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iDeCoで徐々に定期預金にスイッチングする運用は効果的ですか?

2019年10月21日

読者の方からご要望を頂きました。要約するとこうなります。

30歳からiDeCoを始めて、50歳から段階的に資産の一部を定期預金にスイッチングして行く運用をしたらどうなるかシミュレーションしてもらえないでしょうか。

次の年齢に達したらリスク資産の10%を定期預金にスイッチングします。

  • 51歳
  • 56歳
  • 60歳以降毎年

リスク資産はスリム全世界株式(オール・カントリー)を想定します。受け取りは70歳直前です。

基準価額が右肩上がりだけの場合

なぜ運用途中で定期預金にスイッチングするのか、それは暴落を恐れるからだと思われます。基準価額が右肩上がりのみなら、つまり暴落しないなら、100%オール・カントリーだけで運用した方が有利なのは自明です。

次は期待リターン年率3%の場合です。30歳から70歳直前までの40年間です。

基準価額が右肩上がりだけの場合

次は100%リスク資産の場合です。灰色のラインが元本です。

拠出できるのは60歳直前までで、以降元本は増えません。

次は徐々に定期預金にスイッチングした場合です。

利益率は半分以下に低下してしまいました。そりゃそうですよね。リターンの源泉はリスク資産への投資と保有なのですから、運用途中で定期預金に変更すれば負うリスクと共にリターンが下がるのは避けられません。

56歳頃に暴落があった場合

拠出途中で暴落があった場合です。

56歳頃に暴落があった場合

次は100%リスク資産の場合です。

次は徐々に定期預金にスイッチングした場合です。

やはり利益率は大幅に下がります。徐々に定期預金にスイッチングするメリットは感じられません。

64歳頃に暴落があった場合

拠出が終わってそろそろ暴落が怖くなる頃です。

64歳頃に暴落があった場合

次は100%リスク資産の場合です。

次は徐々に定期預金にスイッチングした場合です。

徐々にスイッチングした運用だと、暴落した時はリスク資産の比率が低いので受ける影響度合いが小さくなっています。その意味では効果はありますが、それは同時にリスク資産の基準価額の上昇の恩恵もほとんど受けないということです。

48歳頃に暴落があった場合

48歳頃に暴落があった場合

次は100%リスク資産の場合です。

次は徐々に定期預金にスイッチングした場合です。

利益率は大きく下がりました。暴落中にも売るわけですから、どう考えても非効率です。

結論:とても効果的とは思えません

リスク資産の割合を年齢の上昇とともに減らしていくという考えはたまに目にしますが、iDeCoでそれを実践するのは得策とは思えません。iDeCoは自分のリスク許容度にあった投資対象を決めたら、ずっとそれで最後まで通した方がいいと思います。

リスク資産に投資するなら、暴落を恐れず、暴落してもしなくても積み立て投資を継続し、買い持ちすることが成功への最短コースです。が、現行制度のiDeCoの場合、70歳で強制償還されるようなものなのが問題です。67歳で解約しようと思っていたらその直前に暴落した、回復を待っていたら70歳になってしまい、含み益が大きく減った状態で解約された、ということが容易に起こり得ます。

この問題は、受取可能期間が無期限にならない限り解決しません。

また、リスク資産に投資する以上、自分の都合の悪いタイミングで暴落を迎える可能性は十分あり、ある程度は運が悪かったと思える余裕も必要でしょう。

代替案

iDeCoは非課税制度ではないものの、意地悪仕様を回避できれば税制上かなり有利であることが分かっています。その有利な税制上のメリットを受けられる運用期間を長くとれるので、うまく活用できれば資産形成の強力なツールになりえます。そのため、僕は最後までリスク資産100%で運用するのが良いと考えます。

でも、年齢が上がればリスク資産の保有割合を減らしたいと思う気持ちは理解できます。僕の場合はある時期から債券への移行を考えています。

もうそろそろいいだろうと頃に、スリム先進国株式100%のポートフォリオから、債券比率を上げるつもりです。リターンの追求から守りの姿勢への転換とも言えます。

いずれにしても、誰もが必ず実行できて満足な結果が得られる、魔法のようなスキームは存在しません。無理のない範囲で上手に妥協できる、自分だけの案を見つけるしかないでしょう。

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