インデックス投資

VTの三重課税コストは0.1%程度あります:楽天全世界株式にもね

2020年1月3日

米国籍ETFで人気の高いVTには「三重課税問題」が存在します。これは都市伝説ではありません。ETFへの課税の仕組み上発生が避けられないものです。そして、海外ETFに興味のないインデックス投資家も、無視すべきではありません。何故なら、VTを買うだけのインデックスファンドである楽天全世界株式にも、当然の結果として、三重課税問題が存在するからです。

この記事ではVTの三重課税問題を、分かりやすく解説します。なお、反論歓迎です。

配当金への課税

VTは全世界の株式に投資します。米国内が55%程度、米国外が45%程度です。

株式を保有すると銘柄によって様々ですが配当金が発生します。この配当金は、米国の株式だと米国による10%の源泉課税だけですが、米国以外の株式だとまず現地国で源泉課税されてから、さらに米国で10%課税されます。これを二重課税と言います。

米国以外の国の源泉課税の税率は一様ではないので、何%と言えません。

VTの配当金

VTの2019年10月末締めの年次報告書によると、配当金総額の5.33%が外国での課税分でした。図にするとこうなります。

その根拠は、年次報告書にある次の注釈です。

VTは配当金を出す際、日本人から見ると、米国で10%課税されます。VTを日本の証券会社の特定口座(源泉徴収あり)で買っている場合、受益者のドル口座に入る前に、さらに20.315%課税されます。

楽天全世界株式の場合、運用会社である楽天投信投資顧問はVTの配当金に国内課税しないで、再投資しています。受益者が配当金にかかる税金を納めるのは解約時です。これを課税の繰延べと言います。

二重課税

VTの配当金に米国で10%課税する際、その配当金はすでに外国で課税された分を含んでいますから、二重課税が発生します。これは、海外の株式に投資する上では避けられないことで、「税制」であって「問題」ではありません。

二重課税は、たとえばスリム全世界株式(オール・カントリー)でも普通に発生します。国内以外の株式の配当金に対して現地(海外)で課税され(税率はバラバラです)、非課税口座でない場合は売却時に譲渡税(現在20.315%)が課税されます。

三重課税問題

VTの配当金は米国株式から得られるものと、外国株式から得られるものに分かれます。そのうち外国株式からの配当金には外国で源泉課税されます。

課税関係

そして、この図で言うと配当金全体から外国での課税分を除いた全体に、米国で10%課税されます。米国国民の場合はここまでで終わりです。図の「さらに10%課税(二重課税)」とある部分は、確かに二重課税ですが、これ自体は米国国民にとっては問題ではありません。

問題なのは、日本国民の場合は(非課税口座でないなら)さらに20.315%課税される点です。それも、二重課税までなら問題ありません。それは不可避なことだからです。問題は青字で書いた三重課税部分です。赤字で書いた部分が日本国民にとって余計(余剰)なため発生する問題です。

大事な数値が公開されていない

2018年10月末締めの年次報告書には、米国外の株式から得た配当金の額が明記されていました。が、残念なことに、2019年10月末締めの年次報告書にはその数値が書かれていません。

2018年分は、配当金の54.7%が外国で源泉徴収済みでした。この大事な数値が分からないのですが、2019年分は50.0%だったとして試算します。

すると配当金の44.67%に対してさらに10%課税しているのが余剰(三重課税の原因)で、それは配当金全体の比率で見ると4.47%になります。

配当金は年率2.23%なので、これはVTの保有額に対する割合ですから、これに4.47%を乗じた0.0996%が三重課税コストになります。

なお、配当金の年率(Dividend Yield)が明記されていなかったので、配当金実績から自分で計算しました。

スリム全世界株式(オール・カントリー)の場合

スリム全世界株式(オール・カントリー)は現物株運用なので、投資対象の株式から得る配当金に現地国で源泉課税された後、国内課税しないで再投資されています。(非課税口座でない場合)売却時の利益に国内課税される二重課税で終わります。つまり、三重課税問題は発生しません。

三重課税コストは実在しますが、VTの年次報告書にも明記されていませんし、これを話題に取り上げるブロガーは少ないです。VTを推しているブロガーの中には、「三重課税コストは気にしないで良い」と主張する人さえいます。信託報酬の0.1%ポイント未満の差を気にするのに、0.1%程度あると思われるVTの三重課税コストを気にしないのは、筋が通らないと思います。三重課税コストを補って余りあるメリットがあると言うのであれば、まだ分かりますけども。

そのため、楽天全世界株式とオール・カントリーのどちらが良いか迷っている人には、オール・カントリーをおすすめします。それには次の理由もあります。

  • 迷うということは、VTという名前にときめかず、憧れもないはず。
  • 迷うということは、ベンチマークを気にしていないはず。
  • トータルコストはオール・カントリーの方が低い
  • わざわざ三重課税コストを負担する意味はない。

VTIの場合

VTIは米国籍のETFで、米国の株式のみに投資するので三重課税問題は発生しません。VTIの年次レポートを過去3年分確認しましたが、配当金に注釈はなく、外国で源泉徴収されたことを示す記述がないことを確認してます。つまり、VTIに三重課税問題は存在しないことは証明済みです。もちろん、楽天全米株式にもです。

-インデックス投資

Copyright© 個人事業主が節税してインデックス投資 , 2020 All Rights Reserved Powered by STINGER.