インデックス投資

一般人はVTIよりも楽天全米株式を買う方が儲かる仕組みを解説します

2019年7月14日

この記事ではVTIと楽天全米株式を取り上げますが、VTと楽天全世界株式にもそのまま適用できます。

結論としては毎月の投資可能額が5万円から10万円程度の一般人の場合、VTIより楽天全米株式の方が儲かります。

そして、VTIの購入を勧めるETFマニアの甘言に乗ってはいけません。極めて高い確率で損します。それは仕組みを理解すれば納得できます。

なお、いつもより丁寧に説明しているので、文章がさらにくどいです。ご了承ください。

比較方法

次の条件で比較します。過去のVTI vs 楽天全米株式の記事と違うところを太字にしています。

  • 国内の特定口座での比較です。
  • 楽天全米株式またはVTIを購入する月額予算を5万円とします。手数料負けしないので一般人らしい予算にしました。
  • 楽天全米株式は設定日直後に恥ずかしいことが起きているのでそれを外して2017年11月から毎月初に積み立てします。
  • 円をドルに転換する為替手数料は4銭とします。SBIネット銀行+SBI証券でしか4銭にはできないと思います。
  • 購入時手数料は購入代金の0.45%で最低0セント、最高20ドルとします。
  • 毎月の購入予算5万円ぴったりにはETFを買えませんが、端数は翌月に回しません。
  • VTIの保有株数に応じてもらえる配当金に10%の米国課税を適用、さらに20.315%の国内課税を適用します。
  • 配当金を再投資する場合だけで比較しますが、配当金の再投資は毎月初の積み立て時にまとめてVTIを購入することで行います。
  • 楽天全米株式の積み立て金額は、VTIと比較するため、VTIの購入にかかった費用(=購入代金+為替手数料+購入時手数料)とします。これ以上公平な比較方法はないでしょう。
  • 外国税額控除は無視します。

なお、説明の都合上VTIも楽天全米株式も楽天証券で購入するものとし、過去の購入に対しても上記ルールを適用します。

VTI vs 楽天全米株式

次のグラフの青のラインは、VTIを自分で買った場合の評価額と、楽天全米株式の評価額の差を示しています。黄色の丸で囲ったところにあるヒゲは無視してください。

VTI vs 楽天全米株式

青のラインがオレンジの0%のラインより上側にある時は、楽天全米株式の評価額の方が高いことを意味します。おおむね0.5%程度より上を推移していますね。

赤の矢印がある、比較期間の最初から0.5%近い差がありますが、どうしてそうなるのでしょうか。VTIを購入する毎月の予算は5万円ですが、VTIは1株の取引価格の整数倍でしか買えません。比較期間の初日は2017年11月1日ですが、VTIの取引価格は132.33ドルでした。予算5万円で買えるのは3株で、円をドルに替える為替手数料と取引手数料とその消費税を加えた45,435円を楽天証券に払います。でもその日のVTIの評価額は、保有している3株✕取引価格を円換算した45,201円です。

公平な比較のため、同じ日に楽天全米株式を45,435円買った(約定した)ものとしています。楽天全米株式はもちろんノーロードなので手数料ゼロで購入でき(為替手数料は請求されません)、その日の楽天全米株式の評価額は45,435円です。

そのため初日から為替手数料と取引手数料分の差ができるのです。為替手数料は1ドルあたり4銭、取引手数料は0.45%(税込み0.486%)ですから、青のラインが0.5%あたりから始まるのは当然です。

運用コストによるリターンの劣化

楽天全米株式はVTIを買うだけのインデックスファンドで、VTIを保有しているだけで全く取引をしない場合は、楽天全米株式が純資産総額から天引きする信託報酬+隠れコスト(=運用コスト)だけ、リターンはVTIの方が有利になります。

次のグラフはこちらの記事からの引用です。

楽天全米株式と本家VTIのリターン比較

青のラインは楽天全米株式の基準価額ー本家VTIの取引価格で、傾向としては右肩下がりですが、赤の矢印のところでドーンと跳ね上がっています。右肩下がりなのは、楽天全米株式が純資産総額から天引きする運用コストによってリターンが劣化するからです。赤の矢印のところで跳ね上がるのは、VTIから得られる配当金を再投資するからです。本家VTIの方は配当金を再投資していません。

配当金の再投資

最初に見たグラフの右軸のスケールを拡大しました。

配当金を再投資している様子

青のラインが右肩下がりで推移するのは楽天全米株式固有の運用コストによるものです。が、毎月初に予算5万円で買えるだけの株数のVTIを購入しますが、その際に初日と同じ理由で税込み手数料分だけの差が生まれてしまいます。つまり、VTIをホールドしているだけなら楽天全米株式固有の運用コスト分だけVTIの方が有利ですが、VTIを買うたびに税込み手数料分だけVTIの方が不利になるのです。

さらにVTIの購入が圧倒的に不利なことがあります。配当金の再投資効率が悪いのです。楽天全米株式がVTIから得る配当金とあなたがVTIから得る配当金は保有株数比で見ると同じです。が、楽天全米株式は配当金に国内課税を適用することなく、ほぼ100%再投資できるのに対し、あなたが手にする配当金には国内課税が適用されます。さらに、VTIは1株の取引価格が14,000円から16,000円もするので、配当金がそれ以上貯まらない限り再投資できません。

上のグラフでは年4回もらえる配当金は円換算して評価額に加えています。つまり、赤の矢印の位置で楽天全米株式は国内課税なしに再投資し、VTIは国内課税後に口座に貯め置きし、計算上評価額に加算しています。

話を単純化すると、赤の矢印の位置で生まれる差は、国内課税によるものです。でもこれは課税の繰り延べに過ぎず、売却時には繰り延べ分にも課税されます。ですが、ここに大切な事実があります。

  • 長期投資になると課税の繰り延べ効果は馬鹿になりません。
  • 毎月の予算が5万円だと取引価格の高いVTIはなかなか再投資(追加購入)できませんが、配当金を口座に置いたままではほとんど利を生みません。

楽天全米株式の再投資効率の高さは、投資期間に比例して複利の破壊力を発揮します。

課税の繰り延べ効果については次の記事で検証しています。

取引手数料が0.2%に下がったら

主要ネット証券会社の米国株式取引手数料はなぜか0.45%で統一されています。もしこれが0.2%に引き下げられたらETFマニアは狂喜乱舞してさらにETFの購入を勧めることでしょう。それでも楽天全米株式の方が儲かります。

取引手数料が0.2%に下がったら

青のラインは下方向にシフトしましたが、その程度の引き下げでは楽天全米株式の優位は変わりません。

為替手数料も取引手数料も無料なら

では思い切って手数料の完全無料化に踏み切りましょう。

為替手数料も取引手数料も無料なら

運用コストは楽天全米株式が不利、再投資効率は楽天全米株式が有利で、比較期間前半はマイナス圏を推移します。でも再投資でVTIを追加購入できている楽天全米株式は、終盤、株価上昇の恩恵を受けてプラス圏で差を広げています。

ガチホ中の保有コストはVTIの方が有利

VTIの積み立て投資が完了してガチホに入ると、保有コストはVTIの方が有利です。VTIの経費率しかかからないからです。楽天全米株式はVTIの経費率に加えて、楽天全米株式固有の信託報酬と隠れコストが必要です。

でも、ガチホ中にも得られる配当金の再投資効率を考えると、楽天全米株式の保有コストは負担するに値すると思います。

次の記事で検証しました。

売却時にも手数料が必要

楽天全米株式の場合、解約時信託財産留保額はないので、ほぼ制約なく好きな分だけ手数料なしで売却できます。

VTIの場合、売却は1株の整数倍でしかできませんし、取引手数料と為替手数料が必要です。

つみたてNISAの素晴らしさ

つみたてNISAでは海外ETFは買えません。つまり、VTもVTIも買えません。NISAでは買えました。つみたてNISAの対象商品に大きな制約を加えたのは極めて賢明な判断でした。あと必要なのは時限の撤廃(制度の恒久化)だけです。

自分で判断できないなら

楽天全米株式とVTIのどちらに投資するのが良いか自分で判断できないのなら、VTI(海外ETF)に手を出すべきではありません。不幸にしてETFマニアの甘言に乗ってしまった場合、将来ひどく後悔することになる可能性が高いです。(ETFマニアの甘言に乗った結果後悔する人は情弱と言われてもしょうがないです。海外ETFへの投資が不利なのはちょっと調べれば分かることですから。)

VTIを自分で買うことにまつわる様々なデメリットを考慮してもなお、楽天全米株式より儲かると確信が持てるならどうぞVTIを買って下さい。止めたりしませんから。

年に1回100万円の投資なら

コメント欄でご質問を頂きました。年に1回100万円を投資するならVTIと楽天全米株式のどちらが有利か?です。結果です。

年に1回100万円の投資なら

1回に100万円だと取引手数料の上限が20ドルであるため負担率が減ります。そのため青のラインは0.25%あたりからスタートしています。その後は、楽天全米株式固有の運用コストと再投資効率の高さが均衡または再投資効率の高さが優っています。結果、楽天全米株式の方が儲かると思います。

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