インデックス投資

【予想外】iFreeレバレッジS&P500の運用は目論見書通りでした

iFreeレバレッジS&P500は、S&P500種指数の日々の値動きの2倍程度を目指す、ブル型のファンドです。公式にはベンチマークがないので、インデックスファンドではありません。2018年8月31日に設定されましたが、信託報酬が税抜き0.9%、購入時手数料が税抜き2.0%と足元を見られている感がありありでした。

それから14ヶ月が経過し、第一期運用報告書が公開されましたので、iFreeレバレッジS&P500のこれまでを振り返ります。レバレッジ型ファンドを馬鹿にしている人にも楽しんで頂けると思います。

予想外に低かった隠れコスト

大変失礼ながら、僕は隠れコストが大きくなるだろうと予想していました。運用報告書には全てのコストが記載されないことは承知していますが、iFreeレバレッジS&P500のそれは十分小さいものでした。

次は第一期運用報告書から計算したトータルコストです。

運用報告書にある数値を信じるなら隠れコストは0.0662%と低廉です。売買手数料や保管費用が高額で、隠れコストを見てびっくりすることも少なくないわけですが、iFreeレバレッジS&P500は優秀でした。(なお、レバレッジをかけることで生じる金利は運用報告書には出てこないものと思われます。)

でも税抜き信託報酬が0.9%なのでトータルコストが高いことは確かです。が、なんでもかんでもスリムシリーズ並みでないとダメと言うことではありません。その資産クラスの特性、事情、他社商品との競争を含めて判断すべきです。それでも僕は税抜き0.9%は高額で、せいぜい0.6%程度なら良かったのにと思います。

また、購入時手数料税抜き2.0%はひどいと思います。商品の性格上そうしたかった気持ちは分かりますけどね。

SPUU

S&P500でブル型と言えばSPXL(Direxion社のETF)が超有名です。これは3倍です。2倍はSPUUですが、SPUUは楽天証券、SBI証券、マネックス証券では買えません。

SPUUの経費率は0.64%と安くはありません。

次はSPUUのトータルリターンと、レバレッジのかかっていないVOOのトータルリターンの比較です。SPUUが設定された翌年の2015年年初からの比較になります。

SPUU vs VOO

赤のラインがSPUU、緑のラインがVOOです。株価が上昇できなかった2017年より前はVOOに負けていました。2017年以降の強気相場では凄まじい上昇率ですが、下落率も同様に凄まじいです。この乱高下に耐えられない人はレバレッジ型に手を出してはいけません。

このグラフから、S&P500の上昇局面では高いリターンが期待できるものの、下降局面では含み益を急速に溶かしてしまうことが分かります。僕には長期保有向きの資産とは思えません。短期売買を好む人にはいいかも知れませんが、iFreeレバレッジS&P500が税抜き2.0%の購入時手数料を設定したのにはそういう背景があるのかも知れません。

SPUUトータルリターン vs iFreeレバレッジS&P500

ではレバレッジ型ファンドで有名なDirexion社が運用しているSPUUと、(失礼ながら僕が運用を心配していた)iFreeレバレッジS&P500を比較します。iFreeレバレッジS&P500の設定日直後を避けた2018年9月15日からの比較です。

SPUUトータルリターン vs iFreeレバレッジS&P500

赤のラインがiFreeレバレッジS&P500です。青のラインはリターン差で、iFreeレバレッジS&P500ーSPUUトータルリターンです。レバレッジ型であることを考えると、両者にほとんど差はないと言っていいでしょう。

よって、iFreeレバレッジS&P500の運用は期待通りであると判断します。

iFreeレバレッジS&P500 vs iFree S&P500

次はレバレッジのかかっていないiFree S&P500とのリターン比較です。

iFreeレバレッジS&P500 vs iFree S&P500

2018年10月に始まった世界同時株安で株価は大きく下落しますが、2倍のレバレッジをかけているiFreeレバレッジS&P500の下落率は凄まじいです。その後の上昇率も凄まじいですが、iFree S&P500の水準まで回復する前にまた下落しています。精神的に相当タフでないと耐えられないでしょうね。

次はリスク比較です。日々の値動きの2倍を目指すのでリスクは高くなります。とんでもなく。

リスク比較

リターン差を見ると状況がよく分かります。

リターン差

結局、この比較期間だとiFreeレバレッジS&P500の良さを感じることができません。日々の値動きの2倍程度を目指すのに、どうしてこういう結果になるのか疑問に思う人も多いことと思います。それについてはiFreeレバレッジS&P500の目論見書にとても丁寧な説明があります。

でも話はこれで終わりません。

積み立てシミュレーション

次はiFree S&P500に2018年9月から毎月初に5万円、積み立て投資をしたシミュレーション結果です。

iFree S&P500の積み立てシミュレーション

利益率は7.90%でした。次はiFreeレバレッジS&P500です。5万円の2.16%(税率8%)が購入時手数料で消えますが、公平な比較のため元本は減らしていません。

iFreeレバレッジS&P500の積み立てシミュレーション

利益率は12.15%でした。つまり、高コスト、高リスクですが積み立て投資を継続できた人は、レバレッジのかかっていないiFree S&P500に積み立て投資するよりも儲かったわけです。

不思議ですが、これが積み立て投資のメリットです。

購入時手数料税抜き2.0%の負担

もしiFreeレバレッジS&P500がノーロード(購入時手数料がゼロ)だったらどうなるでしょうか。シミュレーションなら簡単にできます。

もしiFreeレバレッジS&P500がノーロード(購入時手数料がゼロ)だったら

利益率は12.15%から14.46%に改善されました。購入時手数料税抜き2.0%の負担はとても大きいです。

売れ行きは

次は設定来の総口数の推移です。

設定来の総口数の推移

金額にして数千万円を超える急激な変動があるのはレバレッジ型らしいです。残念ながら人気を獲得できていません。

設定日の純資産総額が3億円ありますが、これは運営側による初期投資だと思われます。よって、受益者の投資による純資産総額は1.24億円しかありません。

目論見書には総口数が30億口を切ると繰上償還することがあると書かれています。こんなに不人気だとその可能性は十分あります。なお、当然ですが、つみたてNISA適格ではありませんから、繰上償還に際して金融庁に遠慮は不要です。

結論

iFreeレバレッジS&P500の運用は目論見書通りでした。信託報酬が高いとか、購入時手数料が税抜き2.0%もかかるというデメリットがありますが、それらも目論見書通りです。ファンドによっては第一期運用報告書を見て隠れコストの高さに目玉が飛び出しそうになるものがありますが、失礼ながら、iFreeレバレッジS&P500は逆の意味で驚きでした。

でもレバレッジ型ゆえ、一般人向けの商品ではありません。S&P500の暴落後に、その後の株価の回復を楽しむ程度に投資するのならいいかも知れません。その際、3倍ブル型のSPXLに挑戦するまでの気はない、2倍ブル型のSPUUは日本の証券会社で扱っていない、なら信託報酬と購入時手数料が高いけど、100円から気軽に投資できるiFreeレバレッジS&P500でギャンブル気分を楽しむのもいいかな、と思う人もいるでしょう。

僕は、iFreeレバレッジS&P500は長期保有に不向きだと思うのですが、ならばそもそもどうしてファンドで組成したのかという疑問もあります。ここは人によって捉え方が変わるでしょう。でも売れ行きを見る限り、支持する受益者は少ないようです。

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