人気で言うと、8資産均等型バランスファンドの圧勝ですが、6資産均等型、4資産均等型も当たり前のように組成されています。マザーファンドさえあれば投資対象資産がいくつであろうが、均等配分であろうがなかろうが、苦もなく組成できますからね。でも問題は、売れるかどうかは事前には分からないということです。
4資産インデックスバランスオープン
三井住友トラストアセットマネジメントが2008年3月に設定した、4資産インデックスバランスオープンは4資産均等型でした。2015年頃の税抜き信託報酬は0.65%でした。2010年頃、純資産総額は10億円程度ありましたがそれをピークに減少が続き、4億円程度にまで減った頃、繰上償還の案内が出されました。2015年9月のことです。(タイミングが絶妙ですが、eMAXISバランス(4資産均等型)とニッセイバランス(4資産均等型)が設定された直後のことでした。)
目論見書には受益者権数が10億口を下回ったら繰上償還可能と明記されていたので、繰上償還されても仕方がなかったわけですが、怖いですよね。受益者権数の1/3以上の反対が書面であれば繰上償還を阻止できますが、このファンドは繰上償還されてしまいました。
投資信託は簡単に組成されますが、そこそこ簡単に繰上償還されるということです。繰上償還のリスクをナメてはいけません。
eMAXISバランス(4資産均等型)
2015年8月27日に税抜き信託報酬0.50%で設定されました。2015年にしては高いですね。eMAXISシリーズの「標準」を崩せなかったのでしょう。その後、信託報酬は引き下げられていません。
僕が把握している、現在も運用されている4資産均等型バランスファンドで、最も古く設定されたのが、このeMAXISバランス(4資産均等型)とニッセイバランス(4資産均等型)です。なんと同日に設定されました。
eMAXISバランス(4資産均等型)はつみたてNISA適格です。また、iDeCoナビによると、三菱UFJ銀行/三菱UFJ信託銀行【ライトコース】で扱われています。
組成内容
eMAXISバランス(4資産均等型)は次の4つの資産に均等に投資します。
- 国内株式、先進国株式
- 国内債券、先進国債券
引用:目論見書
4資産均等型が投資する資産クラスはこの4つでないといけない、という決まりはありません。言うなれば、これが伝統的な4資産均等型の組成です。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。eMAXISバランス(8資産均等型)と比較しています。
eMAXISバランス(4資産均等型)は隠れコストが安いです。次は隠れコストの明細です。
売買委託手数料と保管費用が安いです。これは次の理由によります。
- 資産の半分が国内債券と先進国債券である。
- 高コストになりがちな新興国株式、新興国債券に投資しない。
スリムバランス(4資産均等型)はありません
スリムシリーズはeMAXISシリーズの低コスト版と言えますが、eMAXISシリーズにある商品なら何でも設定されているわけではありません。厳選されている印象です。そして、4資産均等型はスリムシリーズにはありません。
不思議な感じがしますが、つみたてんとうシリーズにはあります。つみたて4資産均等バランスです。そこのさじ加減は正直分からないです。
リターン比較
この記事では主なバランスファンドとリターン比較をしますが、組成が異なるもの同士の比較には注意が必要です。基本、リターンが高いのは高いリスクを負っているからだ、ということを踏まえて、比較結果をご覧ください。比較期間はeMAXISバランス(4資産均等型)の設定直後を避けた、2015年9月15日から2020年7月17日までです。
青のラインはリターン差で、eMAXISバランス(4資産均等型)ー比較対象です。プラス圏を推移していれば、eMAXISバランス(4資産均等型)の方が有利と言えます。
セゾングローバルバランスとのリターン比較
次はeMAXISバランス(4資産均等型)とセゾングローバルバランスとのリターン比較です。
この様子だと、どちらが有利かは時期によると言えそうです。どちらも株式と債券の比率が50:50なので、似たような結果になるのは当然でしょう。
世界経済インデックスとのリターン比較
次はeMAXISバランス(4資産均等型)と世界経済インデックスのリターン比較です。
どちらが有利になるかは時期によりますね。世界経済インデックスも株式と債券の比率が50:50なので、似たような結果になるのは当然でしょう。
eMAXISバランス(8資産均等型)とのリターン比較
次はeMAXISバランス(4資産均等型)とeMAXISバランス(8資産均等型)のリターン比較です。
この比較期間だと4資産均等型より8資産均等型の方が有利に見えますが、もっと長期で見れば大差ないような気がします。どちらへの投資が報われるかは、運次第と思うのです。でも、8資産均等型の方が債券比率、特に現状リターンが期待できない国内債券の比率が低いので、4資産均等型より8資産均等型の方が期待できると思います。でもリターンとリスクの関係を考慮すると、判断は人によって変わりますね。
合成した4資産均等型と比較
eMAXISバランス(4資産均等型)が投資している4つの資産クラスの基準価額を均等に合成し、毎月リバランスすると当たらずとも遠からずな4資産均等型が得られます。この方法で2011年11月15日からリターン比較しました。eMAXISシリーズの該当商品の基準価額データを使っています。
グラフの見方は同じです。
そんな怪しい話はいいやって方は、ここまで飛ばしてください。
合成結果とセゾングローバルバランスのリターン比較
次は合成結果とセゾングローバルバランスとのリターン比較です。
時期によって有利不利が変わりますが、セゾングローバルバランスの方が良さそうです。
合成結果と世界経済インデックスのリターン比較
次は合成結果と世界経済インデックスのリターン比較です。
やはりどちらが有利になるかは時期によりますね。
合成結果とeMAXISバランス(8資産均等型)のリターン比較
次は合成結果とeMAXISバランス(8資産均等型)のリターン比較です。
傾向としては、eMAXISバランス(8資産均等型)の方が良さそうです。でも4資産均等型と8資産均等型のどちらを選べば良いかと聞かれたら、「好きな方」が正解だと思います。
売れませんでした
次はeMAXISバランス(4資産均等型)の設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は24億円です。
資金流入は続いており、頭打ちにもなっていません。でもバランスファンドで純資産総額24億円は少ないです。
eMAXISバランス(8資産均等型)もプロットすると、eMAXISバランス(4資産均等型)は不人気だったことが分かります。
4資産均等型は受益者の琴線に触れなかったようです。
他の選択肢の方がいいです
4資産均等型は、eMAXISバランス(4資産均等型)に限らず不人気です。人気が出る組成にはそれなりの理由があるので、他の選択肢を検討した方がいいと思います。
また、4資産均等型に投資するとしても、eMAXISバランス(4資産均等型)は高コストです。ニッセイバランス(4資産均等型)か、つみたて4資産均等バランスの方がいいです。