先進国株式

【悲報】スリム先進国株式は信託報酬最安でもパフォーマンスはライバルに負けています

2020年1月21日

MSCIコクサイをベンチマークにしている先進国株式インデックスファンドは人気のジャンルで、信託報酬引き下げ競争が激しいことでも知られています。その御三家と言えるのは、設定順に、ニッセイ外国株式、たわら先進国株式、スリム先進国株式です。eMAXIS先進国株式は無視かよ、と思う受益者がいるかも知れませんが、もうそんな時代じゃありません。

次は御三家の最近の信託報酬引き下げ履歴です。税抜です。

ニッセイ外国株式、たわら先進国株式、スリム先進国株式の最近の信託報酬引き下げ履歴一覧表

最初に0.0999%に引き下げることを発表したのはニッセイ外国株式です。スリム先進国株式は対抗値下げをニッセイ外国株式より早く実施しました。2019年6月のことでした。

それから3ヶ月遅れて、たわら先進国株式が同率に値下げしたのは複数の意味でサプライズでした。それで御三家の税抜き信託報酬はきれいに0.0999%で並んだのですが、それを乱したのが、SBI先進国株式でした。

スリム先進国株式は、スリムシリーズ最大の売り文句である「業界最低水準の運用コストを将来にわたってめざし続ける」を守っているからこそ、高い人気を獲得できたのでしょから、ビジネスとして成立する限界まで対抗値下げするしかありません。そこへ(空気を読まない)御三家以外の商品が信託報酬引き下げを挑んできたわけです。でも引き下げ幅が小さかったので、スリム先進国株式は難なく対抗値下げを行いました。

また、スリム先進国株式は純資産総額が500億円を超えると信託報酬が漸減される「受益者還元型信託報酬制度」を採用しているため、数値の上ではごくわずかですが、他社商品より有利です。ところが現実のリターンを比較すると、ライバルに負けています。信託報酬はほぼ変わらない水準なので、俗に言う隠れコストや、運用報告書にも書かれないコストをひっくるめた、真の運用コストで差が出るわけです。

比較方法

ごまかしの効かない基準価額を比較します。2019年10月1日から2020年1月17日までです。ニッセイ外国株式とたわら先進国株式の税抜き信託報酬は0.0999%、スリム先進国株式はそれよりわずかに低いので、期待通りなら3商品のパフォーマンスはほぼ同じになります。比較期間が短いので、信託報酬の差を認識するのは無理です。

よって、リターンの差を示す青のラインは、ほぼフラットで推移するのが期待値ですが、結果は、スリム先進国株式のファンは涙目に、ニッセイ外国株式のファンは笑顔になるものでした。

なお、この記事では3商品ともベンチマークに忠実な運用ができていることを前提にしています。

ニッセイ外国株式とスリム先進国株式のリターン比較

ニッセイ外国株式とスリム先進国株式のリターン比較のグラフ

青のラインはニッセイ外国株式ースリム先進国株式です。右肩上がりなので、ニッセイ外国株式の方が運用コストが安いです。この比較期間で0.025%ポイント程度の差が生まれています。

次は同じ期間の、スリム米国株式(S&P500)とSBIバンガードS&P500の比較です。グラフのスケールは同じです。

スリム米国株式(S&P500)とSBIバンガードS&P500の比較のグラフ

はみ出してしまったので、縦軸のスケールを変更します。

縦軸のスケールを変更したグラフ

ニッセイ外国株式とスリム先進国株式のリターン差の「感覚」をつかむために登場してもらいました。俺はそっちの方が気になるぜって方は次の記事をご覧ください。

話を元に戻します。比較開始を12月10日にするとこうなります。

比較開始を12月10日に変更したグラフ

青のラインはほぼフラットです。よって、次の赤丸を付けたあたりで生まれた差が維持されているようです。

リターン差が生まれたところに丸を付けたグラフ

青のラインがずっと右肩上がりで推移する場合、隠れコストなどに一定の無視できない差が存在することを意味しますが、そうではないのが(スリム先進国株式の受益者にとっては)救いでしょうか。でも、うれしくはないですよね。

たわら先進国株式とスリム先進国株式のリターン比較

たわら先進国株式とスリム先進国株式のリターン比較のグラフ

青のラインはたわら先進国株式ースリム先進国株式です。12月下旬から浮いています。これは直近では、たわら先進国株式の方が運用コストが安いことを意味しています。スリム先進国株式にはしっかりして欲しいですね。

ニッセイ外国株式とたわら先進国株式のリターン比較

ニッセイ外国株式とたわら先進国株式のリターン比較のグラフ

前記2つの比較結果から、こうなることは容易に想像できますね。

スリム先進国株式は信託報酬最安でもパフォーマンスはライバルに負けています

この記事の比較内容は、おそらく、運用会社の中の人から見ると「そんなに単純な話じゃないのだよ」となることでしょう。これまでは信託報酬差が大きいために、信託報酬を除いた運用コストの変動は隠れてしまって、受益者からは見えなかったのだと思います。それが、信託報酬がほぼ差がない水準になってしまったので、信託報酬以外の運用コストがモノを言うようになっただけでしょう。

信託報酬差がリターンに与える影響は単純ですが、それ以外の運用コストはそもそも期中で変動する要素を持っているので、リターン差を示すラインが変動するのは避けられないはずです。でも結果として、受益者が得るリターンはそうやって決まるので、どうでも良くはありません。

そして、受益者は信託報酬だけではなくて、真の運用コストにも関心を持つべきです。そしてそれは変動が避けられないので、ある日とある日の基準価額の差を比べるのではなくて、差の推移で判断すべきです。でないと何を気にしているのかわからなくなってしまいます。

でも、全部ひっくるめて「運用コスト」と表現していますが、リターンの差を生み出した要因が分からないので、スッキリしないのも事実です。おそらく程度の差はあっても、運用会社に関わらずこういうことは起きているのではないでしょうか。

もうひとつの競争

信託報酬に大きな差がないので、隠れコスト、マザーファンドにぶら下がっている他のベビーファンドの影響、運用の上手い下手、貸株制度を利用した運用面での努力など、これまで運用会社の外の人には認識できなかった「違い」が見えるようになりました。ごまかしの効かない基準価額を比較することでその違いが可視化されるため、競争はそちらに移ってきたと言えるでしょう。

運用報告書に書かれる隠れコストの数値には、明確な基準がないので不公平だと言われていますが、それは脇に置いて、基準価額の比較で判断すれば良いというのは実に公平です。運用を担当されているファンドマネージャーのみなさんは、ますます気が抜けなくなりました。他のブロガーはともかく、少なくとも僕は、こういう顕微鏡で観察するような比較が好きなので、何かあるとすぐに気付き、記事にしてしまいますからね。

スリム先進国株式の受益者、ファンとしては、すでに生まれた差はそのままでいいとして、できるだけさらに差が開くことがない運用を目指して欲しいものです。

と同時に、スリム先進国株式に集中投資してはいても、欠点が見えなくなるほど入れ込まない距離感を持ちたいです。

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