インデックス投資

たわら全世界株式はスリム全世界株式(オール・カントリー)のライバルになれるのか

2019年10月15日

全世界株式に時価総額比で投資するインデックスファンドで、圧倒的な人気を誇っているのが楽天全世界株式です。純資産総額は270億円です。その楽天全世界株式に13ヶ月遅れて設定されたのがスリム全世界株式(オール・カントリー)です。順調に人気を獲得できていますが、純資産総額はまだ75.4億円です。楽天全世界株式には遠く及びません。

スリムシリーズに楽天全世界株式の対抗になりえる商品が熱望されていた頃に、三菱UFJ国際投信はスリム全世界株式(3地域均等型)を設定し、一部の投信ブロガーをがっかりさせました。スリム全世界株式(3地域均等型)はスリムシリーズの中では珍しく不人気で、設定されてから1年半になるのに純資産総額は13.1億円しかありません。

たわら全世界株式参入

ある組成のファンドが売れることが分かると同じ、あるいは類似の組成で参入するのがこの業界の習慣です。これは適切な競争を促進する効果が期待できるので良いことです。たわらノーロードシリーズで有名なアセットマネジメントOneは、スリム全世界株式(オール・カントリー)に約9ヶ月遅れでたわら全世界株式を設定しました。

アセットマネジメントOneがたわら全世界株式を設定するにあたり、選択肢は3つあったはずです。

  • 楽天全世界株式と同じFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスをベンチマークにする。
  • スリム全世界株式(オール・カントリー)と同じMSCI ACWIをベンチマークにする。
  • MSCI ACWIの国内株式部分をTOPIXで代用して合成する。

これらはみな、つみたてNISA適格要件を満たします。

アセットマネジメントOneはスリム全世界株式(オール・カントリー)と同じ選択をしました。MSCI ACWIの国内株式部分のベンチマークはMSCI Japanで、三菱UFJ国際投信同様新設が必要でした。TOPIXで代用する方がよっぽど楽で、それこそ無数にあるバランスファンドのように気軽に組成できたはずです。どうしてMSCI ACWIという負担の大きい選択をしたのかは、僕には分かりません。

さて、この記事であえて無視している類似商品があります。僕が嫌いなSBI全世界株式です。嫌いな理由は、つみたてNISA適格とするためにベンチマークがFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスだと強弁しているからです。中身はそれとは無関係な3本のETFを組み合わせたものです。

意欲的な信託報酬に設定するも

たわら全世界株式で僕がもうひとつ不思議に思ったのは信託報酬です。オール・カントリーより0.022%ポイント安い、税抜き0.120%としたのです。その程度の信託報酬差なら、三菱UFJ国際投信は間違いなく追随するはずだからです。信託報酬が同率になると、たわら全世界株式の優位性はなくなります。そして期待通りにオール・カントリー(を含む全世界株式インデックスファンド3種)の信託報酬を税抜き0.120%に引き下げました。

ベンチマークと信託報酬が同じ、どちらもつみたてNISA適格となると、ブランド力・販売力がものを言います。

スリム全世界株式(オール・カントリー) vs SSGA全世界株式

次はオール・カントリーとベンチマークが同じSSGA全世界株式のリターン比較です。SSGA全世界株式は2017年9月8日に設定されましたが、信託報酬率が税込み0.5184%もする上に信託財産留保額を0.3%も取るという、とてもやる気のない設定です。

オール・カントリーの設定日直後を避けて2018年11月12日から2019年10月11日までの比較です。

リターン差を示す青のラインはきれいな右肩上がりです。その傾きはトータルコスト差を示しており、11ヶ月で0.3%ポイント程度の差が生まれています。

このリターン差の推移を見て、オール・カントリーとSSGA全世界株式の運用に大きな問題はないはずだ、と判断していました。今後はこれに、たわら全世界株式が仲間として加わります。

スリム全世界株式(オール・カントリー) vs たわら全世界株式

次はあえてたわら全世界株式の設定日からの比較です。

スリム全世界株式(オール・カントリー) vs たわら全世界株式、設定日から

赤のラインがスリム、緑のラインがたわらです。設定日直後の青のラインの動きは避けがたいものです。次は青のラインが安定した8月13日からの比較です。

青のラインが安定した8月13日からの比較

青のラインはプラス圏内で推移していますがほぼフラットなので、スリムとたわらのトータルコストにはほとんど差がなく、運用も順調だと言っていいでしょう。

なお、マニアックな話をしますと、たわら全世界株式が設定された7月22日から8月8日までは、たわら全世界株式の方が信託報酬が税抜きで0.022%ポイント安かったです。8月9日以降は同率です。でも隠れコストが不明ですから、このようにごまかしの効かない基準価額の比較結果から、トータルコストは大差ないと判断するようにしています。

売れ行きは

次は設定来の総口数の推移です。

設定来の総口数の推移

このスケールだと、緑のラインのたわら全世界株式は右下にいるのが分かる程度です。純資産総額はオール・カントリーの75.4億円に対して1.5億円しかありません。

たわら全世界株式だけをプロットしました。

たわら全世界株式だけをプロット

典型的なダメパターンです。次はオール・カントリーの設定日直後の総口数の推移との比較です。

オール・カントリーの設定日直後の総口数の推移との比較

赤のラインのオール・カントリーは頭打ちにならずに順調に総口数を増やしました。緑のラインのたわら全世界株式は明らかに苦戦しています。

ここに楽天全世界株式をプロットすると、その人気の高さに驚かされます。

楽天全世界株式もプロット

ラインの角度が明確に教えてくれます。

そんなに単純じゃない

たわら全世界株式の船出は厳しいものになってしまいました。でも、だからと言ってこれでもう未来はないとか言う単純な話ではありません。

実例をお見せします。次はたわらバランス(8資産均等型)の設定来の総口数の推移です。

たわらバランス(8資産均等型)の設定来の総口数の推移

まるで期待リターン6%の複利効果のグラフみたいです。苦しい時期を乗り越えたあと、確実に人気を獲得できました。純資産総額は48.5億円あります。でも8資産均等型で一番人気のスリムバランスには遠く及ばないわけですが、競争が激しいのでなかなか期待通りにはならないものです。

スリムバランス vs たわらバランス

全世界株式に時価総額比で投資するインデックスファンドは人気の高いジャンルだと分かっているので、たわら全世界株式も営業努力を続ければ総口数を伸ばせるでしょう。ちなみに、現在の販売会社数はこうなっています。

  • たわらバランス(8資産均等型):55社
  • たわら全世界株式:4社

アセットマネジメントOneはまだまだ本気を出していないか、販社拡大に向けて準備中なのでしょう。

ブログタイトルの答えはこうです。信託報酬の適切な引き下げは必要でしょうが、十分なりえます。また、なって欲しいです。

受益者にとって良い商品なら

たわら全世界株式は受益者にとって良い商品です。僕はそういう商品なら、運用会社に関係なく応援します。一方、みずほ銀行と組んで組成した次のような商品は応援しません。

薄利の超ローコスト商品を運用し続けるためには、取れる受益者から取ることがビジネス上不可欠だというのも理解できますけどね。

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