インデックス投資

スリム全世界株式(除く日本)よりもスリム先進国株式+スリム新興国株式をおすすめします

はじめにおことわりしておきます。僕は新興国株式への投資が自分の存命中に報われる可能性は極めて低いと思っており、新興国株式に投資することはありません。ゆえにこの記事は強いバイアスがかかっていると思われます。新興国株式の未来を信じている人は不快に感じる可能性が高いので、読まれないことをおすすめします。

先進国株式 vs 新興国株式

リーマンショックの前から比較したかったのですが、(運用実績の長い)日興インデックスファンド海外新興国株式が設定されたのは2008年4月です。それで、MSCIエマージング・マーケット・インデックスをベンチマークにしているEEM(米国籍ETF)のトータルリターンと、MSCIコクサイをベンチマークにしている日興インデックスファンド海外株式を比較します。2003年4月15日から2019年7月末までです。

先進国株式 vs 新興国株式、リーマンショックの前から

赤のラインが先進国株式、緑のラインが新興国株式です。この比較だと新興国株式の圧勝に見えますが、比較期間を変えると全く違った結果になるのがリターン比較の怖いところです。(この特性を利用して読者をミスリードしていると感じる書籍を読んだことがあります。)

黄色に塗ったのがリーマンショック前です。その4年程度における新興国株式の上昇率は(変動率もですが)驚異的に高かったわけです。でもリーマンショックでの下落率も凄まじかったです。

次はEEMトータルリターンの直近の最高値からの下落率をプロットしたものです。

EEMトータルリターンの直近の最高値からの下落率

リーマンショック時の下落率は70%を超えていました。当事者なら頭抱えちゃいますね。

リーマンショック後

リーマンショックで暴落、底値を打ったあたりの2008年11月からの比較です。

リーマンショックで暴落した2008年11月からの比較

リーマンショックからの回復は新興国株式の方が早かったです。が、新興国株式は時々大きく下落してしまうため、10年程度の長さで見ると時間をかけたのに大してリターンが得られていない印象です。

先進国株式も新興国株式も一本調子で上昇できるわけはなく、変動しながらも傾向としては右肩上がりで成長していますが、「右肩上がり」の傾きが違います。

2017年以降

次は2017年年初からの比較です。2017年の新興国株式の成長率は先進国株式のそれを大きく上回りました。

2017年以降

が、2018年年初の株価調整後の新興国株式は絶不調です。要因のひとつは米中貿易戦争です。

2018年以降

次は2018年年初からの比較です。

2018年以降

2018年年初を起点にすると、先進国株式だって1年7ヶ月かけても大して成長できていません。でも新興国株式はもっと不調です。

eMAXIS先進国株式 vs eMAXIS全世界株式

次はeMAXIS先進国株式とeMAXIS全世界株式の比較です。eMAXIS全世界株式には(除く日本)が付いていませんが、先進国株式+新興国株式です。2010年8月からです。

eMAXIS先進国株式 vs eMAXIS全世界株式

eMAXIS全世界株式の12%程度は新興国株式ですので、この比較期間だと先進国株式に勝てません。

スリム先進国株式 vs スリム全世界株式(除く日本)

ここから話がエグくなります。

次はスリム先進国株式とスリム全世界株式(除く日本)の設定日直後を避けた2018年4月2日からの比較です。

スリム先進国株式 vs スリム全世界株式(除く日本)

2018年以降の新興国株式は絶不調ですから、スリム全世界株式(除く日本)がスリム先進国株式に劣後するのは当たり前です。でも次の暴落からの1サイクルにおいて新興国株式は目覚ましい成長をするかも知れません。その結果、2018年4月からスリム全世界株式(除く日本)に投資している人のリターンが、スリム先進国株式に投資している人のリターンを超えることもあるでしょう。

でも現実はそう簡単ではありません。上記比較期間でリターン差は約3%ポイントあります。スリム全世界株式(除く日本)のうち新興国株式の比率は12%程度です。よって、約3%ポイントの差を挽回するには、新興国株式は先進国株式より25%ポイント程度高い成長が必要になります。

これをシミュレーションで実証します。

スリム先進国株式 vs スリム全世界株式(除く日本)合成結果

次はスリム先進国株式と、スリム全世界株式(除く日本)をスリム先進国株式+スリム新興国株式の合成結果の比較です。複数の理由から本物と同じにはなりません。

スリム先進国株式 vs スリム全世界株式(除く日本)合成結果

リターン差が2.5%ポイントあります。この差を埋めるにはスリム新興国株式はスリム先進国株式より20.8%ポイント高い成長が必要です。

次は2019年8月以降の基準価額を生成したものです。スリム先進国株式は7月末から変化なし、スリム新興国株式は毎営業日0.1%成長しています。

2019年8月以降の基準価額を生成したもの

これの合成結果の利益率は2020年4月16日にスリム先進国株式の利益率と同じ13.8%になりました。

合成結果

これは単純な算数の確認をしているに過ぎないのですが、スリム全世界株式(除く日本)がスリム先進国株式に劣後したリターン差を挽回するには、新興国株式は先進国株式に対して圧倒的な成長が必要だということです。もちろん先進国株式が低迷、新興国株式が急成長すればより早く挽回できるわけですが。

みなさんの存命中に、はたして新興国株式はそのような素晴らしい成長を達成できるでしょうか。未来は過去と同じになるとは限りませんが、過去から何かを学ぶとするなら、僕は新興国株式の未来に明るさを感じることができません。

新興国株式の成長に賭けるとしても

僕は(寿命の制約もあって)賭けませんが、新興国株式の今後の成長に賭けるとしても、スリム全世界株式(除く日本)よりもスリム先進国株式とスリム新興国株式に個別に投資するのが良いと思います。それはスリム全世界株式(除く日本)だと数年後に心変わりして(新興国株式の成長に賭けたことを後悔し始めたとして)も身動きが取れないからです。

個別に投資している場合、新興国株式への新規投資をやめるだけでも精神的にはかなり楽になります。含み益が少なくなったタイミングで思い切った行動に出やすくなります。スリム全世界株式(除く日本)だとそうは行きません。全額売却して乗り換えるには大きな決断が必要ですし、精神的ダメージは小さくないでしょう。

なお、スリム先進国株式とスリム新興国株式に個別に投資する場合に、その資産比率は好きなようにして良く、リバランスも一切不要です。どうしても資産比率をコントロールしたいなら投資金額の調整で十分です。売りを伴うセルリバランスなど究極の無駄です。(これに同意できない人は無数にいるでしょうね。)つみたてNISAではそもそもそんなことができませんが、それもつみたてNISAのメリットのひとつです。

ここでムッとしている人は冒頭の「おことわり」を読み返してください。

-インデックス投資

Copyright© 個人事業主が節税してインデックス投資 , 2019 All Rights Reserved Powered by STINGER.