インデックス投資

富裕層でもVTIより楽天全米株式が儲かると断言しない理由

2019年11月21日

このブログでは毎月の投資可能額が5万円から10万円程度の一般人の場合、VTIより楽天全米株式の方が儲かると結論づけています。また、一般人がVT、VTI、VOOを自分で買うことのデメリットについて、次の記事で解説しました。

読者の方から質問を頂きました。

いつも月5万〜10万なら、という注釈が毎回ついてますが、理解ができていません。
運用コスト面(投信運用コストとETF配当再投資コストの差)でも勝ってるなら投資額がいくつにせよ(初期の乖離が変わるだけなので)投信が勝てると思うのですが…
月数万の注釈を付けてる理由は何ですか?

僕がしつこく「一般人」という注釈を付けているのは、富裕層は一般人が真似できない買い方を(実際)するのですが、その場合は話が変わるからです。ではどう変わるのでしょうか。

1,000万円を一括投資した場合

VTIに1,000万円一括投資するなんて一般人には想像もできませんが、それをさらりとできる投信ブロガーの方もいらっしゃいます。次はWATANKO様のブログからの引用です。

2018年初に“投資のお年玉”としてVTIを1,200株購入しました。

引用:資産運用でスーパーカーを手に入れよう!

購入金額152,000ドル、1,672万円程度になります。

次はVTIを予算1,000万円で買い付け、実際にかかった分だけ楽天全米株式を買い付け、その後ガチホするシミュレーションです。楽天全米株式は設定直後に恥ずかしいことがあったので、それを避けて2017年11月からのシミュレーションとしました。

VTIを予算1,000万円で買い付け、実際にかかった分だけ楽天全米株式を買い付け、その後ガチホするシミュレーション

青のラインは評価額の差で、楽天全米株式ーVTIです。

  • VTIの初回買い付け額は87734.24ドルですが、取引手数料の上限が20ドルなので、負担率は0.02%です。為替手数料は1ドルあたり4銭で、0.035%です。そのため、青のラインは0%に近いところからスタートしています。
  • その後、楽天全米株式はガチホするだけ、VTIは配当金を自分で再投資します。
  • 楽天全米株式固有の運用コストにより青のラインはマイナス圏に食い込みます。が、2019年はプラス圏を推移しています。

初期投資額が1,000万円にもなると配当金をもらう都度数株追加購入できます。

配当金再投資実績

青のラインが階段状になるのは、次の理由のためです。

  • 楽天全米株式は配当金に国内課税を適用せず、(受益者から見て)端株数対応で再投資しています。対するVTIは国内課税後に再投資しています。
  • VTIは取引価格の整数倍でしか再投資できないため、理論的に配当金を100%再投資できません。平均すると取引価格の1/2が再投資されずに先送りされます。

2019年10月末時点の税引き後評価額の差は54,794円、0.49%で楽天全米株式の方が儲かりました。

運用コスト vs 配当金の再投資効率

VTIへの投資済み元本額が大きくなると、追加投資時に負担する手数料は、資産全体から見ると小さくなります。一方、楽天全米株式固有の運用コスト(VTIの経費率を除いた信託報酬+隠れコスト)は資産全体にかかります。よって、たとえば投資済み元本が1,000万円になったのでガチホに入った場合、毎年かかる楽天全米株式固有の運用コストは重く感じるはずです。

現在の楽天全米株式の、VTIの経費率を除いたトータルコストは0.20%程度です。つまり、楽天全米株式とVTIの保有資産額がともに1,000万円の場合、楽天全米株式の方が年間2万円余計なコストがかかります。大きいと感じることでしょうが、WealthNaviなら年間なんと11万円です。引いちゃいますね。

上記シミュレーションでは2019年に10株再投資できました。配当金はドルでもらえますので再投資時にドル転は不要ですが、再投資は通常の買付なので、売買手数料がかかります。取引価格が145ドルなら1株あたり0.7ドル程度なので、2019年に配当金の再投資にかかったコストは7ドル程度です。でもちょっと前だと売買手数料は最低5ドルでしたので、再投資のたびに5ドルかかり、それが年4回で年間20ドルにもなっていました。

よって、配当金の再投資にかかるコストは十分小さいと言えます。でも、国内課税後の配当金を100%再投資できない(端株数で買えないから)効率の悪さは残ります。残った配当金は、この記事の文脈だと、次回配当金がもらえるまで利を産まない状態で口座に残ります。

課税の繰り延べ効果

課税の繰り延べ効果は、投資対象の期待リターンが高いほど大きくなります。

複利効果が期待でき、長期保有が有利です。でもこれを根拠に、富裕層がどんな買い方をしても、VTIより楽天全米株式の方が儲かるとは言えません。

本格的なDRIPでなければ楽天全米株式かな

もし、端株数に対応したDRIPが日本の証券会社で利用できるようになると、再投資効率が悪い問題が解消されます。

  • 配当金は国内課税されずに再投資される。
  • 端株数対応で1セントの無駄もなく再投資される。
  • 再投資に手数料はかからない。

こうなると、ガチホ状態のVTIが楽天全米株式に負けるとは思えません。

一般人を救えれば良い

ETFマニアの甘言に乗って、いまだに一般人がVTIやVTやVOOを自分で買っているとしたら、それはとても残念なことです。どう考えても同じ資産クラスに投資する超ローコストインデックスファンドの方が有利でしょう。それでも海外ETFを自分で買うのがいいと思うなら、好きにすれば良いです。自分のお金ですから、他人にとやかく言われる筋合いはありません。でも、海外ETFを自分で買うことのデメリットを知らずに、ETFマニアの勧めに乗せられてはいませんか。

なので、僕は圧倒的大多数である一般人に有利な選択肢を提示していますが、富裕層の方は自分で計算して好きな方を選べば良いと思うのです。

配当金を再投資しない人もいる

海外ETFに大きな金額をほぼ一括で投資し、配当金を再投資しないで使っちゃう人もいます。不労所得ですね。源泉分離課税なら20.315%の譲渡税だけで済みます。

そのような人にとってはVTIより楽天全米株式の方が良いという考え方はなじまないのかも知れません。いや、好きにして下さい。

質問者の方の場合

質問者の方はVOOを一括で1,000万円投資後、20万円積み立てされているそうです。次は上記シミュレーションをこの投資方法に変更した結果です。

質問者の方の場合

20万円の積み立てにかかる手数料負担が小さくないので、差が広がってしまいました。積立額の0.45%(+消費税)が手数料として取られますので、月平均19万円分の株を買えたとして手数料は年間1.1万円にもなります。小さくはないですよね。

SBIバンガードS&P500は運用が始まったばかりなので分かりませんが、トータルコストが分かっているスリム米国株式(S&P500)と、VOOの比較で、この投資方法ならば、スリム米国株式(S&P500)の方が儲かると思います。

なお、一般人なら、SBIバンガードS&P500でもVOOに負けることはないはずです。

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