インデックス投資

意外に厳しい?つみたてNISAの認定要件

2019年9月10日

つみたてNISAは認定要件のハードルが高く、自動的にクソ投信が排除される仕組みになっています。それはチャンスさえあれば高い手数料をボッタクろうとする金融機関から、無垢な受益者を守るためだというのは、過去の金融庁の怒りを含んだ発言から推察されます。

つみたてNISAでは、実績もないのに高い信託報酬を請求する投信が認定されないようになっています。インデックスファンドの場合は税抜き信託報酬の上限が0.75%です。現在の水準からするとかなり高く感じますが、2018年から実施するにあたって妥協した結果でしょう。アクティブファンドの場合は税抜き信託報酬の上限が1.5%です。これも妥協した結果ですね。

インデックスファンドに毛が生えた程度の投信を新規設定するけど、信託報酬を0.9%程度にしたいからアクティブファンド(正しくは「指定インデックス投資信託以外」)で申請するというのもできない仕組みになっています。純資産総額50億円以上、5年以上の運用実績、資金流入量などの条件があるためです。

つみたてNISAの認定要件にはもうひとつ、厳しいものがあります。「指定インデックス投資信託」のインデックス(指数)が限られているのです。これから外れると「指定インデックス投資信託以外」でしか申請できませんが、そちらには前述の通り別の厳しい条件があります。その結果、名前は良く知られているにも関わらず、つみたてNISA適格でない商品が存在します。

ニッセイバランス(8資産均等型)

8資産均等型は商品によって投資対象の8資産の指数に微妙な違いがあります。僕はニッセイバランス(8資産均等型)とたわらバランス(8資産均等型)の投資対象は同じだと思っていました。なのに、ニッセイバランス(8資産均等型)はつみたてNISA適格ではないのです。同じニッセイバランスの4資産均等型と6資産均等型はつみたてNISA適格です。

あらためて目論見書を確認すると、新興国債券の指数が微妙に違っていました。

  • ニッセイバランス(8資産均等型):JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス(除くB格以下)
  • たわらバランス(8資産均等型):JPモルガン・エマージング・マーケット・ボンド・インデックス・プラス

違いは(除くB格以下)の有無です。それぐらいはいいんじゃないのと正直思います。

つみたてNISAの対象でない影響は否定できないものの、ニッセイバランス(8資産均等型)の純資産総額は2.2億円しかありません。スリムバランス(8資産均等型)は320億円あります。もう勝負はついているので、金融庁と交渉して認めてもらう気にはならないのかも知れません。

ex Japanの有無

(除くB格以下)の有無で判断が変わるなら、次の指数は明らかに違いますよね。

  • MSCI ACWI
  • MSCI ACWI ex Japan

ex Japanのないのは対象指数一覧にありますが、ex Japanのあるものは対象指数一覧にありません。よって、ルールを厳格に適用すると、次の商品はどれもつみたてNISA対象外になります。

  • スリム全世界株式(除く日本)
  • 野村つみたて外国株投信
  • 三井住友・DCつみたてNISA・全海外株

受益者から悲鳴が聞こえてきそうです。

なお、三井住友・DCつみたてNISA・全海外株は設定が古く、純資産総額も多いので、指定インデックス投資信託以外で申請したら認定されるとは思います。

こちらにある一覧表によると、上記3商品の指数はMSCI ACWIになっています。

引用:つみたてNISA対象商品届出一覧(対象資産別)

それっておかしくないですか?(除くB格以下)の有無よりずっと大きな違いです。ここはスッキリしないですね。

楽天新興国株式

楽天新興国株式はVWO(バンガード社のETF)を買うだけのインデックスファンドですが、そのベンチマークは対象指数一覧にありません。対象指数でないものは認められず、安易に対象指数を追加すると制度が崩壊しかねませんから、楽天新興国株式がつみたてNISA適格でないのは仕方がありません。

楽天新興国株式は設定直後を除いて不人気で、現在の純資産総額は11.7億円です。ベンチマークは違いますが、スリム新興国株式は190億円あります。楽天新興国株式が不人気なのは運用コストも含めた総合的なものだと思います。そのうちのいくらかは、つみたてNISA適格でないのもあるでしょうね。

債券100%は対象外

これは良く知られていますが、投資対象が債券のみのものは、そのベンチマークが対象指数一覧にあっても対象外です。たとえば次の商品がそうです。

  • スリム国内債券
  • スリム先進国債券
  • eMAXIS新興国債券

この線引きの良し悪しは人によって分かれるところでしょう。僕は良い判断だと思っています。

リート100%も対象外

債券と同じで、リートも単独で組成すると対象外になります。単独で組成できるのは指定された株式指数だけで、他の指数は株式と混ぜないと対象になりません。

リーマンショック以降だと国内リートは絶好調ですが、残念ながら国内リートのみのものはつみたてNISA適格ではありません。これを残念に思っている人はそこそこいるかも知れないですね。

金融庁に望むこと

次は僕の願望です。

  • ある時期以降に新規で認定を受ける場合の、信託報酬の上限を引き下げて欲しいです。認定済みの商品に引き下げを強要するものではありません。
  • 対象指数は慎重な判断のうえで、受益者の利益に貢献する可能性が高いものは追加できるようにして欲しいです。
  • 株式100%が良くてリート100%がダメなのには無理を感じます。リートのみを認めてもいいのではないでしょうか。
  • 目論見書でうたっているベンチマークとは無関係なETFを組み合わせただけの商品が存在します。商品の中身とベンチマークが違うのは、つみたてNISAの認定を受けるためだと思われます。そのような、受益者に有利誤認させかねない行為が今後行われないように、指定ベンチマークへの対応を厳格化して欲しいです。

余談

バンガード社は経費率を継続的に引き下げるために指数の入れ替えを行ったことがあります。その中にVTIがあります。VTIの現在の指数はCRSP USトータルマーケット・インデックスで、これはつみたてNISAの指定インデックスに含まれます。だからこそ楽天全米株式はつみたてNISA対象で、多くの受益者がそのメリットを享受できているわけです。

VTIの変更前の指数はMSCI USブロード・マーケット・インデックスでした。これはつみたてNISAの指定インデックスにありません。

指数の提供元はライセンス料のようなものを利用者(=運用会社)から徴収し、それはETFなら経費率、インデックスファンドなら信託報酬+隠れコストのどこかに含まれて受益者に請求されているはずです。この指数の利用にかかる費用がネックになって経費率を下げられない場合、バンガード社は別の指数を探すかも知れませんし、そこにビジネスチャンスを見込んだ新しい会社がより低価格な指数を持ち込むかも知れません。

そのため、5年後、10年後もVTIの指数が今のままとは限りません。楽天投信投資顧問株式会社はバンガード社がVTIの指数を変更するのを止められないでしょうから、実際に指数が変更されたら何が起こるでしょうか。つみたてNISAの対象指数にその指数を追加するのでしょうか。認定済みの商品はやむを得ない事情で指数が変わってもお咎めなしでしょうか。でも指数の変更は自由にされると制度が崩壊するのでそうも行かないでしょうね。

なお、この話は楽天全米株式や楽天全世界株式の受益者を不安にさせるために持ち出したのではありません。

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