バランスファンド

auスマートベーシック/プライムの運用コストと評価

株式と債券の比率を変えて、なんとか型と称した数タイプを組成するのは、バランスファンドで良くあるパターンです。でもauスマートシリーズはちょっと違います。全部で4タイプあるのですが、2タイプはインデックスファンド、2タイプはアクティブファンドです。総じて時代錯誤な組成です。

auスマートベーシック/auスマートプライム

auスマートシリーズの4タイプの名称はこうなっています。上から順に株式比率が高くなります。

  • auスマートベーシック(安定)
  • auスマートベーシック(安定成長)
  • auスマートプライム(成長)
  • auスマートプライム(高成長)

僕がこのブログで扱っているバランスファンドはみな、似たような投資対象だけど投資比率だけ変えて組成されています。ところがauスマートシリーズだけは褒められない差別化をしています。株式比率が低いものはインデックスファンドですが、高いものはアクティブファンドなのです。

アクティブファンドの商品を設定するのもいいですが、インデックスファンドのauスマートベーシックでも株式比率の高い2タイプを組成するべきではないでしょうか。そうしない理由は、もちろん、信託報酬が高いアクティブファンドを売りたいからですよね。

auスマートベーシック

auスマートベーシックには(安定)と(安定成長)の2タイプがあります。2018年9月19日に税抜き信託報酬0.22%で設定されました。投資対象は全て適格機関投資家専用のファンドという、ファンド・オブ・ファンズ方式です。それらファンドの税抜き信託報酬が0.15%かかるため、実質的な運用管理費用は税抜き0.37%です。高いですね。

2タイプともにつみたてNISA適格です。また、iDeCoナビによると、auアセットマネジメント、auカブコム証券で扱われています。

なお、目論見書と運用報告書に、ベンチマークおよび参考指数を設けていないとありますが、その認識は間違っています。ベンチマークなしでは絶対につみたてNISA適格になれません。適格申請する際に、金融庁に合成ベンチマークを提出したでしょ。金融庁も黙っていないで指摘すべきです。

組成内容

次は株式と債券の比率です。

株式と債券の比率のグラフ

保守的な組成です。次は楽天バランスの組成です。

楽天バランスの3タイプの株式と債券の比率のグラフ

auスマートベーシックもこれぐらいの組成にすれば(まだ)良かったと思います。

次は(安定)の組成内容です。4資産バランスファンドです。

auスマートベーシック(安定)の組成内容のグラフ

国内比率が高いです。国内債券の比率の高さには疑問を感じます。新興国には投資しません。

次は(安定成長)の組成内容です。6資産バランスファンドです。

auスマートベーシック(安定成長)の組成内容のグラフ

こちらも国内比率が高いです。やはり国内債券の比率が高いのはいいと思いません。

投資対象資産

投資対象の6資産は、すべて、大和アセットマネジメントが運用している適格機関投資家専用ファンドです。連動する指数は、iFree 8資産バランスと同じです。そうです、新興国株式部分は隠れコストが高いことで知られている、FTSE RAFIエマージング・インデックスに連動するファンドです。

運用コスト

ファンド・オブ・ファンズ方式は次の2つの理由により、大嫌いです。

  • 信託報酬が2重にかかるためどうしても高コストになってしまう。
  • 運用報告書に売買委託手数料と有価証券取引税が記載されない。

前者はauスマートベーシックの信託報酬に加えて、適格機関投資家専用ファンドの信託報酬がかかることを意味しています。後者は、これです。

引用:運用報告書

隠れコストで計上されているのは監査費用だけです。売買委託手数料と有価証券取引税が計上されていませんが、ゼロでもありません。これは投資信託証券の売買で発生するそれら費用は運用報告書に書かなくていいから書いていないということです。費用は発生しています。この運用報告書の記載を真に受けて運用コスト(トータルコスト)を計算しても意味がありません。

運用報告書には、投資対象の6資産のファンドの費用明細が載っています。それらの隠れコストを計算し、投資比率で按分して加算しました。

運用報告書から計算したトータルコスト表

隠れコスト(2)が投資対象ファンドの隠れコストです。株式比率が低いので、隠れコストは小さいです。また、安定成長の新興国株式比率は5%しかないので、負担が小さいです。

auスマートベーシックのトータルコストは、債権比率の高さを考えると高額です。この組成内容なら、トータルコストは0.30%以下であって欲しいです。

auスマートプライム

auスマートプライムには(成長)と(高成長)の2タイプがあります。2018年9月19日(auスマートベーシックの設定日)に税抜き信託報酬0.82%で設定されました。アクティブファンドで、投資対象は全て適格機関投資家専用のファンドという、ファンド・オブ・ファンズ方式です。それらファンドの信託報酬を加えた実質的な運用管理費用には幅があります。

auスマートプライムの実質的な運用管理費用

引用:目論見書

引いちゃいそうな高さです。しかもノーロードではなく、金融機関を選ばないと税抜き2%を上限に購入時手数料を請求されます。

2タイプともつみたてNISA適格ではありません。アクティブファンドなので、設定から5年間はどう頑張っても適格申請できません。

また、iDeCoナビによると、auアセットマネジメント、auカブコム証券で扱われています。

投資対象ファンド

投資対象は6本の適格機関投資家専用ファンドです。

出典:目論見書

セルを赤くしたのはインデックスファンド、それ以外はアクティブファンドです。さらに、この6本の投資比率をファンドマネージャーが変更します。

組成内容

次は株式と債券の比率です。

auスマートプライムの株式と債券の比率グラフ

成長でも株式比率は45%です。高成長でやっと65%です。

次はauスマートプライムの組成内容です。4資産バランスファンドに見えますが、そうではありません。

auスマートプライムの組成内容のグラフ

  • 国内債券は、為替ヘッジありの先進国債券を含みます。
  • 海外株式は新興国株式を含みます。
  • 海外債券は新興国債券を含みます。

投資対象の6本のファンドへの投資比率を変えて、これらを実現するわけです。

運用コスト

auスマートプライムの運用報告書には、例によって、売買委託手数料と有価証券取引税の記載がありません。こういう不誠実な書き方、大嫌いです。

6本のファンドの隠れコストを計算しようかとも思いましたが、信託報酬だけで十分高いのでやる気が出ませんでした。

4タイプのリターン比較

4本まとめてプロットするとグラフが見づらくなるので、まずauスマートベーシックの2本だけプロットします。比較期間は設定直後を避けた、2018年10月1日から2020年7月31日までです。

auスマートベーシックの2本のリターン比較グラフ

赤のラインが安定成長(株式比率が高い方)です。次は安定を除く3本をプロットしたものです。

auスマートベーシック(安定)を除く3本をプロットしたグラフ

赤のラインが高成長、緑のラインが成長、青のラインが安定成長です。これだとauスマートプライムの高いコストを負担する価値があるのかどうか分かりません。

スリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較

超ローコストバランスファンドで人気の高いスリムバランス(8資産均等型)とのリターン比較です。緑のラインがスリムバランス(8資産均等型)、青のラインはauスマートシリーズースリムバランス(8資産均等型)です。

グラフのスケールは同じです。

auスマートベーシック(安定)とスリムバランス(8資産均等型)の比較

auスマートベーシック(安定)とスリムバランス(8資産均等型)の比較グラフ

auスマートベーシック(安定)は債券比率が80%もあるので、当然こうなります。債券比率が高いバランスファンドが好みだとしても、もっとローコストな選択肢を考えた方がいいです。

auスマートベーシック(安定成長)とスリムバランス(8資産均等型)の比較

auスマートベーシック(安定成長)とスリムバランス(8資産均等型)の比較グラフ

auスマートベーシック(安定)とわずかな差しかありません。この程度の変動率が良くても、もっとローコストな選択肢を考えた方がいいです。

auスマートプライム(成長)とスリムバランス(8資産均等型)の比較

auスマートプライム(成長)とスリムバランス(8資産均等型)の比較グラフ

株価暴落後の回復の様子はauスマートプライム(成長)の方がいいですが、それを除けば高いコストを負担する価値があると思えません。

auスマートプライム(高成長)とスリムバランス(8資産均等型)の比較

auスマートプライム(高成長)とスリムバランス(8資産均等型)の比較グラフ

株価暴落後の回復の様子はauスマートプライム(高成長)の方がいいですが、それを除けば高いコストを負担する価値があると思えません。

セゾングローバルバランスとのリターン比較

高コストながら圧倒的な人気を誇る、キング・オブ・バランスファンドであるセゾングローバルバランスとのリターン比較です。auスマートプライムとだけ比較します。青のラインはauスマートプライムーセゾングローバルバランスです。

auスマートプライム(成長)とセゾングローバルバランスの比較

auスマートプライム(成長)とセゾングローバルバランスの比較グラフ

ほとんど変わりません。セゾングローバルバランスは高コストですが、auスマートプライムよりは断然安いです。

auスマートプライム(高成長)とセゾングローバルバランスの比較

auスマートプライム(高成長)とセゾングローバルバランスの比較グラフ

高成長は変動率が高いですね。でも大差ないです。auスマートプライムにもアクティブファンドゆえのいいところはあるのでしょうが、わざわざ高いコストを負担してまで買う価値があるとは思えません。

少ない販社数

auスマートシリーズを販売しているのは次の5社だけです。

  • auカブコム証券
  • SBI証券
  • 大和証券
  • 松井証券
  • 楽天証券

ネット証券で買われる可能性は低いでしょうから、売るなら金融機関の窓口を利用する、コスト意識が欠如した人を対象にしないと厳しいでしょう。つまり、組成内容と売り方がマッチしていないと思います。受益者をナメているからそうなってしまったのではないですか。

しょぼいポイントプログラム

auスマートシリーズは次の販社で購入した場合、ポイントプログラムの対象になります。

  • 大和証券
  • auカブコム証券
  • auアセットマネジメントDCプラン

付与されるのはPontaポイントですが、au利用者でないと半額にされる残念なサービスです。

ポイント付与率表

引用:auアセットマネジメント

楽天証券だと0.048%固定です。(10万円未満の端数は切り捨てられて、計算されます。)

SBI証券だと、auスマートベーシックは0.05%、auスマートプライムは0.10%です。ただし、auのiDeCo口座でもポイントが付与されるのは、他の証券会社にはないサービスです。でも、そもそも商品に魅力がないので、ポイントサービス以前の問題ですね。

やはり不人気です

次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。一番人気は、困ったことに最も高コストな高成長です。

設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

次は純資産総額一覧です。

純資産総額一覧表

シリーズ全体で18億円しかありません。コスト意識のある受益者は、auスマートシリーズは敬遠するはずですから、これは当然の結果です。

評価:買う価値ありません

auスマートベーシックの代わりになる、もっとローコストな選択肢があります。auスマートプライムは高コスト過ぎます。どちらも買う価値ありません。

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