インデックス投資

スリム米国株式(S&P500)のトータルコストは期待を裏切らない低さでした

2019年7月3日

米国株式人気とスリムシリーズのブランド力、業界最安の信託報酬により先行していた商品の純資産総額をあっさり抜き去ったスリム米国株式の(前置き長い)第一期運用報告書が公開されました。そこから計算されたトータルコストは受益者の期待を裏切らない低いものでした。ただし、運用報告書にすべてのコストが掲載されるわけではないことは、三菱UFJ国際投信自身が繰り返し明言していることに注意する必要があります。

トータルコスト比較

スリム米国株式の先輩にあたる2商品と比較します。iFree S&P500とSSGA米国株式です。

トータルコスト比較

SSGA米国株式は税込み信託報酬が0.486%と高いです。iFree S&P500よりも後に設定されたことを考えるとやる気が感じられません。iFree S&P500の税込み信託報酬は0.243%と十分安い水準で設定されましたが、10ヶ月遅れで登場したスリム米国株式の税込み信託報酬は0.1728%でした。これは(ベンチマークは異なるものの)楽天全米株式への対抗でしたが、そうすると決めた背景には他の判断もあったと思われます。

その後楽天全米株式の源資産であるVTI(バンガード社のETF)の経費率が0.04%から0.03%に0.01%ポイント引き下げられると、同一首位の最安水準を守るスリムシリーズらしく、信託報酬を0.01%ポイント引き下げました。

iFree S&P500は隠れコスト税込み0.1292%は若干高めですが、驚くほどではありませんでした。今回判明したスリム米国株式の隠れコストは税込み0.0799%と期待を裏切らない低水準でした。

その結果、スリム米国株式のトータルコストはiFree S&P500の65%しかないことが分かりました。

次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細

iFree S&P500の隠れコストに突出して高いものはありませんが、強いて言えば売買委託手数料と保管費用が少し高いです。

運用報告書はあてにならない

運用報告書にすべてのコストが記載されるとは限らないが、すべてのコストは基準価額に反映されていると、三菱UFJ国際投信は明言しています。これを踏まえてスリム米国株式とiFree S&P500の基準価額を比較すると大きな疑問が出てきます。

普通は設定日直後を避けて10日程あとから比較するのですが、どうもスリム米国株式は設定直後の不安定な期間がもう少しあったようです。そこで8月1日から比較します。

スリムS&P500 vs iFree S&P500

青のラインがリターン差ですが、ほとんどフラットです。右肩上がりでも右肩下がりでもありません。これは、スリム米国株式とiFree S&P500の真のトータルコストは変わらないことを示しています。

次は同じ期間のスリム先進国株式とニッセイ外国株式のリターン比較です。スケールは同じです。

同じ期間のスリム先進国株式とニッセイ外国株式のリターン比較

ほとんど差がありません。

でもスリム先進国株式とたわら先進国株式のリターン差を見ると、トータルコスト差の作用が良く分かります。

スリム先進国株式とたわら先進国株式のリターン差

青のラインは右肩上がりです。

スリム米国株式 vs SSGA米国株式

ではスリム米国株式とSSGA米国株式ではどうなるでしょうか。スケールは同じです。

きれいな直線ではありませんが、青のラインは右肩上がりで、この比較期間で0.20%ポイント程度の差が生まれています。年率換算だと0.22%ポイントほどです。

スリム米国株式とSSGA米国株式の決算期間はほぼ同じですが、運用報告書から計算されるトータルコストには0.33%ポイントの差があります。でも現実のリターン差はそこまでありません。

これには様々な要素が関係していると思いますが、いろんな投信のリターン比較をしてきた経験から言っても、運用報告書はあてになりません。運用報告書にある数値は参考程度にとどめ、ごまかしの効かない基準価額データの比較結果をもって、運用の上手い下手も含めて評価するのが良いと考えます。

スリム米国株式のコストを増量すると

次はスリム米国株式と、そのコストを(控え目に)年率0.1%ポイント増量したもののリターン比較です。

スリムS&P500と、そのコストを(控え目に)年率0.1%ポイント増量したもののリターン比較

もし、それぐらいのトータルリターン差が現実にあり、どちらもベンチマークに忠実な運用がなされているなら、この青のラインのような右肩上がりになるのが期待値です。

まったくそうではなく、青のラインはほぼフラットなので、スリム米国株式とiFree S&P500の、2018年8月以降のトータルコストはほとんど変わらないはずです。

iFree S&P500のトータルコストが改善されたのか

iFree S&P500の第二期運用報告書が公開されるのは11月ですが、それから計算されるトータルコストがスリム米国株式のそれと大差ない、つまり、第二期決算期間のトータルコストが大きく改善されていたのなら、現実のリターン比較と辻褄があいます。そうであることを願いますが、もし、まだ十分大きな差があったら困惑してしまいます。

iFree S&P500の第二期運用報告書が公開されるのを楽しみに待つことにします。

売れ行きは

次は設定来の総口数の推移です。

純資産総額は多い順に215.8億円、74.1億円、15.2億円です。赤のラインのiFree S&P500は明らかに頭打ちになっていますが、青のラインのスリム米国株式は順調に伸ばしています。

この結果に、三菱UFJ国際投信は目論見が当たって良かったと安堵していることでしょう。公募投資信託としてS&P500種指数に対応したのはスリム米国株式が初で、eMAXISシリーズにすら存在しない商品です。スリムシリーズだって出せばなんでもヒットするわけではありません。

結論

公開されたトータルコストは受益者の期待を裏切らない低さでした。これまでは様子見をしていた人も安心して投資できるでしょうから、今後も安定した伸びが期待できます。

それはスリムシリーズの地位を盤石なものにするのを助け、ひいては我が家が集中投資するスリム先進国株式にも良い影響を与えます。

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