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【朗報】iDeCoの受給可能年齢延長の素晴らしさを理解していますか?

2019年10月17日

厚生労働省が進めているiDeCoの制度改革案によると、iDeCoの拠出可能期間を現行の60歳未満から65歳未満に延長する対象は、国民年金の第2号被保険者だけだそうです。

これは、20歳から国民年金を納付してきた人が60歳未満で退職して第2号被保険者から第1号被保険者になると、iDeCoの拠出可能期間は延長されないということです。ですから、現在勤め人(第2号被保険者)の人も手放しで喜べる内容ではありません。(でも、年金を納付し続けている間は拠出可能にしてあげますよという考え方には反論できない説得力があるのも事実です。なんと言ってもiDeCoは年金制度の一部なのですから、少額投資非課税制度といっしょにはできません。)

が、働き方に関わらず全てのiDeCo利用者に適用される素晴らしい改革案も検討されています。その素晴らしさは、現在、ほとんど話題にされていないように思います。iDeCoの意地悪な制約の回避が容易になるのです。

受給可能期間の延長

報道では、60歳未満である拠出可能年齢を、65歳未満までに延長する検討ばかりが目立ちますが、これは第2号被保険者のみが対象です。が、同時に受給可能期間の延長も検討されており、これはiDeCo加入者全員に適用されます。(対象を制限するという記述はありません。)

引用:第8回 社会保障審議会 企業年金・個人年金部会 資料

現行制度では受け取り可能期間は60歳~70歳未満です。これを70歳以降に延長するというものです。具体的な年数は書かれておらず、期限を撤廃して欲しいという金融機関からの要望もありました。

年金の支給開始年齢が従前の60歳から65歳に引き上げられているのですから、5年間の延長は妥当と言えます。それ以上は意見が分かれそうですが、この記事では「加入者が死亡するまで延長された」とします。

意地悪仕様

iDeCoは非課税制度ではなく、一時金で受け取る場合に税制上とんでもなく有利な「退職所得控除」が使えるというものです。ところがiDeCoにはとても意地悪な仕様(制度上の制約)があります。

それは、iDeCoの解約金を受け取る14年以内に他の退職所得がある場合は、退職所得控除をフルに利用できないというものです。

たとえば拠出期間30年、60歳で受け取る場合、前年以前14年間に退職所得控除を受けていると、制限が発動します。

現行制度だと受け取り可能期間は10年なので、70歳直前で受け取る場合はこうです。

よって、56歳以降に退職金を受け取ると、意地悪仕様が発動してしまいます。すると、iDeCoの拠出期間全体と、退職金の退職所得控除の計算対象期間との重複期間が、減額対象になります。実際の計算方法は気が狂いそうなほど複雑で、意地悪仕様が発動すると全くダメということでもないのですが、意地悪仕様は避けるのが一番です。

現行制度だと、長く勤めてから退職金をもらう人ほど意地悪仕様を回避しにくいです。iDeCoの受け取りは最大限遅らせても70歳になる直前までなので、理論上56歳(程度)以降に退職金を受け取ると意地悪仕様は回避不可能です。

意地悪仕様の回避が容易になる

受け取り可能期間の上限が撤廃されると、加入者が生きている限りは受け取り時期を先送りできます。よって、何歳で退職金をもうらおうが、そこから14年空けた後にiDeCoを一時金で受け取れば良いのです。そうすれば確実に意地悪仕様を回避できます。

たとえば65歳で退職金をもらったなら、約79歳以降にiDeCoを解約すれば良いのです。70歳まで働いたなら(ありえない話ではないところがすごい)84歳以降で解約すれば良いのです。でもそれだと余命があまりないような。はい、確かにそうですね。

でも、おそらく、iDeCoで退職所得控除をフルに活用することを考える人は、他の手段を含めて資産形成をしっかりできるでしょうから、70歳まで企業で勤め上げることはないように思います。もちろん、どのような働き方をするかは個人の自由です。

暴落の恐怖度が減る

なぜかあまり語られませんが、iDeCoの受け取り可能期間が70歳直前までというのは、信託期間がそこまでなのと同じです。

信託期間が有限だと、予測も制御もできない景気の影響で株価暴落時に売りたくないのに売られてしまう問題が起こります。

資産形成上、可能なら売却はできるだけあとにした方が有利ですが、株価が暴落したら回復するまで待ちたいです。でも待てる期間に上限がある現行制度だと、70歳が近づくと暴落を心配してしまいます。

僕の場合、意地悪仕様は問題になりません。そして解約はできるだけあとにしたいのですが、暴落が怖いので67歳ぐらいになったら決断しようと思っています。この制度改革は僕には間に合わないと思いますが、もし間に合ったなら、気分的にものすごく楽になります。

ガチホ可能期間が延びる

一般NISA制度は拠出可能期間が1年、その後のガチホ可能期間が4年です。つみたてNISA制度は拠出可能期間が1年、その後のガチホ可能期間が19年です。これを1つの非課税枠として、期限を定めて毎年非課税枠を付与しますよ、というものです。

iDeCoは、拠出可能期間は60歳直前まで、その後のガチホ可能期間は10年というのが現行制度です。拠出可能期間が延長されそうなのは第2号被保険者のみですが、ガチホ可能期間の延長は全員対象の見込みです。

このガチホ可能期間が本人の寿命を上限にして延びることで、投資対象が持つ期待リターンによる複利効果の恩恵をより受けやすくなります。これは素晴らしいことです。

が、くどいですけどiDeCoは年金制度であって少額投資非課税制度ではありません。

儲けすぎると税率が上がります

よくiDeCoの運用益が非課税という表現を目にしますが、間違っています。iDeCoに運用益という概念はありません。解約時の税額計算対象は、資産全体(元本+含み益)です。一時金で受け取る場合の計算式はこうです。

課税所得=(資産額ー退職所得控除額)÷2

課税所得に対して所得税は累進課税で、住民税は一律10%で課税されます。この計算式には元本も含み益も登場しません。

退職所得控除額は拠出期間20年までは年40万円、21年目以降は年70万円です。次の記事に登場したMくんの場合は2,550万円です。

Mくんにとって課題だった意地悪仕様の回避が確実にできることに(この記事では)なりました。そのためiDeCoの一時金が2,550万円以下なら無税です。

では上記記事と同じ条件で、ただしガチホ開始後5年後から25年後の20年間のどこかで解約した場合のシミュレーションをしてみましょう。

複利効果によりガチホ期間中の資産の増え方が半端ない

黄色で塗った期間はガチホしています。期待リターンは年率4%ですが、複利効果によりガチホ期間中の資産の増え方が半端ないです。

利益率と税率

ガチホに入るのが65歳、5年はガチホして69歳の年末から88歳の年末までの20年間の、利益率と実効税率の推移です。

グラフから想像できますが、評価額の伸びは凄まじいです。80歳前に5,000万円を超えています。元本は1,000万円ちょっとですから破壊力抜群です。その年齢でそれより増やしてどうするの?使うチャンスがなくなるよ、と思ってしまいます。

このシミュレーションで知りたかったのは実効税率です。退職所得控後の税額が、利益に対してどれほどだったかを見ています。少額投資非課税制度ならゼロ、特定口座で現行制度のままなら20%です。解約があとになるほど利益は増えますが、税率も上がります。

でもMくんは20歳からiDeCoを開始していたこと、退職所得控除がフルに使えることから実効税率は低いです。これならMくんは余裕を持ってiDeCoを解約し、大きな利益を手にできることでしょう。たとえば60歳で退職金をもらっても74歳ぐらい以降の好きなタイミングで解約すれば意地悪仕様を回避できるのですから。

より良い制度の提供と自己責任の要求

年金制度に関し、国は資産形成の助けとなるより良い制度を提供し、代わりに国民に自己責任で資産形成を行うことを要求したので良いと、僕は考えます。こういう言い方は、たとえば、れいわ新選組の支持者とは相容れないでしょう。いろんな事情で自己責任ではどうにもならない人にはセーフティーネットを充実させれば良いと思いますが、僕は、ただ怠惰な人と勤勉で努力している人を「同じに扱う」必要はないとの考えです。

それは、偏差値の高い大学には、他人より努力して勉強した人しか入れないのと同じことです。希望者全員を公平に抽選で入学できるようにしたら成立しません。

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