先進国株式

eMAXIS先進国株式からスリム先進国株式に乗り換えた方が得でした

2020年2月9日

スリムシリーズの第一弾が設定されたのは2017年2月のことです。信託報酬を大幅に引き下げたのですが、シリーズの派生元となったeMAXISシリーズの信託報酬は据え置きだったことが、ずいぶん批判されたようです。そのことは現在でもこの業界に暗い影を落としています。それはFund of the Year 2019で4位になったニッセイ外国株式の受賞コメントの「当てこすり」とも取れる表現ににじんでいます。

我々は設定したファンド自体の残高が増える度に信託報酬を引き下げて、利益を受益者に還元してきた。
誰一人取り残さない、がコンセプト。SDGsに日本も取り組んでいるが、SDGsには誰一人取り残さないという概念がある。我々は最初からその精神でやっている。

引用:インデックス投資で長期縦走へ

太字にしたのは僕です。eMAXISシリーズの受益者から見れば、取り残された気がするのは自然です。スリムシリーズは信託報酬が設定時から安いのに、競合商品への対抗値下げを繰り返しますが、eMAXISシリーズの信託報酬は見事なまでに不変なのですから。

でも、売却は自由にできるので、高い信託報酬を負担し続けるのがイヤならさっさと売却して、ローコスト商品を買い直せば良いのです。

乗り換えコストチェッカーを使えば様子が分かる

ここ数年でインデックスファンドの超ローコスト化が進みましたから、3、4年以上前からインデックス投資をしている人は、今となってはびっくりするほど高コストな商品を保有しているのは普通にあります。もちろん新規投資は超ローコスト商品を選択し、高コストな古い商品はガチホしているでしょうが、それをスパッと売却して超ローコスト商品を買い直すかどうかは、いわば、頻出問題です。

次の記事にも書きましたが、アウターガイさんが公開している「乗り換えコストチェッカー」というツールを使えば簡単に、乗り換えの損得勘定ができます。

では現実の世界で、eMAXIS先進国株式からスリム先進国株式に乗り換えるのが賢明だったかどうかを、実際の基準価額データを使って検証しました。

eMAXIS先進国株式とスリム先進国株式の違い

乱暴な言い方をすると、違いは信託報酬だけです。eMAXIS先進国株式の税引き信託報酬は0.60%です。スリム先進国株式の税引き信託報酬は設定時0.20%でしたが、対抗値下げの結果現在は0.0965%です。設定時1/3、現在は1/6未満です。そりゃeMAXIS先進国株式の受益者でこのことを知っている人は、悲しくなりますよね。

次はスリム先進国株式の信託報酬引き下げ履歴です。(もうじき1行追加されるはずです。)

スリム先進国株式の信託報酬引き下げ履歴表

同じマザーファンドを売買しており、当然ベンチマークも同じです。期待リターンもリスクも同じですが、現実のリターンはコスト分劣化します。

ファンドの乗り換えをためらう理由

インデックスファンドを乗り換えるためには一旦売却せねばなりません。その時に利益に対して20.315%の譲渡税を払わねばなりません。これは非課税口座でない限り、いつかは払わねばならないものですが、できるだけ後で払った方が「課税の繰り延べ効果」が期待できるので得です。乗り換えコストチェッカーは、乗り換えない場合の課税の繰り延べ効果と、乗り換えた場合の(低コスト化による)リターンの改善効果を比較しています。

乗り換えをためらっている人は、この比較による損得勘定を気にしているか、実は損得勘定をせずに漠然とした「含み益が大きい時に乗り換えるのは不利」と誰かに刷り込まれたイメージに縛られているだけではないですかね。

eMAXIS先進国株式からeMAXIS先進国株式に乗り換えた場合

同じ商品に乗り換えるのは損ですね。それは一旦譲渡税を払うことで課税の繰り延べ効果をリセットしてしまうからです。それがどの程度かを現実の基準価額データを使って調べました。

eMAXIS先進国株式からeMAXIS先進国株式に乗り換えた場合のグラフ、利益率20%

2018年1月にeMAXIS先進国株式を売却し、eMAXIS先進国株式を買い直したものです。シミュレーションの都合上、売却日に買付の約定ができたとしています。

グラフは元本100万円、含み益20%の場合です。青のラインは税引き後評価額の差で、乗り換えありー乗換なしです。時々マイナス側に大きく振れるのは、買い直した時点から基準価額がマイナスに下がったからです。

次はeMAXIS先進国株式の2018年1月からの基準価額の推移です。青のラインの水準より安くなっている時は、買い直した価格より安いのですから当然含み損です。

eMAXIS先進国株式の2018年1月からの基準価額の推移グラフ

で、グラフの右端でダラダラと下降気味なのが、買い直しにより課税の繰り延べ効果をリセットされたことによる損失です。

次は買い直した時の含み益を50%にしたものです。ダラダラと右肩下がりになる傾向が強まりました。

eMAXIS先進国株式からeMAXIS先進国株式に乗り換えた場合のグラフ、利益率50%

eMAXIS先進国株式からスリム先進国株式に乗り換えた場合

スリム先進国株式が設定されたのは2017年2月ですが、その年の12月には税抜き信託報酬0.1095%への引き下げが発表され、大騒ぎになりました。この現実世界の出来事にならい、2018年年初に乗り換えた場合のシミュレーションです。

含み益10%の場合

明らかに乗り換えた方が得です。時々マイナスになっているじゃないか、と思う人はどうしてそうなったかを考え直してください。

eMAXIS先進国株式からeMAXIS先進国株式に乗り換えた場合のグラフ、含み益10%の場合

含み益20%の場合

明らかに乗り換えた方が得です。

eMAXIS先進国株式からeMAXIS先進国株式に乗り換えた場合のグラフ、含み益20%の場合

青のラインの右端が、含み益10%の場合より右肩下がりなのは、課税の繰り延べ効果を捨てたことによる損失です。

含み益30%の場合

明らかに乗り換えた方が得です。

eMAXIS先進国株式からeMAXIS先進国株式に乗り換えた場合のグラフ、含み益30%の場合

スリム先進国株式にすぐ乗り換えた場合

次はスリム先進国株式が設定された翌月に乗り換えた場合です。利益率は30%です。縦軸のスケールは同じです。

スリム先進国株式にすぐ乗り換えた場合のグラフ、利益率30%

乗り換えるかどうかを決めるのは各受益者ですが、その選択は自由にできます。乗り換えなかったことを棚に上げて、いつまでも「古いファンドの信託報酬も引き下げて欲しい」と言うのは、資本主義社会からリターンを得ていることと矛盾します。

eMAXISバランス(8資産均等型)からスリムバランスへ乗り換え

eMAXISバランス(8資産均等型)の税抜き信託報酬は0.50%のままです。その人気を引き継いだスリムバランスは税抜き信託報酬0.22%で登場しましたが、何度も対抗値下げを繰り返した結果、現在では0.14%です。

ではスリムバランス登場の翌月に乗り換えていたらどうなっていたでしょうか。含み益20%です。

eMAXISバランス(8資産均等型)からスリムバランスへ乗り換えたグラフ

乗り換えた方が得でした。

賢明な選択を

乗り換えコストチェッカーを使えば、乗り換えた方が得する可能性が高いかどうかは想像がつきます。その損得勘定と、高コストな商品を保有し続ける精神的負担も勘案して、自分が納得できる、賢明な選択をすればいいと思います。

また、定石通り暴落などで含み益が少なくなった時に乗り換えるのも選択肢のひとつです。

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