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ひふみワールド、ひふみワールド+の運用コストと評価

爆発的に売れる商品は、たいてい高いパフォーマンスを売りにしています。2017年に売れまくったひふみも、2019年に売れまくったグローバル3倍3分法ファンドもそうです。そして、パフォーマンスが落ちるとパッタリと売れなくなるものです。

ひふみワールドの売れ行きにもその慣例が適用できそうです。

ひふみとの違い

レオス・キャピタルワークスはひふみ投信、ひふみプラス、ひふみ年金の「ひふみ」で有名です。「ひふみワールド」は同社2種類目のアクティブファンドです。では何が違うのでしょうか。

投資対象

ひふみはもともと国内株式にのみ投資していましたが、急激に売れ始めた後2017年6月から海外株式にも投資するようになりました。目論見書には次のようにあります。

国内外の上場株式を主要な投資対象とし、市場価値が割安と考えられる銘柄を選別して長期的に投資します。

引用:ひふみ投信の目論見書

参考指数はTOPIXです。現在の海外株式比率は約13%です。

ひふみワールドの目論見書にはこうあります。

日本を除く世界各国の株式等を主要な投資対象とし、成長性が高いと判断される銘柄を中心に選別して投資します。

引用:ひふみワールドの目論見書

ひふみワールドには参考指数は存在しないと運用報告書に明記されていますが、月次レポートでは「参考」としてMSCIオール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)と比較しています。

乱暴な言い方をすると「ひふみ全世界株式(除く日本)」になります。(マジに受け取らないでね。)

直販と一般販売

ひふみ投信とひふみワールドはレオス・キャピタルワークス直販商品です。ひふみプラスとひふみワールド+は一般販売商品です。

ひふみワールドは2019年10月8日に設定されました。ひふみワールド+は2ヶ月後の12月13日に設定されました。すでに36社が販売しています。

なお、ひふみ年金にあたる、確定拠出年金専用商品はひふみワールドにはありません。

信託報酬

ひふみ投信、ひふみプラスの税抜き信託報酬は0.98%です。アクティブファンドとしては安い方です。ところがひふみワールド、ひふみワールド+の税抜き信託報酬は1.48%と強気です。

資産形成応援団

資産形成応援団は直販商品で採用されている、受益者還元制度です。ひふみ投信の資産形成応援団は還元率が高くて素晴らしいです。

ひふみ投信の「資産形成応援団」の説明図

引用:ひふみ投信

ところがひふみワールドの資産形成応援団は信託報酬が高いうえに還元率が低いとシブチンです。

ひふみワールドの「資産形成応援団」の説明図

制度改悪ですね。また、この図の縦軸、不誠実な書き方で気に入らないです。

信託報酬漸減制度

一般販売商品には資産形成応援団がない代わりに、純資産総額が500億円または1,000億円を超えると、超えた部分の信託報酬が漸減される仕組みがあります。

ひふみプラスの信託報酬漸減制度

引用:ひふみプラス

ひふみワールド+は信託報酬が1.5倍もしますが、漸減率は激減です。つまり、実質値上げです。

ひふみワールド+の信託報酬漸減制度

引用:ひふみワールド+

信託報酬が0.1%ポイント下がるのは、5,000億円を超える部分です。500億円ではありません。1兆円を超える部分はさらに0.15%ポイント下がります。超シブチン仕様です。

つみたてNISA非適格

ひふみワールド、ひふみワールド+はつみたてNISA適格ではありません。アクティブファンドなので、設定から5年経過しないと適格申請できないからです。

5年経過時に純資産総額が50億円以上あり、5年間のうち2/3以上で資金流入超であれば、適格申請できます。海外資産を対象にしているアクティブファンドの税抜き信託報酬の上限は1.5%なので、ギリギリセーフです。ええ、もちろんそれを踏まえて1.48%にしたはずです。

運用コスト

決算日の関係で、すでに第1期運用報告書が公開されています。次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。ひふみ投信と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

ひふみワールドは隠れコストが高いです。トータルコストで見ると、ひふみ投信の倍以上です。

次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

ひふみ投信とひふみワールドでは海外資産比率が大きく違うので、多くの費用は同列で比較できません。それでも高いです。

リターン比較

ひふみワールドの設定日直後を避けた、2019年10月21日から2020年9月4日で比較します。赤のラインはひふみワールド、緑のラインは比較対象です。青のラインはリターン差で、ひふみワールドー比較対象です。

スリム全世界株式(除く日本)とのリターン比較

ひふみワールドとスリム全世界株式(除く日本)のリターン比較グラフ

株価暴落前はスリム全世界株式(除く日本)に劣後してしていましたが、株価暴落からの回復はひふみワールドの方が速く、好調です。

スリム米国株式(S&P500)とのリターン比較

ひふみワールドとスリム米国株式(S&P500)のリターン比較グラフ

株価暴落前はスリム米国株式(S&P500)に劣後してしていましたが、株価暴落時の下落率はひふみワールドの方が低く、底値からの回復もひふみワールドの方が速いです。が、スリム全世界株式(除く日本)のような大きな差を付けられてはいません。

ひふみ投信とのリターン比較

この比較期間だと互角ですね。

楽天米国レバレッジバランスとのリターン比較

レバレッジ型バランスファンドと比較するのはひどいですか?運用コスト差を考えれば許せるでしょう。

次は楽天米国レバレッジバランスの設定直後を避けた、2019年11月20日から2020年9月4日までの比較です。赤のラインが楽天米国レバレッジバランスです。また、縦軸のスケールを変えています。

ひふみワールドと楽天米国レバレッジバランスのリターン比較グラフ

この比較期間だと楽天米国レバレッジバランスの好調さが目立ちます。もちろん将来どうなるかは分かりません。

厳しい売れ行き

次はひふみワールドの設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は159億円です。

ひふみワールドの設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

事前募集により、設定日の純資産総額は51億円でした。設定後しばらくは順調な資金流入が続きましたが、2020年4月以降は頭打ちです。

次はひふみワールド+の設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は679億円です。

事前募集により、設定日の純資産総額は249億円もありました。でも設定後まもなく頭打ちの傾向を見せます。金額は大きいものの、よくあるダメパターンです。2020年7月からは資金流出傾向でしたが、8月は少し盛り返しています。

株価暴落後の投資家の行動を見ていると、投資資金は豊富にあって高いリターンが期待できるものは経済状況とは無関係に売れている、投資されている印象です。そのため、ひふみワールド、ひふみワールド+の資金流入が頭打ちになったのは、パフォーマンスが期待値に届いていないからだと想像します。

評価:様子見がいいのでは

ひふみワールドは信託報酬が高い上に、第1期特有の事情があるとしても隠れコストが高いです。そのためトータルコストは2.5%程度と引いちゃうぐらい高額です。そして現状では、それだけのコストに見合うパフォーマンスが出せていません。

資金流出入の様子から、ひふみワールドに興味を持っている受益者が現状のパフォーマンスに満足していないことが伺えます。

国内株式への投資をメインにしているひふみの実力はよく知られています。時代が変われば過去の実績が通用しなくなるわけですが、それでも実績があります。一方のひふみワールドは海外資産のみへの投資を行う、新しい試みです。実績は、ありません。レオス・キャピタルワークスなら上手くやってくれるだろうという、期待値だけですね。

その期待値と現在の高い運用コストが見合うかどうかですが、僕は様子見でいいと思います。でも本当に高い利益を得る人って今のような不調な時からしっかり投資をし、潮目を見て全額売却するわけです。ええ、誰でもができる芸当ではありません。

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