大和アセットマネジメントはiFreeレバレッジシリーズの拡充に力を入れ、営業面でも「ツミレバ」というキャッチコピーを使ったプロモーションを展開してきました。それはコロナショック後の金融緩和バブルでは成功したかに見えましたが、それはすっかり色あせてしまいました。
「レバナス民」で盛り上がったiFreeレバレッジNASDAQ100の話題も、すっかり下火になりました。
この記事では、ある時期から「ツミレバ」を続けていたら現在どうなっているかのシミュレーションを、フェアに、インチキなしで行います。
なお、これまで毎月更新していましたが、次回から不定期更新に変更します。
更新情報
参照しているデータを最新版に更新しています。
シミュレーション方法
- 比較対象の2商品(レバレッジのかかっていないものと、かかっているもの)について、ある時期から毎月初に3万円積み立てた場合の、リターンを比較します。
- どちらも特定口座(源泉徴収あり)で積み立てるものとします。
- 購入時手数料がかからない、ネット証券を利用するものとします。(iFreeレバレッジシリーズはノーロードではありません。)
- 基準価額がどうなろうと、毎月初の積み立てを継続します。スポット購入はしません。
次の商品を、iFreeレバレッジシリーズにとって不利な条件にならないようコロナショックによる株価暴落の底を過ぎた、2020年4月から積み立てます。
- iFree S&P500とiFreeレバレッジS&P500
- iFree NEXT NASDAQ100とiFreeレバレッジNASDAQ100
2020年8月に設定されたiFreeレバレッジFANG+については、2020年9月から積み立てます。
- iFree NEXT FANG+とiFreeレバレッジFANG+
次は2020年、2021年の2年間の、iFree S&P500とiFree NEXT NASDAQ100とiFree NEXT FANG+の基準価額の推移です。縦軸は対数です。
赤のラインがiFree S&P500、緑のラインがiFree NEXT NASDAQ100、青のラインのiFree NEXT FANG+です。どれもコロナショックによる株価暴落からの回復が顕著ですが、この比較期間だとiFree NEXT FANG+の圧勝です。
iFree S&P500とiFreeレバレッジS&P500
商品の評価記事はこちらになります。
リターン比較
次は2020年4月から2022年12月30日までのリターン比較です。
赤のラインがiFreeレバレッジS&P500です。青のラインはリターン差で、iFreeレバレッジS&P500ーiFree S&P500です。iFreeレバレッジS&P500のパフォーマンスは素晴らしかったのですが、2022年は差が縮まっており、これまでの上昇分を全部吐き出した形です。レバレッジ商品の厳しさを痛感しますね。
積み立てシミュレーション
次は積み立てシミュレーション結果です。灰色のラインは元本です。
税引き前利益率は、長らくiFreeレバレッジS&P500の圧勝でしたが、2022年はほぼ差がなくなり、現在はiFree S&P500に大きく負けています。
- iFreeレバレッジS&P500:-5.1%
- iFree S&P500:18.8%
iFree NEXT NASDAQ100とiFreeレバレッジNASDAQ100
商品の評価記事はこちらになります。
リターン比較
次は2020年4月から2022年12月30日までのリターン比較です。
赤のラインがiFreeレバレッジNASDAQ100です。青のラインはiFreeレバレッジNASDAQ100ーiFree NEXT NASDAQ100です。
iFreeレバレッジNASDAQ100のパフォーマンスは期待通りの素晴らしいものでしたが、2021年11月以降はiFree NEXT NASDAQ100と互角か負けています。2022年6月末で上昇分を全部吐き出してしまいました。このグラフを見てがっかりする人も多いことでしょう。
積み立てシミュレーション
次は積み立てシミュレーション結果です。灰色のラインは元本です。
iFreeレバレッジNASDAQ100へのツミレバがもてはやされた時代は過ぎましたね。
税引き前利益率は、iFree NEXT NASDAQ100に大きく負けています。
- iFreeレバレッジNASDAQ100:-32.3%
- iFree NEXT NASDAQ100:1.9%
iFree NEXT FANG+とiFreeレバレッジFANG+
商品の評価記事はこちらになります。
リターン比較
次は2020年9月から2022年12月30日までのリターン比較です。
赤のラインがiFreeレバレッジFANG+です。青のラインはiFreeレバレッジFANG+ーiFree NEXT FANG+です。
青のラインの推移はレバレッジ型ファンドの弱点を示しています。iFreeレバレッジNASDAQ100などでもそうですが、基準価額の下落に弱いです。上昇相場で積み上げたものを下落相場でより多く吐き出す感じです。
次は同じ比較期間における、iFreeレバレッジNASDAQ100とiFree NEXT NASDAQ100のリターン比較です。
比較開始が5ヶ月違うだけなのですが、ずいぶん印象が変わりますね。
積み立てシミュレーション
次は積み立てシミュレーション結果です。灰色のラインは元本です。
iFreeレバレッジFANG+へのツミレバは悲惨なことになっています。
- iFreeレバレッジFANG+:-56.6%
- iFree NEXT FANG+:-18.1%
受益者は投資したことを後悔していると思われます。
感想
コロナショックによる株価暴落の底から、米国株式は驚異的に回復し、さらに異様とも思える伸びを見せ続けていました。まるで弱気相場なんて来ないかのような状況でした。その傾向は2021年も続きました。ところが2022年は様相が変わりました。株価にとって悪い話題ばかりなので、厳しい時代がしばらく(2023年も)続くことは避けられないと思います。
一時、甘い見通しもありましたが、直近ではそれが甘かったことが分かっています。
積み立てシミュレーションの結果を見た感想です。
- iFreeレバレッジS&P500は(下落も含めて)期待通りではないでしょうか。
- iFreeレバレッジNASDAQ100の現状に納得できない人は、そもそも投資すべきではなかったですね。
- iFreeレバレッジFANG+は期待はずれですね。
ツミレバを考案した人、推奨した人は、未来は予測不可能である事実を無視したのでしょう。それが意図的だったかどうかは分かりませんが。