インデックス投資

eMAXISシリーズの売上は今もスリムシリーズの運営を支えています

2019年10月16日

eMAXISシリーズが登場したのは2009年10月です。同じマザーファンドを買うだけなのに信託報酬が数分の1しかないeMAXIS Slimシリーズが登場したのは2017年2月でした。(商品によって登場時期は異なります。)その後、スリムシリーズは頻繁に信託報酬を引き下げましたが、eMAXISシリーズの信託報酬は変わらずです。

次は現在の税込み信託報酬比較です。両シリーズに設定されている、同じマザーファンドを買うものだけを載せています。

現在の税込み信託報酬比較

比率で言うとスリムシリーズは高いものでもeMAXISシリーズの35%、最安の先進国株式は16.5%です。これだけ差があるのに、基準価額の変動に関しては、受益者は同じリスクを負います。普通に考えればスリムシリーズを買った方がいいですよね。

スリムシリーズが登場した時、eMAXISシリーズの信託報酬を下げないで新シリーズの信託報酬を安くするという方針に、既存のeMAXISシリーズの受益者は失望と怒りをおぼえたようです。でもだからと言ってスリムシリーズは意地でも買わないと思うでしょうか。だとしたら馬鹿ですね。

eMAXISシリーズの受益者は、売却してスリムシリーズに乗り換えないまでも、新規投資はスリムシリーズに変更し、eMAXISシリーズはガチホするのが賢明でしょう。株価が暴落して含み益が減った時は、売却を伴う乗り換えのチャンスです。

ですから、eMAXISシリーズの受益者権数(総口数)は急激に減らないものの、基本的にそんなに増えるわけはないと思いませんか。スリムシリーズに超廉価版があるのに、まだeMAXISシリーズの総口数が増えるとしたら、表現は悪いですが情弱様が賢明ではない買い物をしていると思いませんか。

現実はかなり違います。良く、同じ資産クラスに投資するインデックスファンドで、信託報酬が大幅に安い商品が登場すると既存商品を「死んだ」とか「終わり」とか言う人がいますが、この世はそんなに単純ではありません。

総口数の推移

設定来の総口数の推移を見ると、人気の変化が分かります。総口数は基準価額の変動の影響を受けません。総口数が増えるということは、購入口数が解約口数を超えていることを意味します。

以下、グラフの赤のラインはeMAXISシリーズ、緑のラインはスリムシリーズです。なお、設定日に7年前後の差があるため、基準価額が大きく違うものがあります。その場合、総口数の比と純資産総額の比も異なることに注意して下さい。

バランス(8資産均等型)

バランス(8資産均等型)

増加ペースは衰えたものの、eMAXIS版はまだ売れています。僕の理解を超えています。

TOPIX

TOPIX

eMAXIS版は大きく総口数を減らしましたが一定水準で下げ止まっています。

日経平均

日経平均

僕はeMAXIS日経225がいまだに売り買いされていることが理解できません。

国内債券

国内債券

eMAXIS版は大きく総口数を減らしましたが一定水準で下げ止まっています。

新興国株式

新興国株式

スリム版登場前から頭打ちになりました。スリム版登場後の動きは意外ではありません。

先進国株式

先進国株式

スリム版の人気の高さは周知の事実です。eMAXIS版はスリム版登場前から減少を始めますが、その後下げ止まり、わずかに増加もしています。まだ買う人がいるなんて、と思ってしまいます。

先進国債券

先進国債券

eMAXIS版はスリム版登場前から減少し続けています。この動きは国内債券ゆえかも知れません。

全世界株式(除く日本)

全世界株式(除く日本)

2010年頃は、全世界株式と言えば国内株式を含まないのが当たり前だったというのが、「eMAXIS全世界株式」というネーミングから伺えます。これは先進国株式+新興国株式でベンチマークはMSCI ACWI ex Japanです。

スリム版登場前から頭打ちになりましたが、現状維持を続けています。これが普通でしょう。

売上は

純資産総額と信託報酬のうちの三菱UFJ国際投信の取り分から、年間の売上を計算しました。

売上比較1

次はスマホで閲覧している方向けに取り分比率を省略した表です。

売上比較2

この表から興味深い事実が分かります。

  • 純資産総額はeMAXISシリーズの方が340億円も多いです。
  • 売上はeMAXISシリーズの4.2億円に対して、スリムシリーズは0.8億円しかありません。5倍の開きがあります。

あと50年後には

おそらくeMAXISシリーズの既存受益者は寿命の制約により解約してしまうでしょう。今でも買ってくれる情弱様も、世代交代で死滅しないまでも激減するでしょう。結果、純資産総額は売上が得られないほど減少し、繰上償還だってあるでしょう。

eMAXISシリーズの売上がスリムシリーズより多いのも、永くは続かないということです。

三菱UFJ国際投信の選択肢

スリムシリーズにあるeMAXISの超廉価版の年間の売上総額が0.8億円しかないのは、スリムシリーズがいかに儲からないかを示しています。でもeMAXISシリーズの売上も大したことはなく、三菱UFJ国際投信を支えているのは別の商品群です。

でも、いまだにeMAXISシリーズを保有してくれている、あるいはまだ買い続けてくれるありがたい受益者から得られる売上は、間違いなくスリムシリーズの運営を支えているはずです。スリムシリーズ単独では完全な赤字でしょうから、事業体として成立させるためにもっと大きなくくりで見ているはずです。

三菱UFJ国際投信は、儲からなくても信託報酬を下げ続けて他社との競争に勝ち残るか、超ローコスト投信の市場で2位以下になるのを受け入れるかの二択しかないのです。そして、おそらく1位が市場のほとんどを占有してしまうでしょう。

ついに信託報酬引き下げを発表

待ちくたびれましたが、ついに次の2商品の対抗値下げが発表されました。

  • スリム米国株式(S&P500)は、税抜き信託報酬をSBIバンガードS&P500と同率へ。
  • スリム全世界株式(オール・カントリー)を含む全世界株式3兄弟は、税抜き信託報酬をSBI全世界株式と同率へ。

SBIバンガードS&P500の設定が発表されたのは8月27日だったので、対抗値下げの発表までに45日もかかったわけです。長かったですね。でも良かったです。

特にスリム米国株式(S&P500)の対抗値下げについては障害がたくさんあったのでしょう。今週末のブロガーミーティングでどのような説明があるか、楽しみです。

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