インデックス投資

S&P500の2019年のリターンが27%だったみたいな表現に注意しましょう

2019年12月29日

年末になるとその年を振り返って、ある指数または商品の年間のリターンが何%だったという表現がされます。それは数学的には正しくても、それから人が受ける印象を考えると不適切な場合があるので、注意が必要です。

米国株式に、米国籍ETFを通して投資している人でしたら、S&P500種指数の代表としてVOO(バンガード社のETF)の取引価格を例にあげるかも知れません。次はVOOの取引価格の推移(ドルのまま)です。右端は12月20日です。配当金は含みません。

VOOの取引価格の推移

利益率27.8%です。10月下旬からの伸びが顕著ですね。気持ち悪いぐらいの強気相場が続いています。

では、2018年からの2年間のリターンはどうでしょうか。

VOOの2018年からの2年間のリターン

利益率18.7%です。2019年単独より減ってしまいました。それは、2018年10月に世界同時株安が始まり、2018年のクリスマスに底値を付け、2019年は底値に近い状態からスタートしたからです。

ある期間のリターンを求めるためには、時間軸上の2点を決める必要があります。大抵は現在と、ある過去が選択されます。1ヶ月前、3ヶ月前、半年前、今年の年初、というように。でも株価や基準価額は常に変動しているので、どこをつまむかでリターンは大きく変わってしまいます。数学的には正しくても、人がその数値から受ける印象は、どう受け取るかによっては、不適切なものになってしまいます。

たとえば、2019年のS&P500種指数のリターンが27%だという記述を見たとしましょう。それが、世界同時株安で大きく下がったところから見事に回復し、さらに伸長した結果だと分かっていれば良いのですが、それを分かっていないと「S&P500ってそんなに儲かるんだ」と誤解するかも知れません。これは極端すぎるとしても、潜在的に誤解される恐れがあります。

iFree S&P500とスリム先進国株式

次はiFree S&P500とスリム先進国株式の、2019年の基準価額の推移です。

iFree S&P500とスリム先進国株式の、2019年の基準価額の推移

赤のラインがiFree S&P500、緑のラインがスリム先進国株式です。利益率は32%を超えています。VOOの取引価格のリターンより高いのは、配当金を再投資しているのと、為替の影響です。

次は2018年年初からの推移です。

iFree S&P500とスリム先進国株式の、2018年以降の基準価額の推移

iFree S&P500の利益率は18.1%、スリム先進国株式の利益率は12.5%です。株式インデックスファンドの期待リターンは、高くても年率6%程度と言われているので、それを超えるリターンが得られた年は運が良かった、でもずっとそれが続くわけではない、と思うのがいいでしょう。

また、S&P500は強いですね。比較期間が長くなると、MSCIコクサイは歯が立ちません。でも、僕はスリム先進国株式(MSCIコクサイ)のリターンは十分高いと思っています。

積立投資の場合

基準価額の2点をつまんでリターンを計算した場合、そのリターンが得られるのは一括投資していた場合です。多くの人は一括投資するだけのまとまった余裕資金がないため、積立投資をしているはずです。その場合、得られるリターンは同じではありません。

次はiFree S&P500とスリム先進国株式に、2018年年初から毎月初33,333円を積立投資していたシミュレーションです。

iFree S&P500とスリム先進国株式に、2018年年初から毎月初33,333円を積立投資していたシミュレーション

iFree S&P500の利益率は15.7%、スリム先進国株式の利益率は13.2%です。十分高いです。この2年間、どちらを選択していた人もそのリターンの高さに満足していることでしょう。

積立投資のメリット

ここまでで一括投資と積立投資のリターンの数値を疑問に感じた人がいるかも知れません。まとめるとこうでした。

一括投資と積立投資のリターンの数値

確かに変です。

  • 一括投資のリターンはiFree S&P500が圧倒的だったのに、積立投資だと差が小さくなっています。
  • スリム先進国株式は、一括投資よりも積立投資の方が儲かっています。

これは俗に言う「ドルコスト平均法」のメリットが強く表れた結果です。ドルコスト平均法という言葉は、金融機関にとって都合の良い売り文句に利用されている面が否めず、極度に嫌う人もいます。

次はスリム先進国株式の2018年以降の基準価額の推移です。

黄色で塗った期間は上がったり下がったりで、全体で見ると成長できなかったわけですが、この期間に積立投資することで、平均取得価格を下げることができました。そして、2019年10月下旬からグーンと伸びたことで、リターンが大きくなったのです。

一括投資よりも積立投資の方がリターンが高いのは、積立投資における平均取得価格が、グラフの左端の水準より低いからなのです。これは単純な算数です。でもおもしろいですよね。

が、基準価額が変動しながらも右肩上がりで成長する、安定した強気相場においては、積立投資より一括投資の方がリターンが高いのが普通です。2018年、2019年は、積立投資が有利だった典型的なパターンと言えます。

MSCIコクサイに10年間積立投資していたら

もし、eMAXIS先進国株式に2010年から毎月初5万円の積立投資を、10年間継続できていたらどうなっていたでしょうか。

MSCIコクサイに10年間積立投資していたら

利益率89%です。単純な年率換算で8.9%です。過去10年間の基準価額の推移を見ると、毎月初5万円の積立投資を継続するのは簡単ではなかったと思われます。

eMAXIS先進国株式の過去10年間の基準価額の推移

特に最初の数年間は忍耐力が必要だったことでしょう。でもその頃の投資が、大きなリターンをもたらしてくれているのです。

2013年から積立投資していた場合

次は基準価額の上昇傾向が明らかになった、2013年から積立投資を初めていた場合のシミュレーションです。

2013年から積立投資を初めていた場合のシミュレーション

利益率42%です。単純な年率換算で6.0%です。違いは最初の3年間だけなのに、その差の大きさにびっくりしますね。

結論

基準価額(株価)は変動します。その時代の景気に大きく左右されます。でも世界経済の成長が継続している間は、長い目で見れば、右肩上がりで伸びることが期待できます。

ある期間のリターンがいくらだったという表現に踊らされることなく、基準価額の推移を長い目で俯瞰するのが良いです。

僕は、先進国株式(その65%程度は米国株式です)は、長期間で考えると年率5%程度で成長してくれることを期待しています。その「長期間」においては、良い年も悪い年もあるはずで、ある2点をつまんで計算したリターンは気になりません。(そもそのそのリターンの値に意味があると思えません。)

でも、次の暴落で株価が低迷している期間は気になります。できれば長くても24ヶ月以下であって欲しいです。僕の希望は、6ヶ月程度です。

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