インデックス投資

リスクコントロール世界資産分散ファンドのメリットは評価できますか

2019年9月14日

「リスクコントロール世界資産分散ファンド」は、たわらノーロードシリーズで有名なアセットマネジメントOneが運用している、普通ではないバランスファンドです。8資産への投資と現金の配分比率を動的に変更することで、リスク(変動率)を低く抑えることを目標にしています。投資対象にするかどうかは別にして、面白いです。

リスクコントロール世界資産分散ファンド

8資産均等型と同じ資産に投資しますが、先進国債券は為替ヘッジありです。国内債券と先進国債券を安全資産、それら以外をリスク性資産として扱います。

投資対象資産

引用:目論見書

この8資産の比率は均等ではなく、安全資産を多めにしています。また、もともと現金の保有比率が高いのですが、これを大きく変更することでリスクコントロールを行います。

リスクコントロール方法

引用:目論見書

図の円グラフの黄色い部分が現金で、基準価額の下落に合わせて現金比率を高めます。

配分比率はこんな感じです

資産配分

引用:月次レポート

8資産の基本配分比率の変更は月次、8資産全体と現金の比率の変更は毎営業日とあります。債券比率が75%もあるので、明らかな債券重視型と言えます。

リスクコントロール世界資産分散ファンド vs たわらバランス(8資産均等型)

たわらバランス(8資産均等型)とのリターン比較です。リスクコントロール世界資産分散ファンドの設定日直後を避けて2018年6月10日から2019年9月6日までの比較です。

リスクコントロール世界資産分散ファンド vs たわらバランス(8資産均等型)

赤のラインがリスクコントロール世界資産分散ファンドです。リスク(変動率)が極端に低いものの、基準価額はしっかり上昇しています。僕の予想を大きく(良い意味で)裏切りました。

次はリスク比較です。

リスク比較

目論見書にはリスクを年率2%以下に抑えるとあります。その計算方法は僕のグラフと同じではないと思いますが、十分低く抑えられています。これは確かにメリットです。

リスクコントロール世界資産分散ファンド vs 楽天バランス(債券重視型)

では債券比率が70%もある、楽天バランス(債券重視型)との比較ではどうでしょうか。楽天バランス(債券重視型)の設定日直後を避けて2018年8月1日からの比較です。

リスクコントロール世界資産分散ファンド vs 楽天バランス(債券重視型)

緑のラインの楽天バランス(債券重視型)は、債券比率が高いとは言え昨年末の株価急落時に大きく下落しています。そのような変動率の高さにビビってしまう人には、安心して保有できる商品と言えるかも知れません。

次はリスク比較です。

リスク比較

楽天バランス(債券重視型)のリスクは、たわらバランス(8資産均等型)より低いですが、リスクコントロール世界資産分散ファンドとは勝負になりません。

基本配分比率で合成すると

リスクコントロール世界資産分散ファンドの投資対象である8資産に該当する、実在するインデックスファンドの基準価額データを使って、基本配分比率のまま合成してみました。あくまで実験です。

基本配分比率のまま合成したものと比較

赤のラインが本物、緑のラインが合成結果です。かなり似た動きをしています。つまり、この比較期間だと、対象の8資産と現金を基本配分比率で運用(毎営業日リバランスしています)するだけで、リスクコントロール世界資産分散ファンドと大して変わらない結果が得られたと言えます。

でも試しにもっと前から、たわらバランス(8資産均等型)とのリターン比較をしたら惨敗してしまいました。そもそも、リスクコントロール世界資産分散ファンドが目指しているのはリスクを抑えることであって、特定の組成のインデックスファンドのリターンと変わらないものを求めてはいません。リスクは圧倒的に低いけどリターンは大して変わりません、とするのは困難でしょう。

でも、たまたまかどうかは分かりませんが、リスクコントロール世界資産分散ファンドの設定来の基準価額の推移は立派です。今後どうなるのかとても楽しみです。

信託報酬は高いです

信託報酬は税込み1.0692%と高いです。毎営業日変更する、8資産と現金の配分比率の決定は自動化していると想像しますが、月次で変更する8資産の配分比率はそれなりに考えて決めているでしょう。それを考慮すると信託報酬が高くなるのはしょうがないかなとも思います。

なお、第一期運用報告書から計算したトータルコストは税込み1.110%でしたので、隠れコストは十分低いです。(でも本当にそうかどうかは分かりません。)

リスクが低く、単に基本配分比率で運用しただけではないリターンを実現できるなら、高い信託報酬も払う価値があると思えるかも知れません。でも、確かにリスクは低いですが、長期で見たリターンがどうなるかは時間の経過を待つしかありません。

びっくりするほど売れています

みずほ銀行でしか販売していないようですが、純資産総額は340億円もあります。スリムバランス(8資産均等型)の324億円を上回っています。これは予想外でした。

次は設定来の純資産総額の推移です。

赤のラインがスリムバランス、緑のラインがリスクコントロール世界資産分散ファンドです。途中から始まっているのは、おそらく設定日前から募集をしていたためだと思います。設定日に51億円程度ありましたが、そのうちいくらかは運営側のよる初期投資かも知れません。

スリムバランスは安定して純資産総額を増やして来ましたが、リスクコントロール世界資産分散ファンドには波があります。半年以上増えない時期を乗り越えた後、2019年5月ぐらいから急速に増やしています。

みずほ銀行が一体どのような方法で受益者を獲得しているのかは分かりませんが、さて、受益者は自分が選択した商品のことを十分理解しているでしょうか。

結論:メリットは評価できるか

リスクが低く抑えられるので、基準価額の乱高下に耐えられない人は高い信託報酬を払ってでも買いたいと思うかも知れませんね。でもリターンが普通のバランスファンドに比べてどうなるのかは、もっと時間をかけないと判断できません。長期投資の結果リターンが非常に低くても(年率1から2%とか)納得できるでしょうか。

確かにリスクが低いメリットは評価できますが、期待リターンに不安がありますね。

ひとつ問題があります。信託期間は2028年5月までの10年しかありません。銀行が好んで扱う商品にありがちな設定です。誠実さを感じません。

僕は選択肢が豊富にある普通のバランスファンドから、自分のリスク許容度にあったものを選ぶのが無難だと思います。その場合は期待リターンが予想できるからです。また、リスク資産に投資してそこからリターンを得るのがインデックス投資なので、変動率の高さには慣れるのが一番だとも思います。

不都合な真実

たわら先進国株式、たわらバランス(8資産均等型)と一緒に、純資産総額とそこから得られる売上を表にしました。

純資産総額はたわら先進国株式の方が多いのですが、売上はリスクコントロール世界資産分散ファンドの方が4.7倍もあります。アセットマネジメントOne社内のコストは同じではないと思いますが、この売上の差はいかにローコスト投信が儲からないかを明確に示しています。このことが、信託報酬の高い投信がなくならない、新規設定され続ける理由のひとつであるのは間違いないでしょう。

受益者が賢くなれば、資金はよりローコストな投信に向かう可能性があります。儲からないローコスト投信を売り続ける運用会社は、僕らよりもずっと遠い未来を見つめているのかも知れません。でもその運用会社の現在を支えているのは、ハイコスト投信なのです。

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