インデックス投資

SBIバンガードS&P500は期待したほど低コストでないかも知れません

2019年11月3日

SBIバンガードS&P500は、税抜き信託報酬0.088%という脅威の超低コストで、証券業界に衝撃をもたらしました。設定されてから1ヶ月ちょっとが経過しましたが、基準価額の推移を見ると、期待したほど低コストではないかも知れないと思ってしまいます。

間違っていたら迷惑な話ですね。信憑性は皆さんの判断におまかせします。また、反論大歓迎です。

VOOトータルリターン

SBIバンガードS&P500はVOO(バンガード社のETF)を買っています。次の手順でVOOのトータルリターンを生成しました。

  • 2011年年初に10,000円でVOOを買ったことにします。扱う株数は「端株数」です。つまり、VOOの取引価格が9,700円なら1.0309株買ったことになります。
  • 配当金が出たら米国での10%課税後のドルを再投資します。税引き後の配当金でVOOを端株数で買うのです。そうして保有株数を増やします。保有株数が増えるのは配当金を再投資した時だけです。
  • 円をドルに替える為替手数料もVOOの購入手数料もゼロとします。
  • 評価額は円換算して求めます。
  • 評価額の推移を指数化します。

言ってみれば、河童証券がVOOを買うだけのインデックスファンドを組成し、VOOの経費率を除いてコストゼロ(信託報酬もゼロ)で運用したようなものです。実際には様々な運用コストがかかりますから、どこが運用してもVOOトータルリターンを超えることは不可能です。

iFree S&P500 vs VOOトータルリターン

iFree S&P500は現物株とIVVで組成されています。VOOと直接の関係はありませんが、ベンチマークが同じなので長い期間で見れば、iFree S&P500でかかっているコストの様子が分かります。

次はあえてiFree S&P500の設定日以来の、VOOトータルリターンとの比較です。

iFree S&P500 vs VOOトータルリターン

青のラインはリターン差で、VOOトータルリターンーiFree S&P500です。右肩上がりで、その傾きはiFree S&P500の運用コストーVOOの経費率を示唆しています。

スリム米国株式(S&P500) vs VOOトータルリターン

スリム米国株式(S&P500)は現物株運用です。ETFは買っていません。同じく、あえて設定日以来の比較です。

スリム米国株式(S&P500) vs VOOトータルリターン

iFree S&P500より青のラインの傾きが小さいのは比較期間が短いからです。現状、iFree S&P500とスリム米国株式(S&P500)には、ほとんどリターン差がないことが分かっています。

スリム米国株式(S&P500)vs iFree S&P500

次は2019年年初からの、スリム米国株式(S&P500)とiFree S&P500のリターン比較です。

スリム米国株式(S&P500)vs iFree S&P500

青のラインはほぼフラットです。

SBIバンガードS&P500 vs VOOトータルリターン

あえてSBIバンガードS&P500の設定日からの比較です。右端は10月31日です。

SBIバンガードS&P500 vs VOOトータルリターン

青のラインは、SBIバンガードS&P500ーVOOトータルリターンです。青のラインはプラス圏内にありますから、そのまま解釈するとSBIバンガードS&P500の方がVOOトータルリターンよりローコストだということになります。

でもそれは実現不可能です。青のラインがプラス圏内にあるのはたまたまであって、青のラインが示す傾向に注目すべきです。青のラインは10月10日頃から右肩下がりです。この青のラインは変動はあっても原理的に右肩下がりで推移するのが正解です。運用コストが物理法則のように作用するのでそうなるしかないのです。

同じ比較をスリム米国株式(S&P500)でした結果

同じ期間の比較をスリム米国株式(S&P500)に変えて行います。グラフのスケールは同じです。

同じ比較をスリム米国株式(S&P500)した結果

比較期間の途中で青のラインがプラス圏内にありますが、それは正しくない姿だというのはこれまでの流れで分かって頂けると思います。ここで注目して欲しいのは青のラインの傾向です。青のラインはスリム米国株式(S&P500)ーVOOトータルリターンなので、必ず右肩下がりになりますが、SBIバンガードS&P500の場合に比べて傾きが小さいです。

これは、SBIバンガードS&P500がスリム米国株式(S&P500)より高コストである可能性が高いことを示唆しています。ちなみに、スリム米国株式(S&P500)の信託報酬が税抜き0.088%に引き下げられるのは11月12日です。つまり、信託報酬が税抜き0.15%の時の比較結果を見ています。

SBIバンガードS&P500 vs スリム米国株式(S&P500)

同じ期間の比較です。グラフのスケールも同じです。

青のラインはSBIバンガードS&P500ースリム米国株式(S&P500)です。ここまでの比較結果から、青のラインは最初上昇、10月10以降は減少傾向なのは納得できます。この様子だと、スリム米国株式(S&P500)の信託報酬が税抜き0.088%になる11月12日以降は、スリム米国株式(S&P500)が優位になる気がします。今後の推移が楽しみです。

SBIバンガードS&P500 vs iFree S&P500

同じ比較をiFree S&P500でも行います。しつこいですか?

SBIバンガードS&P500 vs iFree S&P500

この結果も推測される通りです。だってiFree S&P500とスリム米国株式(S&P500)の間にはほとんどリターン差がないのですから。

短い期間の切り取りに注意

9月26日を比較開始日にすると、VOOトータルリターンよりスリム米国株式(S&P500)の方が最初リターンが高いのを不思議に思う人も多いことでしょう。僕もそのひとりです。

次は2019年8月からの比較です。9月26日以降を黄色に塗りました。

青のラインはVOOトータルリターンースリム米国株式(S&P500)です。青のラインは傾向としては右肩上がりですが、9月26日を起点にして切り取ると、そのような結果になったということです。

つまり、SBIバンガードS&P500が設定されてから1ヶ月程度でリターン比較をすることにちょっと無理があるとも言えます。が、話題性があり受益者の関心も高い商品なので、注意を払いながら比較しました。

VOOの配当金

次はVOOトータルリターンと取引価格の2019年年初からの比較です。

VOOトータルリターンと取引価格の比較

青のラインが階段状になっているところで配当金が出ています。VOOトータルリターンが配当金を再投資している様子を見ているわけです。

次は9月26日頃を拡大したものです。河童証券は9月27日に配当金を再投資しています。

SBIバンガードS&P500の設定日は9月26日ですが、その日は配当金の権利落ち日なので、おそらく27日に配当金をもらっていると思われます。それを確かめる方法があります。

次はSBIバンガードS&P500とVOOの取引価格の比較です。

VOOの取引価格との比較

青のラインは9月27日に約0.5%ポイント跳ね上がっています。配当金が純資産に取り込まれた動かぬ証拠です。配当金の権利落ち日に設定して翌日ちゃっかり配当金をもらっていたわけです。いや、別に批判しているわけではありません。分析結果を披露しているだけです。

でも配当金全額がVOOの再投資(追加購入)に振り向けられたかどうかは分かりません。いくらかは現金のまま残したかも知れません。

楽天全米株式、楽天全世界株式はどうだった?

楽天全米株式と楽天全世界株式が設定されたのは2017年9月29日でした。

  • 楽天全米株式は9月22日が権利落ち日でした。
  • 楽天全世界株式は9月27日が権利落ち日でした。

そのため、どちらも初回の配当金を純資産に取り込んだのは約3ヶ月後でした。

結論:SBIバンガードS&P500の評価を急ぐなかれ

運用が順調か、運用コストは期待通りになりそうかというのは、基準価額の推移を他のなにかの指標と比較しながら見守らないと分からないものです。また、相応の期間が必要です。設定後1ヶ月の様子では判断できません。楽天全世界株式、楽天全米株式も設定直後はひどかったです。SBIバンガードS&P500は設定前から募集をし、設定日の純資産総額が16.38億円あったからと言って、安定した運用ができる保証はありません。

SBIバンガードS&P500については、僕は現時点では「運用は順調そうです」とは言えません。スリム全世界株式(オール・カントリー)の設定後1ヶ月の時のような感想とは違います。

SBIバンガードS&P500に投資するかどうかは別にして、評価は急がない方が賢明です。そう言いつつ評価記事を書いてしまうのは、ブロガーの性(さが)です。お許しください。

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