インデックス投資

たわら先進国株式低ボラティリティ高配当戦略が繰上償還されます

投稿日:2019年9月23日 更新日:

投資信託は粗製乱造される傾向にあり、そこでは受益者保護は二の次なのが実情です。金融庁がつみたてNISAの適格要件に厳しい制約を設けたのは当然と言えます。僕ら投資家から見ると、投資信託は簡単に設定されますが、満足に純資産総額を集められない(=極端に人気がない)場合、いとも簡単に繰上償還されてしまいます。

現在、僕らが買える公募投信で、追加型と呼ばれる一般的なものは5,800本を超えています。掃いて捨てるほどあるわけです。そしてほぼ毎月、数本が繰上償還されています。が、たわら先進国株式低ボラティリティ高配当戦略を繰上償還する案内には正直驚きました。理由は2つあります。

  • 仮にも「たわらノーロードplus」シリーズと銘打って、ネット上で展開している商品のひとつである。
  • 設定から3年半しか経過していない。

もうじきこのシリーズから1本消えるわけです。

「たわらノーロードplus」シリーズ

引用:アセットマネジメントOne

たわら先進国株式低ボラティリティ高配当戦略のリターンとリスク

次の記事で「最悪」と書きました。

高コスト、低パフォーマンス、全く売れていないと悲惨な状況でした。

次は設定日直後を避けて2016年4月15日からの基準価額の推移です。たわら先進国株式もプロットしています。

基準価額の推移

緑のラインのたわら先進国株式の圧勝です。でも赤のラインのたわら先進国株式低ボラティリティ高配当戦略は確かにボラティリティ(変動率)が低い気がします。でもグラフから受ける印象ほどではありません。

次は月次換算したリスクです。

月次換算したリスク

たわら先進国株式より少し低いかな程度です。

たわら先進国株式低ボラティリティ高配当戦略は高コスト

でもトータルコストには大きな差があります。

トータルコスト

そもそも信託報酬が高いところに、純資産総額が少ないこともあってか、隠れコストもびっくりするほど高いです。トータルコストで見るとたわら先進国株式の5倍にもなります。

設定来の3年半の実績だと、たわら先進国株式で十分で、たわら先進国株式低ボラティリティ高配当戦略の存在価値はありません。でも、長期投資を前提にするならたった3年半の実績で判断するなと上から目線で言う人もいるかも知れません。

が、アセットマネジメントOneがもう判断しちゃったのです。終わりにすると。

繰上償還する理由

お知らせにはこうあります。

当ファンドは2016年3月31日に設定し、信託財産の成長を図ることを目的として積極的な運用を行ってまいりました。しかしながら、2019年6月末時点の受益権口数が約4.5億口と信託約款に定める繰上償還(信託終了)の基準となる口数(10億口)を下回っているため、信託約款の規定に基づき繰上償還(信託終了)する予定です。

引用:「たわらノーロードplus 先進国株式低ボラティリティ高配当戦略」 繰上償還(信託終了)(予定)のお知らせ

総口数が4.5億口で、目論見書にある条件の10億口未満だから悪いけど運用やめちゃうよ、ごめんね、ということです。

次は設定来の純資産総額の推移です。設定日の純資産総額が5.08億円あります。この5.08億円のうち、5億円がアセットマネジメントOneによる初期投資で、残りは設定前の募集分かも知れません。

設定来の純資産総額の推移

現在の純資産総額は5.63億円なので、5億円がアセットマネジメントOneによる初期投資だとすると、受益者の資金は0.63億円しかないことになります。

繰上償還は阻止できます

受益者が決められた期間内に書面にて繰上償還に反対する意思を表明し、反対の口数が全体の1/3を超えていた場合、繰上償還は中止されます。たわら先進国株式低ボラティリティ高配当戦略の場合、アセットマネジメントOneが総口数(議決権)の87%を保有していると思われるので、繰上償還成立は確実です。

「繰上償還 中止」でGoogle検索したところ、検索結果2位はアセットマネジメントOneが運用しているMHAM外国株式インデックスファンドでした。

「MHAM外国株式インデックスファンド」につきましては、2019年8月13日付の書面にて受益者の皆さまへ繰上償還に関するお知らせを行い、2019年9月5日まで受益者の皆さまからの議決権の行使を受け付けました。
この結果、書面決議において、賛成する受益者の議決権が、基準日である2019年8月13日時点での受益者の議決権の3分の2未満であったため、本議案は否決されました。

引用:MHAM国株式インデックスファンド」 繰上償還(信託終了)中止のお知らせ

繰上償還の怖さ

リスク資産に投資する場合、基準価額の下落によって含み損になるのは普通にあり、それに慣れることが必要です。株価暴落などで含み損が大きくなっても、世界経済が復活するまでガチホできれば利益を得ることが可能です。ただし、それには時間がかかります。

そのためまず、信託期間が有限のものへの投資は避けるべきです。信託期間が無期限であることは、つみたてNISA適格要件のひとつです。が、受益者保護への配慮を強く感じるつみたてNISA適格要件にも、繰上償還を禁止するとは書かれていません。

たとえば、3地域均等型のニッセイインデックスパッケージ(内外・株式)はつみたてNISA適格ですが、純資産総額は1.3億円しかありません。その目論見書にはこうあります。

引用:目論見書

30億口とあるので、純資産総額が30億円未満なら繰上償還するかも知れませんよ、という意味です。(基準価額が1万円の場合。)30億円は多い方で、10億円が良く目にする数値です。そのため、純資産総額が10億円を超えたらひとまず安心という表現が聞かれます。

その後、30億口がザラにあることが分かりました。純資産総額が少ない場合、目論見書を確認した方がいいですね。

売れていないとは言え、ニッセイインデックスパッケージ(内外・株式)の受益者は実在します。設定日の純資産総額は100万円なので、1.3億円のほとんどは一般の受益者の資金でしょう。つみたてNISA適格ですから、金融庁の激怒を恐れて繰上償還を言い出すのは難しいでしょうし、そもそもこの3地域均等型は既存のマザーファンドを利用して手軽に組成でき、運用コストも軽微でしょうから、繰上償還するデメリットの方が大きいと思います。

繰上償還が怖いのは「基準価額の回復を待つ」選択肢を奪われることです。含み益がある状態ならまだしも、含み損の状態で繰上償還されると損失が確定してしまいす。

10年に一度ぐらいは大きな暴落を経験し、その際にはしっかり含み損になることは普通です。たまたま投資していたインデックスファンドが不人気で、純資産総額が数億円しかないからと言う理由で繰上償還されたのではたまりません。

たわらノーロードplusシリーズは全滅か

たわらノーロードplusシリーズの残り2本も早期償還されるかも知れません。

次は純資産総額の推移です。

たわらノーロードplusシリーズの純資産総額の推移

緑のラインがたわら国内株式高配当戦略です。アセットマネジメントOneは途中で初期投資の大半を引き上げたのではないでしょうか。(間違っていたらごめんなさい。)現在の純資産総額は1.53億円です。

青のラインがたわら新興国株式高配当戦略です。現在の純資産総額はたったの0.69億円です。

アセットマネジメントOneは残る2本も繰上償還し、ホームページから「たわらノーロードplusシリーズ」を消し去りたいと思っているかも知れません。

人気が出るかどうか分からないものに注意

最近テーマ型の投資信託が乱造されています。でもその多くは売れてません。テーマ型に限らず、目論見書にある繰上償還条件の純資産総額をクリアできないかも知れない、十分な人気を獲得できない気がするものは敬遠した方がいいかも知れません。

少なくともそういった投資信託に投資する際は、繰上償還のリスクが実在することを良く理解しておくべきです。

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