インデックス投資

たわら全世界株式の運用は順調ですが明らかに不人気です

2019年12月24日

全世界株式に時価総額比で投資するインデックスファンドで、圧倒的な人気を誇っているのが楽天全世界株式です。純資産総額は322億円です。その楽天全世界株式に13ヶ月遅れて設定されたのが、スリム全世界株式(オール・カントリー)です。順調に人気を獲得できていますが、純資産総額はまだ112.99億円です。楽天全世界株式には遠く及びません。

たわらノーロードシリーズで有名なアセットマネジメントOneは、スリム全世界株式(オール・カントリー)に約9ヶ月遅れでたわら全世界株式を設定しました。ベンチマークはオール・カントリーと同じMSCI ACWIです。アセットマネジメントOneもMSCIジャパンのマザーファンドを保有していなかったので、三菱UFJ国際投信同様リスクを取って挑戦した形です。

たわら全世界株式は2019年7月22日に設定されましたが、決算期の関係でもう第一期運用報告書が公開されています。

トータルコスト比較

9ヶ月先輩のオール・カントリーとの比較です。隠れコストは運用報告書から計算したもの、信託報酬は現在のものです。

トータルコスト比較

たわら全世界株式は第一期決算期間が短く、コスト的に不利なのがモロに表れています。運用報告書にある数値を真に受けてはいけませんが、数値上は1.88倍もの差があります。結果、推定トータルコストには0.10%ポイントもの差ができてしまいました。でも、第二期以降は差が縮まるはずです。

次は隠れコストの明細です。差が大きいものを赤字にしました。

隠れコストの明細

全体的にオール・カントリーより高いです。

スリム全世界株式(オール・カントリー) vs たわら全世界株式

次はあえてたわら全世界株式の設定日からの比較です。

赤のラインがオール・カントリー、緑のラインがたわらです。青のラインはオール・カントリーーたわら全世界株式です。

設定日直後に青のラインは跳ね上がっています。これはオール・カントリーよりリターンが極度に悪いことを意味しますが、これは避けがたいものです。大なり小なり、ファンドの設定直後には見られる現象です。

たわら全世界株式の運用報告書には次の記述があります。

ファンドはベンチマークを0.3%下回りました。設定当初マザーファンドを非保有であったことや、信託報酬の影響を除くと、概ねベンチマークに連動した運用成果となりました。

僕はこの設定直後のことを非難する気はありません。

次は青のラインが安定した8月13日からの比較です。

8月13日からの比較

青のラインはプラス圏内で推移しています。傾向としてはわずかに右肩上がりです。11月12日以降は税込み信託報酬差が0.0176%ポイントあるので、その傾向は維持されると見ています。また、まぐれではリターン差はこのように推移できないので、どちらも運用は順調だと言っていいでしょう。

設定時は安く、その後は競争せず

たわら全世界株式は、オール・カントリーより0.022%ポイント安い、税抜き信託報酬0.120%で設定されました。でも三菱UFJ国際投信は期待通りにオール・カントリー(を含む全世界株式インデックスファンド3種)の信託報酬を税抜き0.120%に引き下げました。そうなることは事前に分かっていたはずなので、僕はアセットマネジメントOneがあえてそのような選択をした理由が理解できません。

ベンチマークと信託報酬が同じ、どちらもつみたてNISA適格となると、ブランド力・販売力がものを言います。

その後、目論見書に書いてあるベンチマークと実際の組成内容が異なる、僕が大嫌いなSBI全世界株式が、税抜き信託報酬を0.104%に引き下げました。オール・カントリーは対抗値下げをして同率になりましたが、たわら全世界株式はまだそのままです。

売れ行きは

次は設定来の総口数の推移です。

設定来の総口数の推移

赤のラインのオール・カントリーは反り返っていて、人気が加速していることが分かります。

このスケールだと、緑のラインのたわら全世界株式は右下にいるのが分かる程度です。純資産総額はオール・カントリーの112.99億円に対して1.84億円しかありません。

たわら全世界株式だけをプロットしました。

たわら全世界株式だけをプロット

設定直後は増えるものの、すぐに頭打ちになる、典型的なダメパターンです。楽天全世界株式、オール・カントリーの純資産総額、人気の推移を考えると、たわら全世界株式の前途は厳しいですね。受益者にアピールできる魅力に欠けます。

MSCIジャパンインデックスマザーファンド

三菱UFJ国際投信は、オール・カントリーのためにMSCIジャパンをベンチマークにしたマザーファンドを新規設定しました。日本株式インデックスマザーファンドという名称ですが、これはオール・カントリー専用ではありません。運用報告書によると「MSCIジャパン・インデックスファンド(適格機関投資家限定)」でも利用されていました。ベビーファンドが増えればマザーファンドの純資産総額も増え、運用コスト的に有利になるので、そうやって活用されるのは当然ですね。

たわら全世界株式の場合はMSCIジャパンインデックスマザーファンドという名称ですが、こちらもたわら全世界株式専用ではありません。運用報告書によると、「MSCIジャパン・インデックス・ファンド(適格機関投資家限定)」でも利用されていました。(名称が同じで気味が悪いです。)これも当然ですね。

MSCIジャパン指数のためにマザーファンドを新設したことに対し、マザーファンドの純資産総額が増えるまでは運用コスト、運用の安定性において不利なることを心配する声が聞かれました。その心配は正しいわけですが、運用会社はマザーファンドを利用するベビーファンドを増やすことで対応(工夫、努力)しているのだと思われます。

でも、あらゆる努力の結果は基準価額に反映されます。どうしても多数決になってしまいますが、基準価額データを比較して、運用コスト、運用の上手い下手を含めた「最終結果」を見るしかありません。その観点では、オール・カントリーとたわら全世界株式は(どうにもならない設定直後を除いて)上手に運用されていると言えるでしょう。が、それと売れ行き(人気)は別なのが、投資信託の難しいところです。

純資産総額こそが正義

純資産総額を増やすには、受益者から有償の愛である(多額の)現金を集める必要があります。信託報酬から得られる運用会社の取り分はわずかなので、経営的に成立させるためには圧倒的な純資産総額を集めるしかありません。それが人気であり、利益の源泉であり、さらなる信託報酬引き下げ競争の原資なのです。

競争に勝つためには、信託報酬を安く設定して参入しなければなりませんが、それで人気が出ないと苦しくなります。競争相手に信託報酬を引き下げるものがいる場合、もっと苦しくなります。売れてないのに勝てるあてのない信託報酬引き下げなんてできないでしょう。僕らが今見ているのは、投信運用会社の過酷な生き残り競争なのです。

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