インデックス投資

iFree S&P500とスリム米国株式(S&P500)にリターン差がないのはなぜか

2019年11月8日

iFree S&P500の信託報酬は税込み0.243%、10ヶ月遅れて設定されたスリム米国株式(S&P500)の信託報酬は税込み0.1728%でした。税率8%時代の話です。スリム米国株式(S&P500)の方が0.0702%ポイントも安いので、信託報酬しか見ない受益者はスリム米国株式(S&P500)を選択するかも知れませんが、不思議なことにこれら2商品のリターンはほとんど同じでした。つまり、トータルコストに差はありませんでした。

iFree S&P500の第二期運用報告書が公開され、僕が1年近く抱いていた疑問のいくらかが解消されました。でも払拭されたわけではありません。

スリム米国株式(S&P500) vs iFree S&P500

次はスリムS&P500の運用が安定したと思われる2018年9月3日から2019年6月13日までのリターン比較です。

2018年9月3日から2019年6月13日までのリターン比較

青のラインはリターン差で、スリム米国株式ーiFree S&P500です。ほとんど差がありません。十分なトータルコスト差があり、どちらも運用が安定している場合は青のラインは傾きを持った直線になります。

覚えている人は少ないと思いますが、スリム米国株式は6月14日に税抜き信託報酬を0.16%から0.15%に引き下げました。次は比較期間を11月1日にまで延ばしたものです。6月14日以降を黄色に塗りました。

比較期間を11月1日にまで延ばしたもの

スリム米国株式のリターンはわずかに改善されたような気もします。

信託報酬と隠れコスト

スリム米国株式とiFree S&P500の税込み信託報酬には、0.0702%ポイントもの差がありました。これは近年の超ローコスト投信にとっては大きな差です。そして、iFree S&P500の第一期運用報告書から計算したトータルコストは税込み0.3722%と、信託報酬が税込み0.243%であることを考えると高めでした。隠れコストが税込み0.1292%と高めだったのです。これを高めと言うほど、コスト競争が激化しているわけです。

税込み信託報酬が0.1728%のスリム米国株式の隠れコストが0.2%にもなるとは思えなかったので、トータルコストが税込み0.3722%もするiFree S&P500にパフォーマンスで負けることはないだろうと考えました。当然、リターン差を示す青のラインは右肩上がりの直線になるだろうと。が、そうではなかったのです。

リターン差が示唆したのは、スリム米国株式とiFree S&P500のリターンはほとんど変わらないということでした。つまり、この2商品のトータルコストはほとんど同じということです。信託報酬は確かに違いますから、トータルコストがほとんど同じということは、次のどれかだと思われました。

  • スリム米国株式の隠れコストは期待以上に大きい。
  • iFree S&P500の第二期決算期間の隠れコストはとても小さい。
  • 運用側にしか分からない理由でリターン差が生まれている。

スリム米国株式のトータルコスト

次の表はこちらの記事からの引用です。

トータルコスト比較

スリム米国株式のトータルコストは税込み0.0799%と期待を裏切らない低さでした。でも運用報告書には全てのコストが掲載されるわけではないので、いくらか割り引いて見るべきです。

となると、前記理由の一番目が消えます。ではiFree S&P500の第二期決算期間の隠れコストはとても小さいのでしょうか。僕はこれがずっと気になっていましたが、待ちに待った第二期運用報告書が公開されました。

第二期は隠れコストが大幅に減少

iFree S&P500の運用報告書から計算したトータルコストです。第二期は隠れコストが大幅に減少していました。

iFree S&P500のトータルコスト比較

第二期は第一期の39.2%ですから6割も減りました。それでも計算上、6月13日までは0.05%ポイント程度のトータルコスト差があったわけですが、スリム米国株式とiFree S&P500のリターン差は少々暴れるため、そのコスト差を認識するのは難しかったようです。

第二期で何が減ったのか

次はiFree S&P500の隠れコストの明細です。

第二期での減少が目立つものを青字にしました。

  • 売買委託手数料が大きく減っています。株式の売買委託手数料がこの桁ではゼロになるほど少ないとは驚きです。
  • 保管費用が1/3未満に減りました。

隠れコストが0.05%程度というのは本当ですかと思うぐらいの低さです。次は先進国株式インデックス御三家のトータルコスト比較です。税率を10%に補正しています。

運用報告書から計算したトータルコスト

右から2列目が隠れコストです。たわら先進国株式がびっくりするほど低いですが、この数値は盛りすぎな(正しくない)ことが基準価額データから確実視されています。運用報告書から計算した隠れコスト、トータルコストは鵜呑みにしてはいけないということです。iFree S&P500もそうです。

最新のトータルコスト比較

スリム米国株式とiFree S&P500の最新のトータルコスト比較です。最新と言っても運用報告書の決算期間です。

スリム米国株式とiFree S&P500の最新のトータルコスト比較

スリム米国株式は税込み信託報酬が11月12日より0.0968%になります。それだけ下がれば、リターン差を示す青のラインは傾きを持つようになると期待しています。

次は隠れコスト比較です。差が目立つものを青字にしました。

スリム米国株式とiFree S&P500の最新の隠れコスト比較

もしかすると、iFree S&P500の売買委託手数料が低いのは、総口数があまり増えなくなったからかも知れません。保管費用は、スリム米国株式にはまだ頑張る余地があるということでしょうか。

iFree S&P500の現物株比率

次はiFree S&P500の運用報告書にある表を加工したものです。月、現物株比率、ETF比率です。

引用:運用報告書

現物株比率は64%から91%と変動が大きいです。変動の多くはETF(IVV)で埋められています。

iFree S&P500は本来現物株運用を目指し、補完的にETFを利用するのを意図していると思われますが、ETFの割合が依然として高いです。第二期は上昇一途で、やる気が感じられません。

目論見書に、現物株比率をいくら以上にしますとは書かれていませんので、ETFの比率をどよしようが運営側の自由です。でも、そもそも現物株運用のインデックスファンドとETFを買うだけあるいは複数のETFを組み合わせただけのインデックスファンドは違うはずです。その違いを受益者が意識するか、選択の判断材料にするかどうかは別の問題です。

一方、スリム米国株式はETFは利用しておらず、現物株運用だと言っていいです。

スリム先進国株式 vs ニッセイ外国株式

縦軸のスケールはそのままで、スリム先進国株式とニッセイ外国株式のリターンを比較しました。税抜き信託報酬が0.0999%になった2019年6月27日以降です。え、こっちの方が興味がある?

スリム先進国株式 vs ニッセイ外国株式

青のラインはスリム先進国株式ーニッセイ外国株式です。きれいだと思いませんか。まぐれではこんな風にはなりません。

青のラインは右肩上がりではなくて、途中で段差ができただけだと思います。そのため、スリム先進国株式とニッセイ外国株式のトータルコストはほぼ同じと考えています。

最初のグラフを再掲載します。青のライン、きたないでしょ。ベンチマークが同じインデックスファンドのものなの?と思ってしまいます。

2018年9月3日から2019年6月13日までのリターン比較

真相は部外者には分かりませんが、この青のラインの不安定さ(暴れている様子)は、iFree S&P500のETF組入比率が高いことが関係しているのではないか、と疑っています。間違っていたらごめんなさい。

売れ行き

次はiFree S&P500とスリムS&P500の総口数の推移です。現在の純資産総額は88億円と344億円です。4倍近い開きがあります。

赤のラインがiFree S&P500、緑のラインがスリム米国株式です。スリム米国株式の圧勝です。これは、後発でも時流に乗れると高い人気を獲得できることを示しています。

インデックスファンドから得る運用会社の売上は、純資産総額✕信託報酬の運用会社部分で決まりますから、信託報酬の低廉化が進んでいる現在、儲けるためには純資産総額を多く集めるしかありません。そのためには高い人気を獲得してそれを維持する必要がありますが、iFree S&P500の現状は非常に厳しいと言えます。強力なライバルがいる中でこのように総口数が伸び悩むカーブを描き始まると、逆転するのは難しいと思われます。

他の条件が同じ場合、赤のラインと緑のラインのどちらのインデックスファンドに投資すべきかと言えば、間違いなく緑です。そして11月12日以降はスリム米国株式の信託報酬が大幅に下がるので、iFree S&P500はより厳しくなると思われます。

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