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【残念】iDeCoの商品選択の不自由さに見る制度上の限界

2019年11月22日

僕はiDeCoの制度改革と普及促進を全面的に応援しています。iDeCoの一部のデメリットを強調して、多くの読者をビビらせたり、不安を煽ったりしません。メリットとデメリットを具体例をあげて、公平に伝えているつもりです。

そのiDeCoがつみたてNISAと根本的に異なることのひとつに、対象商品の決め方があります。

つみたてNISAは、金融庁が適格かどうかを判断します。要件を満たす良い商品を組成して持ってらっしゃい、歓迎しますが厳しく審査しますよ、ということです。現在、指定インデックス投資信託は148本あります。指定インデックス投資信託以外の投資信託(アクティブ運用投資信託等)は18本あります。商品によって購入できる金融機関が限られますが、受益者は好きな金融機関でつみたてNISA口座を開設して、そこで買えるものから選ぶわけです。たとえば楽天証券の場合、つみたてNISA口座で買える商品は152本です。(一覧表はこちら

つみたてNISAは、売れる商品の選別(適格との認定)はきっちりやるけど、売る本数は制限しませんよ、ということです。ただし、つみたてNISA口座は同時には1つしか持てないので、現在口座がある金融機関が買いたい商品を扱っていない場合は、口座を移管するしかありません。

一方のiDeCoは、全く違う考え方で始まったものゆえ、過去の悪しき慣習を継承してしまっています。対象商品の選択は金融機関が行うのです。しかも、現在では扱える商品数が35本までに制限されています。

ため息の出るラインアップ

次の表は楽天証券のiDeCo口座で買える商品一覧を加工したものです。信託報酬の高い順に並べています。

楽天証券のiDeCo口座で買える商品一覧

僕はどれもがスリムシリーズ並の安さでないとダメだとは思っていませんが、同じ資産クラスに投資する、もっとローコストな選択肢はたくさんあるだろうと思うわけです。楽天証券だって稼ぎたいでしょうし、一度ラインアップに載せると簡単には除外できない背景もあるでしょう。

現在全部で32本なので、あと3本しか追加できません。もっと追加したかったら不人気なものを除外するか、SBI証券がやったように別の口座を新設するかしかありません。

SBI証券の選択

SBI証券はiDeCoの商品数を35本に制限された時に、29本を除外することにしました。こちらで除外予定の商品も含めて調べることができます。

そして、どうやって認めてもらったのか謎ですが、従来の口座をオリジナルプランとし、新たな口座をセレクトプランとして新設したのです。プランとありますが、別の口座です。オリジナル口座からセレクト口座への移管は無料で行えます。(おそらく逆も無料だと思われます。)でも口座の移管には日数がかかり、口座を操作できない期間が発生するので気分のいいものではありません。ちなみに僕はiDeCo口座を2回移管しています。

そして、セレクトプランではローコスト投信を増やし、批判的な投信ブロガーからも一定の評価を受けました。でももう36本になっており、いずれ1本除外しないといけません。

このやり方にはそもそも無理があります。未来になればどんどん新しい商品は登場するのに、35本までという制限があるとどこかで動けなくなるのは自明です。そしたらまた新プランを追加するのでしょうか。いや、それもおかしいでしょ。

厳しい現実

気になる商品の取り扱い状況を調べました。不自由の一言です。買いたい商品を決めてから証券会社を選ぶしかありません。

気になる商品の取り扱い状況

○の付いた証券会社でのみ扱われています。SBIバンガードS&P500はSBI証券でしか販売されていませんが、iDeCo口座では扱われていません。セレクトプランに空きがあれば入れたでしょうが、空きはありません。無理に突っ込んで、どれか不人気なのに消えてもらいましょうか。

注1は、扱っているのがDC専用商品なんですが、なんと一般商品の方が信託報酬が安くなってしまっています。

  • DC専用のニッセイ外国株式:税抜き信託報酬0.14%
  • 一般商品のニッセイ外国株式:税抜き信託報酬0.0999%

本来ならDC専用商品の方が信託報酬が安いんですけどね。理不尽さを感じる受益者もいることでしょう。

この表はiDeCoの制度上の限界を露呈しています。選択肢が多いと受益者が選択できなくなるとして、上限を35本に制限されましたが、その前から魅力的な選択肢が少なかったですし、一度選択肢に上げると気楽には取り下げできないわけで、証券会社にとっても不自由極まりないです。制度として、iDeCoの魅力を削ぐ結果になっていないですかね。

手数料は確かに高いけど

次の記事で怒りを表現したところ、それでも手数料は高いというコメントを頂きました。

確かにそうです。誰もが所得控除できるわけではないことを考えればなおさらです。でも、手数料が高いという声はたまに聞くものの、商品選択性の悪さはほとんど聞きません。たとえばAさんが楽天証券のiDeCo口座でバランスファンドに投資しているとします。楽天証券のiDeCoには魅力的なバランスファンドがなく、セゾングローバルバランスを選択しました。

楽天証券のiDeCoには魅力的なバランスファンドがない

楽天インデックスバランス(DC年金)は信託報酬は安いですが、債券比率が85%もあり、期待リターン的にイマイチと考えました。

Bさんもバランスファンドが好きですが、楽天証券には好みのものがなかったので、SBI証券のセレクトプランに口座開設し、スリムバランスを選択しました。セゾングローバルバランスとスリムバランスは組成が全く異なるので、同列では比較できませんが、その信託報酬差はとても大きく0.476%ポイントもあります。

AさんとBさんのiDeCoの資産が200万円になっていたとします。年間のおおよその信託報酬差は9,520円になります。iDeCoの拠出期間の手数料は月額171円なので、年額2,052円です。信託報酬差の方が大きいです。

恣意的な計算?そうですね。でも僕らインデックス投資家は、信託報酬を軽視すべきでないことを良く分かっています。この差は拠出をやめて運用指図者になった後も続きます。そして資産額に比例して大きくなります。

よりローコストな商品が登場しても、あるいは信託報酬が引き下げられても、この制度的に不自由なシステムのために高い信託報酬の商品で我慢している受益者も多いことでしょう。でも、コスト意識が高く、行動力を備えた人はiDeCo口座を移管させてまで有利な商品に切り替えているかも知れません。

僕は、この制度上の限界への処方箋を持っていませんが、iDeCoは口座を移管してでも、納得して投資できる対象を選択すべきというのが僕の考えです。

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