先進国株式

スリム先進国株式よりステートストリート先進国株式のパフォーマンスが高いって知っていますか?

2020年2月10日

MSCIコクサイは人気の高い指数で、これをベンチマークにしている商品はたくさんあります。つみたてNISA適格のものだけで15本もあります。その中で、信託報酬の安さと人気で言えば、ニッセイ外国株式、スリム先進国株式、たわら先進国株式を先進国株式御三家とすることに異論を唱える人はいないでしょう。

ところが不思議なことに、信託報酬も、運用報告書から計算したトータルコストも、スリム先進国株式より高いにも関わらず、パフォーマンスが高い(良い)商品が存在します。ステートストリート先進国株式です。それは次の記事にも書きました。

この記事では別の視点からこの謎について考えます。

スリム先進国株式とステートストリート先進国株式のトータルコスト比較

次は運用報告書から計算したトータルコストです。

スリム先進国株式とステートストリート先進国株式のトータルコスト比較表

スリム先進国株式の方が0.097%ポイントも安いです。これだけ違えば、ごまかしの効かない基準価額データに明らかなリターン差が表れるはずです。ところが、ステートストリート先進国株式の方が、リターンが高いのです。

スリム先進国株式とステートストリート先進国株式のリターン比較

次はスリム先進国株式の設定日直後を避けた、2017年3月15日からの、ステートストリート先進国株式とのリターン比較です。

2017年3月15日からのスリム先進国株式とステートストリート先進国株式のリターン比較グラフ

青のラインはステートストリート先進国株式ースリム先進国株式です。赤の矢印のところで大きく下がっていますが、これはステートストリート先進国株式が分配金を出したためです。そうです、ステートストリート先進国株式は無分配を貫いてくれないのです。受益者にとっては、無分配を貫いてくれた方がありがたいです。

次は分配金を出した後からの比較です。2017年12月1日から2020年2月7日です。

分配金を出した後からのスリム先進国株式とステートストリート先進国株式のリターン比較グラフ

ステートストリート先進国株式の運用コストを年率0.08%ポイント増量すると、青のラインはほぼフラットになりました。

ステートストリート先進国株式の運用コストを年率0.08%ポイント増量グラフ

運用報告書から計算したトータルコストは参考程度にとどめた方が良いことが分かっていますが、それを勘案しても、これだけのリターン差があるというのはびっくりです。

リターン比較結果は本来ならばこうなるはず

ステートストリート先進国株式の運用コストが、スリム先進国株式の運用コストより年率0.097%ポイント高いなら、リターン比較は次のようになるのが期待値です。

ステートストリート先進国株式の運用コストが、スリム先進国株式の運用コストより年率0.097%ポイント高い場合のグラフ

現実は見事に逆です。不思議ですね。

謎のリターンを生み出しているのは信託財産留保額か

ステートストリート先進国株式には僕が嫌いな解約時信託財産留保額が設定されています。0.3%と高めです。

次はステートストリート先進国株式の設定来の総口数の推移です。2017年12月1日以降を黄色に塗っています。

ステートストリート先進国株式の設定来の総口数の推移グラフ

黄色に塗った期間は、ステートストリート先進国株式の第3期と第4期、それに第5期の2ヶ月に相当します。第3期の途中から売却が目立ちます。売却時には解約時信託財産留保額により基準価額の0.3%×解約口数分が、信託財産に残されます。その分だけリターンが改善します。

運用報告書によると、第3期は設定金額と同程度が解約され、第4期は3倍を超える金額が解約されました。ファンドとしては末期症状です。

運用報告書にある売買比率表

次は解約時信託財産留保額の金額と、期末の純資産総額に占める比率を計算したものです。

解約時信託財産留保額の金額と、期末の純資産総額に占める比率表

純資産総額は期末のものだし、解約も期中で偏りがあったでしょうから、この数値をそのまま受け取ることはできません。でも、最後の行にある比率から、0.2%程度のリターン改善効果があってもおかしくはないと思われます。

が、そうだとしても、あの青のラインはきれいな右肩上がりになっているのは「出来すぎ」な気がします。解約が期中で一様に行われればそうなってもいいと思うのですが、総口数の推移からはとてもそういう気がしません。

微妙な立場の信託財産留保額

解約時信託財産留保額が設定されているファンドは少数派になりました。僕は、インデックスファンドに解約時信託財産留保額は不要だと考えています。

毎営業日について、解約口数より設定口数の方が多ければ、実際にはマザーファンドに対して「売り」を指示することはありません。設定口数と解約口数を相殺し、設定のための現金を解約者に回せばいいからです。ところが、ファンドの人気が劣化したとか、暴落で狼狽売りに走る受益者が多数出たなどの理由で、解約口数が設定口数を上回るとマザーファンドに「売り」を指示することになります。それは売買委託手数料と、おそらく、有価証券取引税の発生を意味します。

マザーファンドに「買い」注文だけ出している場合は、有価証券取引税は発生しない、と言われます。(必ずしもそうでないかも知れません。)一般論として、ファンドの純資産総額は増え続けるのが良く、そのような好ましい状態のファンドなら、解約時信託財産留保額は不要と考えます。

が、総口数がどんどん減る状態のファンドでは、解約時に発生したコストを残った受益者が負担することになり、解約者が迷惑な存在になってしまいます。全ての受益者はいつか必ず解約するのですが、ファンドが健全な時に目立たない形で解約するのと、購入者が少ないのに解約者が多数出る状況では、正反対の効果を発揮することになるのです。

ちなみに、信託財産留保額の有無は、つみたてNISAの要件ではありません。ステートストリート先進国株式がつみたてNISA適格でない理由は不明です。単に、将来性がないと判断して、適格申請しなかっただけかも知れません。

ステートストリート先進国株式のパフォーマンスが高くても

ステートストリート先進国株式のパフォーマンスが、スリム先進国株式より高いのは事実です。おそらくそれは解約時信託財産留保額による効果だと思うのですが、スッキリしないのも確かです。でも、総口数の推移を見る限り、ステートストリート先進国株式は死にゆく運命にあります。つみたてNISA適格でもないし、もう人気を獲得するのは不可能でしょう。運営会社も諦めていると思います。そのため、ステートストリート先進国株式は買わない方が良いです。

次は目論見書からの引用です。太字にしたのは僕です。

受益権の口数が10億口を下回ることとなった場合または下回ることが明らかとなった場合、受益者のため有利であると認める時、またはやむを得ない事情が発生した時は、償還することがあります。

現在5億口を切っています。繰上償還リスクを甘く見てはいけません。つみたてNISA適格でないならなおさらです。

ステートストリート先進国株式を販売しているのは楽天証券と三井住友信託銀行です。楽天証券で買う人はきっといないと思いますが、三井住友信託銀行の窓口で買わされる不幸はあるかも知れません。

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