インデックス投資

配当金生活するなら楽天全世界株式よりVTですか?

VTなどの米国籍ETFに多額の投資を行い、年率2%程度の配当金をもらい、一切再投資しないで生活費などに充てる「配当金生活」に憧れる人は少なくないようです。もしVTの配当金と年金などで生活費に困らない場合、保有しているVTは売却しないで済むわけですから、配当金の額も一定の水準が維持されることが期待できます。その場合、多額のVTは誰かが相続することになるのでしょう。

でもVTは海外ETFなので、日本のインデックスファンドより扱いにくいです。現状では、資産形成を進めている最中は、相対的に入金力が低い場合、VTよりも楽天全世界株式の方が有利です。が、収入がなくなってもう追加投資できない状態になり、VTから得られる配当金も再投資しなくなると、楽天全世界株式の運用コストの重さにより、VTを保有している方が有利になります。

ここで配当金生活を目指すAさんとBさんに登場して頂きます。AさんはVTを、Bさんは楽天全世界株式を選択しました。どちらも配当金生活に入った時の保有額(評価額)は同じです。AさんはVTを解約しません。BさんはAさんが得る配当金相当分を毎月解約します。

ちょっと苦労しましたが、専用プログラムを書いてシミュレーションしました。

比較方法

楽天全世界株式の実データだと2年ちょっとしか比較できません。そこでVTの取引価格、配当金実績、為替データから生成したVTトータルリターンの運用コストを増量して、仮想楽天全世界株式を生成します。これまでの分析から、VTトータルリターンの運用コストを年率0.28%ポイント増量すると、現在の楽天全世界株式のリターン相当になることが分かっています。

VTは実データを使用します。2014年12月から2019年11月末までの5年間を比較期間とし、同じ保有資産額でスタートします。つまり、経緯は不明ながら、AさんもBさんも2014年12月までにそれだけの投資を完了させたということです。その後は追加投資はしません。

Aさんは年4回もらえる配当金を円転して生活費に充当します。AさんはSBI証券を利用していて、為替手数料は1ドルあたり4銭です。

楽天全世界株式は配当金を出さないので、そもそも「配当金生活」という概念が馴染みませんが、この記事ではAさんの配当金相当額を毎月初に解約することにします。利用しているのは特定口座なので、税引き後の手取り額が、Aさんの配当金相当額になるようにします。税率は20.315%固定です。

1,000万円の場合

保有資産額が1,000万円だと、配当金の額が少なくて(多分)お話になりませんが、この金額で仕組みを説明します。

AさんがVTから得た配当金(国内課税後、為替手数料負担後)の合計は851,822円、平均月額14,197円でした。そこでBさんは毎月初に税引き後で14,197円を解約したものとします。あくまで比較のためのシミュレーションなので、細かいツッコミはしないで下さい。

1,000万円の場合

青のラインは評価額の差、仮想楽天全世界株式ーVTです。青のラインが階段状に下がるのは毎月初に解約するからです。階段状に上がるのは、楽天全世界株式はVTから得られる配当金を再投資するからです。

楽天全世界株式はBさんが円で手にした配当金相当額を、均等割で毎月解約します。そのため楽天全世界株式の配当金再投資効果はほぼゼロながらも変動し、かつ、楽天全世界株式は運用コストがVTより年率0.28%高いので、青のラインは基本、右肩下がりになります。

もしBさんが、Aさんが配当金を手にしたタイミングでその金額を解約したら、こうなります。

もしBさんが、Aさんが配当金を手にしたタイミングでその金額を解約した場合

楽天全世界株式の配当金再投資効果は限りなくゼロになるので、青のラインは楽天全世界株式の運用コスト分、右肩下がりになります。

3,000万円の場合

AさんがVTから得た配当金(国内課税後、為替手数料負担後)の合計は2,556,718円、平均月額42,611円でした。

3,000万円の場合

青のラインはほぼ同じです。この比較結果から、楽天全世界株式の配当金再投資効果が望めない場合、理屈通り、楽天全世界株式の運用コストが無視できない差を生むことが分かります。

5,000万円の場合

AさんがVTから得た配当金(国内課税後、為替手数料負担後)の合計は4,261,616円、平均月額71,026円でした。

グラフの青のラインは変わりません。

5,000万円の場合

配当金生活なら

VTは売却しない、配当金だけで足りるのなら、シミュレーションで見た通り、VTが有利です。AさんがVTから得た配当金相当額を、楽天全世界株式を解約して得ると、楽天全世界株式の相対的に高い運用コスト分だけ、差が生まれるからです。

ところが、VTの売却まで考えると、状況が変わります。

VTを売却するコスト

このシミュレーションではSBI証券を利用しています。買付手数料は無料化されますが、売付け手数料は無料化されません。そのため、売却時には為替手数料以外に、税込み0.495%、上限22ドルの売付け手数料が必要です。VTを3,000万円保有していて平均月額42,611円もらえるけれど、それではちょっと足りないから毎月少額売却したいとなると、この手数料を負担しないといけません。

また、一株単位でしか売却できません。もちろん、売却すると手にする配当金の金額も徐々に減ります。

そうは言っても、売付け手数料は売却分にしかかからず、配当金生活を目指すということはVT本体(保有資産額)には手を付けないのが基本でしょうから、気にすることはないでしょう。

理屈通りだと分かりました

めんどくさい専用プログラムを書いて確認できたのは、配当金生活するなら楽天全世界株式よりVTの方が有利だということです。

この記事のテーマである「配当金生活」から離れて、何十年かかけて楽天全世界株式に積立投資を行い、その後何十年かかけて資産を取り崩しながら生活する場合は、その前後両方の期間において利便性が圧倒的に高い楽天全世界株式は、一般人の良きパートナーになり得ると思います。(ちょうど資産取り崩しに便利なサービスが広がりつつあることですし。)

逆に、数年で数千万円を投資し、その後配当金生活を志向する人で、VTを自分で買うめんどくささをいとわないなら、圧倒的にVTが良いです。

我が家の場合

我が家はスリム先進国株式に集中投資しています。次の暴落を起点とした景気の1サイクル内に、リスク資産の大半を、リスクの低い債券インデックスに移行させる予定です。その後、収入がなくなると、年金と資産の取り崩しで生活する計画です。配当金生活とは無縁ですし、投資信託を子供に遺す気は全くありません。夫婦で使い切ってこの世を去るのが目標です。

その代わり、子供には親が若い頃からできなかったインデックス投資のベストプラクティスを、惜しみなく伝授します。

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