EXE-i グローバル中小型株式はインデックスファンドでありながら、連動するベンチマークがありません。設定当初の参考指数はMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス・スモールキャップ、1年9ヶ月後にはFTSEグローバル・スモールキャップ・インデックスに変更されました。
現在の組成は、十分納得できるものですが、人気は頭打ちになりかけています。
更新情報
参照しているデータを最新版に更新しています。
EXE-i グローバル中小型株式
2013年5月13日に設定されました。税抜き信託報酬は0.50%(これには投資する3本のETFの経費率を含みます)でした。比べる対象として良いものがないのですが、少し高かった印象です。
参考指数は日本を含む全世界株式の大型株抜きです。これは好みが明確に分かれますね。でも中小型株が人気だった時代は過ぎた印象があるので、賞味期限切れかも知れません。
EXE-i グローバル中小型株式には連動するベンチマークはなく、参考指数はFTSEグローバル・スモールキャップ・インデックスですが、目論見書にはこうあります。
引用:目論見書
これは次のことを宣言しています。(参考指標を参考指数と読み替えています。)
- 参考指数は連動するベンチマークではなく、参考指数から乖離することもあります。
- 参考指数は変更されることがあります。
実際、EXE-i グローバル中小型株式の参考指数と投資対象ETFは次のように変更されています。変化した項目を赤字にしてあります。
参考指数と投資対象ETFの変更により、ETFの経費率が0.14%削減されました。現在は税抜き信託報酬0.304%(ETFの経費率含む)になっています。
なお、EXE-i グローバル中小型株式はつみたてNISAの「指定インデックス投資信託以外」で適格認定を受けています。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。
SBIアセットマネジメントの他の商品同様、隠れコストが安いです。(以前は高かったのですが、削減されました。)
楽天全世界株式とのリターン比較
楽天全世界株式のベンチマークはFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスで、大型株から小型株までをカバーします。ベンチマークとしては、こちらの方が一般的です。大型株に投資しないFTSEグローバル・スモールキャップ・インデックスは、その特性が分かっている人向けと言えるでしょう。(実際にEXE-i グローバル中小型株式を買っている人がどう考えているかは分かりません。)
次は楽天全世界株式の設定直後を避けた、2017年11月1日から2021年4月2日までの、EXE-i グローバル中小型株式とのリターン比較です。
青のラインはリターン差で、楽天全世界株式ーEXE-i グローバル中小型株式です。2019年以降は明らかに大型株にも投資した方が有利でしたが、直近では差が縮まっています。もちろん今後どうなるかは分からないので、日本を含む全世界の中小型株に(大型株を除いて)投資したいなら、過去のパフォーマンスは気にしないでEXE-i グローバル中小型株式を選択するのもいいと思います。
大型株の有無による違い
特別な意図がない場合、大型株にも投資した方がいいと思います。でも過去に中小型株に投資していた方がパフォーマンスが良かった時代もあったのは確かです。それを次の2つの比較で振り返ってみます。そういうのはいいやって方は、ここまで飛ばして下さい。
- 大型株にも投資するVTのトータルリターン。
- EXE-i グローバル中小型株式の投資対象であるVBとVSSのトータルリターンを60:40で合成、毎月リバランスしたもの。
2010年年初から2021年3月31日までの比較です。
赤のラインが仮想EXE-i グローバル中小型株式、緑のラインがVTトータルリターンです。青のラインは仮想EXE-i グローバル中小型株式ーVTトータルリターンです。
- 2014年ぐらいまでは仮想EXE-i グローバル中小型株式の方が高パフォーマンスでした。
- その後数年間は互角か、仮想EXE-i グローバル中小型株式がわずかに有利でした。
- 2019年以降はVTトータルリターンの方が高パフォーマンスでした。
- コロナショック後は再度仮想EXE-i グローバル中小型株式の方が有利に変わっています。
結論としては、どちらが有利かは時期によって変わるということです。
三重課税問題
米国外の資産に投資する米国籍ETFに日本から投資する場合、三重課税問題から逃れられません。EXE-i グローバル中小型株式が投資しているバンガード・FTSE・オールワールド(除く米国)スモールキャップETF(VSS)はそれに該当します。
VSSの年次レポートにある数値を、三重課税を説明する図にあてはめるとこうなります。
VSSの該当期間の配当金は年利3.6%だったので、3.6×9.07%=0.327%がVSSの三重課税コストになります。VSSの投資割合は40%なので、0.131%の負担です。
Fund of the Yearの順位
EXE-i グローバル中小型株式がFOYで注目されたのは設定直後の2年間だけでした。その後、日本を含む全世界株式インデックスが日の目を見たのは、楽天全世界株式でした。
そしてFOYで圧倒的な人気を獲得しているのがオール・カントリーです。
売れ行きは
次はEXE-i グローバル中小型株式の設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は99億円です。
頭打ちになりかけています。すでにSBI全世界株式には抜かれてしまいました。
大型株を含む普通の全世界株式インデックスで超ローコストのものにはかないません。
でも楽天全世界株式もプロットすると、競争の厳しさがが分かります。
iDeCoで多く買われている
次は直近1年間の毎営業日ごとの資金流入額の推移です。
大きなトゲがある日は、iDeCoの約定日と一致しています。よって、現在買い付けの多くはiDeCoによるものと言えます。iDeCoナビによると、EXE-i グローバル中小型株式を扱っているのはSBI証券だけですが、オリジナルプランとセレクトプランの両方で扱われています。(もうオリジナルプランの新規選択はできません。)EXE-i グローバル中小型株式はSBIアセットマネジメントの運用なので、オリジナルプランにあるのは分かりますが、セレクトプランでも扱うほどのニーズがあるようには思えませんでした。
評価:分かって買っているならいいと思います
日本を含む全世界の中小型株に投資するインデックスファンドは他に知らないのですが、大型株抜きであることを分かって買っているなら良い選択肢だと思います。分からずに買っていたなら、考え直した方がいいでしょう。