インデックス投資

楽天全米株式の運用報告書に記載されないコストの存在

2019年11月4日

SBIバンガードS&P500はバンガード社のETFであるVOOを買うだけのインデックスファンドです。同様の運用形態で有名なのが楽天全米株式です。楽天全米株式は同じくバンガード社のETFであるVTIを買うだけのインデックスファンドです。

「買うだけの」という表現は実は乱暴です。現物株運用が数百から2,000を超える銘柄を売買することと比べて、売買するのがETF一本だけという大きな違いがありますが、受益者からの売買注文をさばき、ETFから得られる配当金を再投資するなど、やることはたくさんあるはずです。

さて、僕はこれまでVTIトータルリターンと楽天全米株式のリターンを比較することで、楽天全米株式のトータルコストを推測してきました。しかし不思議なことに、僕の推測と運用報告書から計算したトータルコストが一致することはありませんでした。

ひどかった第一期

SBIバンガードS&P500に飛びついた「ファーストペンギン」と呼ばれることになるかも知れない人たちは、楽天全米株式の第一期の運用がひどかったことを知らないのではないでしょうか。知っていたら飛びつくのをちゅうちょすると思うのです。

次は楽天全米株式の第一期決算期間における、VTIトータルリターンと楽天全米株式のリターン比較です。

楽天全米株式の第一期決算期間における、VTIトータルリターンと楽天全米株式のリターン比較

青のラインはリターン差で、VTIトータルリターンー楽天全米株式です。設定直後にどーんと跳ね上がっていますが、僕は運用上の問題だと思っています。楽天全世界株式にも同じ現象がありました。原因は純資産総額が少ない状態で運用を開始したからかも知れませんが、ここではそういうことが起きた、と認識してもらえれば十分です。

次は(リターン差の観測から)運用が安定したと思われる2017年10月4日以降の比較結果です。

運用が安定したと思われる2017年10月4日以降の比較結果

青のラインの傾きは楽天全米株式のコストの量を示唆していますが、比較期間当初(設定後しばらく)は急だった(高コストだった)ようです。リターン差は明らかにそれを示唆しているのです。

途中にある大きなトゲは配当金を取り込む日がVTIトータルリターンと楽天全米株式で違うためで正常です。無視してください。

また、リターン差を示すラインが直線にならない理由については次の記事に書きました。

次はこの比較期間のVTIトータルリターンのコストを年率0.25%ポイント増量したものです。

VTIトータルリターンのコストを年率0.25%ポイント増量したもの

この比較期間の楽天全米株式のコストは一様ではなかったので、青のラインはフラットになりません。次は比較開始を2018年2月に変更したものです。

比較開始を2018年2月に変更したもの

青のラインはフラットになりました。よって、楽天全米株式の第一期決算期間で運用が十分安定した頃以降における、VTIの経費率を除いた楽天全米株式固有のトータルコストは年率0.25%程度だと推測されます。

運用報告書から計算した数値は0.2621%(VTIの経費率を除きます)でした。このことから、僕は運用報告書には全てのコストが記載されていないと判断しています。設定後しばらくの高コストだった期間のことが無視されているからです。反論歓迎です。

安定した第二期

次は楽天全米株式の第二期決算期間における、VTIトータルリターンと楽天全米株式のリターン比較です。

楽天全米株式の第二期決算期間における、VTIトータルリターンと楽天全米株式のリターン比較

真ん中にある大きなトゲは無視して下さい。次はVTIトータルリターンのコストを年率0.15%ポイント増量したものとの比較です。

VTIトータルリターンのコストを年率0.15%ポイント増量

青のラインはまだ右肩上がりです。0.15%ポイントではコスト増量不足です。

次は0.20%ポイントの増量です。

VTIトータルリターンのコストを年率0.20%ポイント増量

青のラインはフラットになりました。

次は0.25%ポイントの増量です。

青のラインは右肩下がりになりました。0.25%ポイントだとコストを増量しすぎです。

よって、楽天全米株式の第二期決算期間における、楽天全米株式固有のトータルコストは0.20%程度と推定できます。

運用報告書から計算した、VTIの経費率を除いたトータルコストは0.1928%でした。推定値の方が大きいです。コストを増量した結果のリターン差の傾きを目視で確認していることを考えれば、ほぼ一致しているとも言えます。反論歓迎です。

楽天全米株式は配当金を全額即座に再投資しているのか

VTIトータルリターンの生成では、配当金は米国での10%課税後に、100%再投資しています。もし楽天全米株式が配当金の一部を現金で保有しているとすると、再投資効率が下がります。その結果、VTIトータルリターンから劣後しますが、楽天全米株式にとって配当金の一部を現金で保有することは「コスト」ではありません。よってそれが運用報告書に記載されることはありません。

僕は楽天全米株式の第二期決算期については、VTIトータルリターンとの差が運用報告書にある数値と一致しないことを問題視していません。それは次の記事に書いた通りです。

話をそっちに振りますか

僕は楽天全米株式とVTIトータルリターンの比較結果から得られた情報に満足しています。そしてその経験から、同じ分析手法がSBIバンガードS&P500とVOOトータルリターンに通用すると確信しています。その分析を、SBIバンガードS&P500にもVOOにも1円も投資することなくできるのは素晴らしいことです。

さらに、楽天全米株式と違って同じS&P500種指数をベンチマークにしている現物株運用のインデックスファンドがあり、それとSBIバンガードS&P500のリターン比較ができるのも楽しみです。特に11月12日以降は税抜き信託報酬が同率になりますから、現実のリターン差(パフォーマンス差)は、運用の仕組みを超えて一般の受益者に影響を与えるはずです。

設定後1ヶ月ちょっとの比較結果を次の記事にしましたが、まだ判断は下せません。

また、楽天全米株式のように第一期はひどかったけど第二期は改善するということもあるわけです。

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