インデックス投資

投信会社の社長が書いた自社商品を宣伝する本の紹介記事に覚える既視感

投稿日:2019年7月15日 更新日:

記事のタイトル長くてごめんなさい。セゾン投信の中野社長は投資関係の書籍をたくさん執筆しています。Amazonで検索したら、共著を除いても20冊以上ありました。その書籍を紹介する形式の、ペイドパブ臭プンプンの記事が批判を集めることがありました。

それとそっくりの記事を見つけました。

この記事は、コモンズ投信株式会社の伊井社長が書いた「97.7%の人が儲けている投資の成功法則」の宣伝ですが、この本はコモンズ投信の商品である「コモンズ30ファンド」を宣伝するのが目的のようです。既視感ありありです。

年7%の運用を前面に出す強神経

次は上記記事からの引用です。太字にしたのは僕です。

年7%の運用なんて、いまの超低金利では無理という意見もありそうですが、それは預貯金で運用しようとするからです。将来、ある程度金利が上昇することも踏まえたうえで、預貯金の利率を平均0.5%と想定して20年間運用した場合の元利合計金額を計算すると、726万円にしかなりません。しかし、株式に投資する投資信託であれば、預貯金よりももっと資産を増やすことができる可能性が高まります。この10年間でTOPIX(東証株価指数)配当込指数は、年利10%程度のリターンは出ていますので、日本株の運用で年7%の運用も可能性は十分にあります。

S&P500種指数への投資を10年続けて配当金を100%再投資するのでも、年率7%は期待リターンとして上限だと思います。かなり強気な人でも6%~7%と表現しています。でもこの記事には日本株でも可能性が十分あるとしています。その根拠としてTOPIXの配当込み指数の過去10年のリターンは年率10%だったと言うのです。

次はTOPIX指数をベンチマークにしているニッセイTOPIXオープンの、2009年年初からの基準価額の推移です。

ニッセイTOPIXオープンの、2009年年初からの基準価額の推移

リーマンショックの暴落と低迷から見事に回復し、利益率は116%でした。よって、「TOPIXの配当込み指数の過去10年のリターンは年率10%だった」というのは正しい表現です。でも、国内株式の過去を調べたことのある人なら誰もが知っている通り、もっと長期で見ると国内株式は停滞しています。

1985年からの推移

TOPIXは1989年末に史上最高値となる2884.80ポイントを記録しましたが、その後長期間低迷しています。次は1985年から現在までのTOPIX指数の推移です。

1985年から現在までのTOPIX指数の推移

引用:TOPXチャートを河童が加工

赤の矢印が史上最高値、緑の丸で囲ったのがリーマンショック、黄色の丸で囲ったのがチャイナショックです。さっきのグラフで見たのは緑の丸で囲った部分より後です。

もう27年間ほど史上最高値の62%以下(青の水平線の水準)で低迷しています。かなり幅のあるボックス相場にいるようなものです。

インデックス投資が報われるためには変動しても右肩上がりで成長してもらう必要がありますが、現在のTOPIXはそうではありません。このまま、右肩上がりの成長傾向に変われないと、また次の暴落で大きく下落し、再度青の水平線の水準以下に押し込められてしまいかねません。

コモンズ30ファンド vs TOPIX

次はコモンズ投信の商品であるコモンズ30ファンドの設定来の基準価額の推移です。ニッセイTOPIXオープンもプロットしています。

コモンズ30ファンド

赤のラインがニッセイTOPIXオープン、緑のラインがコモンズ30ファンドです。TOPIXより安定して高いパフォーマンスを残しています。

コモンズ30ファンドは国内株式約30銘柄に投資するアクティブファンドです。信託報酬は税込み1.0584%と安くはありません。でもTOPIXより十分高いパフォーマンスを継続して残せるなら、高い信託報酬も気にならないでしょう。問題は、未来のパフォーマンスは誰にも分からないということです。

コモンズ30ファンド vs MSCIコクサイ

次はコモンズ30ファンドとMSCIコクサイをベンチマークにしている日興インデックスファンド海外株式の基準価額の推移です。

赤のラインの日興インデックスファンド海外株式の圧勝です。意地悪な僕があの記事に一文追加するとこうなります。

しかし、MSCIコクサイ(日本を除く先進国株式)への過去10年間における投資成績はTOPIXはもちろんコモンズ30ファンドを遥かに凌ぐ高いものでした。

もちろん、MSCIコクサイの未来のパフォーマンスだって誰にも分かりません。そのため、自分の投資対象の未来に賭けることになります。(それをギャンブルだと思う人にはインデックス投資は向かないです。)

結論

社長が自社製品の宣伝をする際に、自社製品への懸念を示さない、他社製品を薦めないのは当然です。取り上げた記事も書籍も広告のようなものと認識することが必要です。よく考えないで真に受けてはいけません。

とかく投資信託を勧める記事には高い期待リターンをもとにした計算結果、魅力的な数字が踊りますが、本当にそれだけの期待リターンが得られるかどうかは未来になってみないと分かりません。また、往々にしてリスクに関する話題は省略されがちです。そのため、最低限の金融リテラシーすらない状態でそのような記事、書籍に影響を受けると「いいお客さん」にされてしまうかも知れません。

投資対象はともかくとして、10年間の期待リターンが何%という話は、過去10年の実績が良くてもそれがこれからの10年間でも繰り返される保証はありません。でも国内株式は1985年からの推移を見ると僕はとても悲観的です。それよりは、日本を除く先進国株式に投資した方が儲かる可能性はずっと高いと思えるのです。それが正しいかどうかを判断するにはあと10年ほど待つ必要があります。

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