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もしも金融所得が分離課税から総合課税に変わったら

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少額投資非課税制度であるNISAは素晴らしい制度です。特につみたてNISAは制度設計のバランスが良く、足りないのは制度の恒久化です。それができれば、非課税期間を無期限にしなくてもほとんどの人は十分な恩恵を享受できるはずです。

つみたてNISAの最大のメリットは、非課税投資枠と非課税期間に制限があるものの、利益に課税されないことです。20歳以上であれば働き方に関わらず誰でも利用できる使いやすさ、分かりやすさはiDeCoを圧倒します。

一方、課税口座では確定申告が不要な特定口座(源泉徴収あり)が通常選択されます。その場合、投資信託の売却益には現在20.315%の譲渡税が課税されます。2038年以降は20%です。この税率は年収、金融資産の多い少ない、年齢などに関わらず一定です。

インデックス投資家の中にはこの税制を前提にライフプランを立てている人も多いことでしょう。それを覆すリスクは、少ないながらもゼロではありません。

れいわ新選組の主張

次の記事で参院選の選挙公約について調べました。

金融所得課税の強化については国民民主党、共産党が言及していますが、党勢から考えて無視できます。参院選が終わった今だから言えることですが、れいわ新選組は不気味です。選挙前の演説でもそうでしたが、選挙後の7月25日放送のテレビ番組内で次のように発言したそうです。

さらに所得税の最高税率を上げる。株の金融資産による所得を分離しないで総合課税とし、所得税には累進制度を利用する。これらで29兆円の財源が担保できるという試算がある。

引用:最新TV情報

日本語としておかしいところがありますが、消費税率を引き下げるなどの政策の財源案として所得税の累進性の強化と、金融所得の総合課税化をあげています。僕が赤字にしたところは、法人税に累進制度を導入するの言い間違いだと思われます。

こういうことについて人は自分や自分の家族の損得勘定で判断する傾向が強いと思います。僕は所得税の累進性の強化は何とも思いませんが(無関係だと思っていますが)、金融所得の総合課税化は困ります。増税になるからです。

現実的な問題としては、金融所得の総合課税化の実現が容易でないことは、ちょっとGoogle検索すれば分かります。それよりは、譲渡税の税率を20%から30%などに上げる方がはるかに容易で、その気になれば数年後には実施できそうですが、それには課税の逆進性があるのでポピュリズムに頼る政党は言い出せません。

なお、預貯金の利息は利子所得なので、譲渡税の税率とは独立しています。

恐怖の総合課税

金融所得の総合課税化はいかにも左派ポピュリズム政党が言いそうなことだというのは、少し調べれば分かります。が、源泉分離課税に累進性がないことが富裕層ほど有利に働くことは事実です。だからそういう主張をしたい気持ちは良く分かります。でも僕の場合、控え目な試算でも大幅な増税になるので反対です。

次は我が家のリスク資産の先月末の状況です。スリム先進国株式に1,785万円投資していますが、うち951万円は特定口座です。

NISA制度が利用できるようになったのは2014年です。若いけど入金力が平均的な人ならNISA制度、とくにつみたてNISA制度で入金力の多くを満たせると思いますが、歳とってるけど入金力が平均より高い人は必然的に特定口座を利用することになります。ここは世帯ごとに事情が異なるはずです。

そう遠くない将来にやって来るであろう暴落時には全力で追加投資しますが、非課税枠は残っていたとしてもすぐに埋まってしまうので、主に特定口座での投資となります。

仮に僕の特定口座での投資額が1,700万円になり、出口戦略発動時の評価額が2,500万円だったとします。利益率47%です。(10年以上のちに分かりますが、控え目な試算です。)僕の出口戦略ではリスク資産の大半を債券に移します。

仮に、出口戦略発動時にはつみたてNISAを残して特定口座は全額スリム先進国株式から債券に買い換えるとします。源泉分離課税で税率が現行のままなら、税金は160万円です。含み益が変わらない場合、同一年内の買い換えだろうが数年かけての買い換えだろうが税額の合計は変わりません。

総合課税の場合、売却益は他の所得と合算して累進課税が適用されます。出口戦略を発動する時の僕の収入のほとんどは公的年金だと思います。マクロ経済スライドで減らされなければ年金額は227万円程度となる見込みです。

公的年金は非課税ではありません。所得税の源泉徴収後に雑所得となります。僕の場合221万円ぐらいだと思われます。それ以外に20万円を超える所得がなければ確定申告は不要ですが、出口戦略でスリム先進国株式を売却すると売却益が総合課税のために所得総額に加算されます。同一年内に全額売却して売却益が800万円だとすると、控除後の公的年金と合算した所得は907万円にもなってしまいます。(ここでは公的年金の控除額を120万円としています。以下、税額計算における控除の扱いは正確ではありません。)

この課税所得に対して所得税が超過累進税率で、住民税が一律10%課税されます。次は超過累進税率表です。

超過累進税率表

引用:国税庁

所得税は907万円✕33%ー1,536,000円なので145.71万円です。住民税は90.7万円で、合計236.41万円にもなります。源泉分離課税より76.41万円の増税です。しかも、話はそれだけで終わりません。翌年の国民健康保険料も上がります。所得が907万円もあるとどうなるか、国民健康保険料を払っている人は震えてしまうでしょうね。我が家の場合、軽く70万円を超えるはずです。

総合課税だけはやめてくれ

源泉分離課税はほとんどの人にとって総合課税より有利な税制です。累進課税でないため、相対的に富裕層を優遇していることは否定しません。左派ポピュリズム政党は経済的に恵まれている企業や個人を目の敵にしがちですが、金融所得の総合課税化だけは勘弁して欲しいです。それは、勤勉に働いて節約に努め、貯蓄とは別に相応のリスクを負った上で投資によって資産形成している一般人にも高い税負担を求めることにつながります。

たとえば、つみたてNISAの非課税期間20年が過ぎても売却しないで保有する場合、それは特定口座でその時の評価額が元本になります。今若い人ならそこから10年、20年ガチホすることも可能でしょう。それでも売却時には総合課税になってしまいます。

どうしても金融所得への課税を強化したいなら、譲渡税の税率を上げればいいと思います。ただしそれはつみたてNISA制度の非課税枠の拡大や非課税期間の無期限化など、普通の人が特定口座を利用しなくても困らない程度にまで拡充するのとペアでやって欲しいです。だって目的は富裕層への課税強化なのですから。

インデックス投資家のあなたにできること

いくつかあります。

  • 次回以降の国政選挙で、金融所得の総合課税化を目指す可能性のある政党、またはそのような政党と連立を組みそうな政党には投票しない。それ以外の政党に投票する。(そもそも投票しないのは論外。)
  • 可能な限り非課税枠(NISA、つみたてNISA、iDeCo)から利用し、特定口座の利用は最後にする。(ただしiDeCoの利用方法はとても難しいので良く考えてから。)
  • 所得税の累進課税は個人単位なので、夫婦の場合は特定口座の利用方法を見直す。
  • 同一年内の売却総額を抑えた出口戦略を考える。

2番目以降はまさかの総合課税化に備えるものです。

責任ある議論は歓迎します

消費税を廃止するとか、最低でも5%に引き下げる場合に必要になる財源をどうするのかについて、責任ある議論は歓迎します。たとえば、所得税の累進性の強化はどういうカーブでやれば不足分を補えるとか、法人税への累進制度の導入によって予想される企業競争力のさらなる弱体化をどう見積もるかなど、感情的でない議論をして欲しいです。

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