはされないと思いますが(多分)、インデックス投資が良いと聞いて勉強しないまま金融機関に相談したら高い確率でカモにされます。それは避けられたとしても、リスク資産の高い変動率(ボラティリティ)に耐えられずライフプランが崩れる可能性が高いでしょう。

ちなみに、大学生の子供にはこう言いかせています。金融機関と保険会社から来る人は基本的に詐欺師だから相手にしないこと。

トンチン年金

複数の保険会社が提供していますが、50歳など年齢が高くなってからでないと契約できないようです。この記事では第一生命の「ながいき物語」を例にあげます。

ながいき物語

引用:第一生命

次は上記サイトからの抜粋です。55歳から70歳になるまでの15年間毎月54,000円(総額972万円)を支払い、70歳から終身で年額51.11万円の年金を受け取れます。

ながいき物語の契約例

でも損益分岐点を超えるには頑張って89歳まで生きる必要があります。長生きリスクに対応する保険なのでその厳しさよりも、終身であることの安心感を評価しましょう。

女性の場合は年金額が41.08万円に下がり、損益分岐点は93歳に上がります。

50歳で契約、70歳から受け取る場合

つみたてNISAと比較したかったので、拠出期間20年だとどうなるか、第一生命に電話して教えてもらいました。保険料54,000円は変わりません。

  • 男性:年金額69.41万円、保険料総額は1,296万円、損益分岐点は88歳
  • 女性:年金額55.68万円、保険料総額は1,296万円、損益分岐点は93歳

トンチン年金にかかる税金

年金額ー必要経費が雑所得になります。上記の男性の場合、必要経費はこうなります。(70歳時点の平均余命を16年にした場合。)

69.41万円✕(1,296万円/(69.41万円✕平均余命16年))=81万円

必要経費の方が大きいので税金は発生しません。

つみたてNISAでスリム先進国株式に投資する場合

長生きリスクへの対応は基本的に公的年金でできており、他にも金融資産があるBさんに登場して頂きます。Bさんは現在49歳ですが金融リテラシーがあり、インデックス投資の経験もあります。Bさんは50歳になる2020年からつみたてNISAに20年間投資し、70歳直前の2039年末から20年間、非課税期間が満了したものを毎年売却して追加の老後資金にすることを考えました。あくまで生活に余裕を与えるためです。

この投資の原資は800万円です。20年間、毎月33,333円をスリム先進国株式に投資します。その後20年間、毎年20年寝かせたスリム先進国株式の売却益を非課税で手にします。

未来のシミュレーションをするのに、僕が懇意にしている未来人にスリム先進国株式の2060年までの基準価額の推移を教えてもらいました。

スリム先進国株式、2020年から40年間

緑のラインは期待リターン年率5%で数学的に生成したものです。実際のリターンはそれよりは悪く、大きな暴落を2回経験します。

次は2020年に毎月初33,333円投資してその後19年間ガチホした時の評価額の推移です。

2020年に毎月初33,333円投資してその後19年間ガチホした時の評価額の推移

2022年の暴落時にはマイナスになりますが、Bさんはうろたえません。逆に、2022年、2023年に行う投資が20年後にもたらしてくれるであろう大きな果実を楽しみにします。

次はBさんが70歳になってから受け取る(69歳の年末から売却する)投資成果の一覧です。

リスク資産ですから利益率は変動します。暴落時にも積立投資を継続したので投資元本を超える損益分岐点は75歳でした。

次は利益率の推移です。利益率100%は投資元本が2倍に増えたということです。

利益率の推移

つみたてNISAの圧勝

トンチン年金とは比較にならないほどの、つみたてNISAの圧勝でした。トンチン年金は終身年金とは言え、100歳まで長生きできても受け取り総額は2,082万円です。このシミュレーションだと、つみたてNISAで10歳早く2,112万円を手にできました。しかも、トンチン年金に払った総額は1,206万円なのに対して、つみたてNISAに投資した総額は800万円です。

結論

トンチン年金は長生きリスクに対応するのに手堅い選択肢ではありますが、次の課題があります。

  • 公的年金の素晴らしさを再認識できるほど、お得感に欠けます。
  • 長生きできなかった場合は確実に損します。トンチン性ゆえその傾向が強いです。
  • インフレリスクに対応できません。

次はつみたてNISAでリスク資産に投資する場合の特徴です。

  • 最初の1年間で投資した40万円を19年間ガチホすることで、高いリターンを得られる可能性が十分ありますが、確実ではありません。そのリスクを負える人だけが相応のリターンを手にできます。
  • 自分のリスク許容度、リスク選好度にあった商品を選ぶのは、インデックス投資の経験なしでは無理だと思います。逆に、できる人にとっては、つみたてNISAは素晴らしすぎる少額投資非課税制度です。
  • インフレリスクに対応できます。
  • トンチン年金と違って本人が早死にしても相続人の特定口座に移動するだけで、即座に損が確定するわけではありません。

つまるところ、トンチン年金を利用する人は自身の寿命(長生きできる可能性)に保険料を賭けます。保険会社が統計結果から算出した損益分岐点を超えて長生きできれば得するわけですが、長生きリスクへの対応手段なので、そういう考え方は馴染みません。

やはり、長生きリスクに対応するには公的年金が最良です。国民年金、厚生年金のお得度は圧倒的です。

受給額が少ないなら繰り下げ受給も考えるべきです。

それでも多くの場合、公的年金だけでは老後資金が不足するでしょうから、自助努力で老後資金を別に用意する必要があります。その手段として、つみたてNISA、iDeCoがあります。

若い時から金融リテラシーを身につけ、勤勉に働いて節約に努め、非課税制度を上手に利用して資産形成できる人は、世界経済の成長に賭ける(投資する)ことでとんでもなく大きなリターンを手にできる可能性が高いです。50歳ぐらいになってトンチン年金の利用を考える必要に迫られる人との違いは、残酷なまでに大きいと思われます。これが資本主義社会の現実です。

残念なことがひとつ

残念なことに、素晴らしすぎるつみたてNISA制度で投資できるのは(20年の非課税期間が付与されるのは)2037年までです。この記事のシミュレーションはそれを無視しています。いや、2037年になる前に、きっと、恒久化されるか20年ぐらい延長されると信じています。

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