国内株式

ひふみ投信、ひふみプラス、ひふみ年金の運用コストと評価

ひふみは参考指数であるTOPIXを、大きくアウトパフォームする状態が続いていましたが、人気はそこそこでした。が、2017年2月に放映されたTV番組「カンブリア宮殿」をきっかけに急激に売れ始めます。

でもその高い、素晴らしいパフォーマンスは(人気が出始めてから)長く続きませんでした。2018年2月からのパフォーマンスは凡庸で、TOPIXに劣後することさえありました。最近は好調さを取り戻しつつありますが、それでも資金流出が止まりません。

日本を代表するアクティブファンド「ひふみ」

レオス・キャピタルワークスが運用している「ひふみ」は日本を代表するアクティブファンドです。販路を変えた3商品がありますが、マザーファンドは同じです。

ひふみ投信

2008年10月1日に税抜き信託報酬0.98%で設定されました。レオス・キャピタルワークス専売商品です。設定来、信託報酬は引き下げられていませんが、「資産形成応援団」という、ひふみ投信を5年以上保有している受益者に還元するサービスがあります。(2018年10月に開始されました。)

5年以上の保有で保有資産額に対して年0.2%、10年以上の保有で年0.4%分の金額で、ひふみ投信を年2回買い付けてくれます。つまり、ひふみ投信の受益者権数で還元してくれるわけです。

資産形成応援団の説明図

引用:ひふみ投信

どうやって管理しているかは分かりませんが、還元は5年または10年以上保有している受益者権数を元に行われます。よって、1万円だけ買って5年放置後に、100万円買い増ししても、還元対象になるのは1万円で買えた受益者権数分だけです。それでも、素晴らしい制度だと思います。

ひふみ投信はつみたてNISA適格です。もちろん「指定インデックス投資信託以外」でです。

ひふみプラス

2012年5月28日に税抜き信託報酬0.98%で設定されました。一般販売用商品です。設定来、信託報酬は引き下げられていませんが、純資産総額が500億円または1,000億円を超えると、超えた部分の信託報酬が漸減される仕組みがあります。

引用:ひふみプラス

スリムシリーズの受益者還元型信託報酬制度は、信託報酬が安すぎるために漸減率が極小で、ほぼセールストーク目的の制度になっています。でも、ひふみプラスの漸減率は十分高く、受益者は実際にその恩恵を享受できています。

次はひふみプラスの信託報酬が漸減される様子です。ひふみプラスの純資産総額は、ピーク時から減ったとは言え4,960億円もあり、税抜き信託報酬は0.81%程度です。約17%の割引率です。(そうは言っても信託報酬が高額だからこそできるわけですが。)

ひふみプラスの信託報酬が漸減される様子のグラフ

ひふみプラスはつみたてNISA適格です。もちろん、アクティブファンド枠です。

ひふみ年金

2016年10月3日に税抜き信託報酬0.76%で設定されました。確定拠出年金専用です。受益者還元のための制度はありません。人気商品で、金融機関の取り分も税抜き0.355%と高いので、多くの金融機関で扱われています。SBI証券はオリジナルプランとセレクトプランの両方で扱う厚遇ぶりです。

イオン銀行、信金中央金庫、住友生命保険、ソニー銀行、
大和証券、野村證券、松井証券、マネックス証券、auカブコム証券、
SBI証券(セレクトプラン)、SBI証券(オリジナルプラン)、
北陸銀行、百五銀行、池田泉州銀行、福岡銀行
出典:iDeCoナビ

ちなみに、スリム米国株式(S&P500)の金融機関の取り分は税抜き0.034%です。ひふみ年金の1/10です。

運用コスト

次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。

運用報告書から計算したトータルコスト表

ひふみプラスのトータルコストは、現在の純資産総額では、0.9873%程度になります。

隠れコストは高くはないです。が、運用報告書にある数値は、有価証券取引税がゼロです。それって本当なの?記載しなくていいの?って思ってしまいます。

次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

ひふみの運用コストは、総じて、びっくりするほど高くはないと言えます。この運用コストで2017年までのパフォーマンスなら誰も文句は言わないレベルですね。問題は、その素晴らしいパフォーマンスを維持するのが簡単ではないことです。そして、パフォーマンスが冴えないと、運用コストが恐ろしく高いものに思えるのです。

海外株式にも投資します

ひふみは2017年5月までは海外株式には投資していませんでした。が、2017年6月以降、海外株式にも投資するようになりました。次はその投資比率の推移です。

海外株式への投資比率の推移グラフ

3%程度から始めて、12%程度を維持していましたが、直近では15%を超えるようになりました。

設定来、長い間国内株式のみに投資してきたのに、海外株式にも投資するようになった背景には、純資産総額が増えすぎたこともあると思います。でも受益者から見れば、パフォーマンスさえ高ければどこに投資しようが気にしない、かも知れません。

リターン比較

ひふみは高コストなアクティブファンドですから、ローコストインデックスファンドとなら何と比較しても文句は出ないでしょう。

ニッセイTOPIXオープンとのリターン比較

ひふみは元々国内株式を投資対象にしたアクティブファンドでした。爆発的に売れるようになってから、海外資産にも投資するようになりましたが、それでも参考ベンチマークはTOPIXです。そのため、TOPIX連動ファンドと比較するのはごく自然なことです。

次はひふみ投信の設定直後を避けた、2008年10月20日から2020年8月28日までの、ニッセイTOPIXオープンとの比較です。

2008年10月20日から2020年8月28日までの、ニッセイTOPIXオープンとのリターン比較グラフ

赤のラインがひふみ投信です。暴力的な差が生まれています。10年程度でリターン差は300%ポイントに達しています。つまり4倍差です。

ところが、ひふみ投信が絶好調だったのは2018年年初までだったのです。次は2017年年初からの比較です。

2017年年初から2020年8月28日までの、ニッセイTOPIXオープンとのリターン比較グラフ

リターン差を示す青のラインは、2018年に上昇が止まり、停滞しました。それはTOPIXとリターンが変わらなかった、時には劣後していたことを意味します。2020年2月の株価暴落後は、TOPIXよりリターンが高いです。

次は2018年年初からの比較です。

2018年年初から2020年8月28日までの、ニッセイTOPIXオープンとのリターン比較グラフ

ひふみ投信の低迷の様子が良く分かります。

eMAXIS先進国株式とのリターン比較

次はeMAXIS先進国株式の設定直後を避けた、2009年11月20日から2020年8月28日までの、ひふみ投信との比較です。

2009年11月20日から2020年8月28日までの、eMAXIS先進国株式とニッセイTOPIXオープンのリターン比較グラフ

ひふみ投信の2015年から2017年までは圧倒的でした。でもその後は大したことないです。

次は2017年年初からの比較です。

2017年年初から2020年8月28日までの、eMAXIS先進国株式とニッセイTOPIXオープンのリターン比較グラフ

2018年以降は、高い運用コストを負担する価値があまり感じられません。

VOOトータルリターンとの比較

S&P500種指数に連動するVOOと比較するのはパワハラになりますか。次はVOOトータルリターン(配当再投資後、円換算)とひふみ投信の、2011年以降の比較です。

VOOトータルリターンとひふみ投信のリターン比較グラフ

2015年までは互角でした。2016年からひふみ投信は素晴らしいパフォーマンスを発揮しましたが、それも2018年年初で終わりました。その後は、超ローコストのS&P500インデックスファンドが買えるようになったこともあって、S&P500でいい人にとっては、ひふみ投信は魅力的でなくなってしまいました。

絶頂から試練の時へ

次はひふみシリーズ3商品の、設定来の資金流出入額の累計の推移です。

ひふみシリーズ3商品の、設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

赤のラインがひふみ投信、緑のラインがひふみプラス、青のラインがひふみ年金です。赤の矢印の位置で、テレビ東京の番組「カンブリア宮殿」で紹介されてから、急激に売れ始めました。ところが絶頂期は長くは続かず、パフォーマンスの低迷と共に頭打ちから資金流出に転じました。

ひふみ投信とひふみプラスは資金流出が止まりません。最近のパフォーマンスはTOPIXに勝っているにも関わらずです。

ひふみ投信

次は2015年年初からの、ひふみ投信の資金流出入額の累計の推移です。2019年9月から資金流出傾向が続いています。

2015年年初からの、ひふみ投信の資金流出入額の累計の推移グラフ

ピーク時に1,506億円あった純資産総額は、現在1,294億円です。

ひふみプラス

次は2015年年初からの、ひふみプラスの資金流出入額の累計の推移です。2019年9月から資金流出傾向が続いています。

2015年年初からの、ひふみプラスの資金流出入額の累計の推移グラフ

ピーク時に6,686億円あった純資産総額は、現在4,960億円です。

ひふみ年金

次は設定来の、ひふみ年金の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は355億円です。

一時頭打ちになりましたが、現在は盛り返しています。また、ラインがギザギザしているのが分かると思います。

次は直近2年間の、営業日ごとの資金流出入額の推移です。

ひふみ年金の直近2年間の、営業日ごとの資金流出入額の推移グラフ

iDeCoの約定日に高いトゲがあります。トゲの高さはそれほど変わっていないので、資金流入量は微減だったと思います。が、スイッチングによって他の商品に乗り換えた受益者もそこそこいたと推測できます。

売上高推移

次はレオス・キャピタルワークスがひふみ投信、ひふみプラス、ひふみ年金から得られる税抜き売上高の推移です。毎営業日の純資産総額から、レオス・キャピタルワークスの取り分を年額に換算したものです。いんちきしないで丁寧に計算しています。

レオス・キャピタルワークスがひふみ投信、ひふみプラス、ひふみ年金から得られる税抜き売上高の推移グラフ

カンブリア宮殿放映前は7億円程度でしたが、そこからガンガン上昇して1年後には30億円を超えました。最近は資金流出傾向ですが、それでも売上額は30億円以上あります。

次はレオス・キャピタルワークスの営業収益推移です。上のグラフから得るイメージに一致しています。

レオス・キャピタルワークスの営業収益推移

引用:Suik

評価

僕はアクティブファンドに否定的なので、割り引いて解釈してください。

潜在的なリスク

ひふみはアクティブファンドです。一般的に言われている株式の期待リターン5%程度を大きく超えるパフォーマンスを、かなり長期間達成できたのは本当に凄いと思います。が、僕は高いパフォーマンスを実現しているアクティブファンドにはインデックスファンドとは質の異なる潜在的なリスクがあると思っています。

現在、ひふみはその潜在的なリスクと戦っている最中ではないでしょうか。

実際にどうなるかはその時になってみないと分かりません。10年後、20年後になってもひふみに投資した人は自分の選択が正しかったことを喜び、ひふみを避けた人は自分の選択を(少しは)後悔するかも知れません。

つみたてNISAだけはやめましょう

NISAも同じなんですが、非課税枠を活かすためにはNISAは5年、つみたてNISAは20年ガチホしないといけません。もし途中で基準価額が大きく下がってまずいと思い売却することになると、せっかくの非課税枠を無駄にしてしまいます。特につみたてNISAは20年です。20年後にひふみがどうなっているか想像できますか?僕はつみたてNISAでひふみを買うのはやめるべきだと思います。

つみたてNISAは20年ガチホできる良質なインデックスファンドを選ぶべきです。

ひふみ年金は

確定拠出年金は、その口座がある金融機関が扱っている対応商品へは課税されることなくスイッチングできますから、基準価額が下がり始めてまずいと思ったら普通のインデックスファンドなどに切り替えてしまえば被害を最小限に抑えることは可能です。ただし、そのためには相場、市場の動向を気にしていなければなりません。投資を趣味にしている人ならともかく、一般人には難しいと思います。なのでひふみ年金はやめた方がいいです。

一番賢かった受益者は

2016年ぐらいからひふみに投資し、2018年年初の株価調整あたりで撤退(全額売却)した人は、大きな利益を手にできたはずです。

次は2016年年初から毎月初に5万円をひふみプラスに積み立て、2018年1月末に全額売却した場合のシミュレーションです。

2016年年初から毎月初に5万円をひふみプラスに積み立て、2018年1月末に全額売却した場合のシミュレーション結果

2年と1ヶ月の積み立てで、利益率は41.9%でした。でもこういうことは鋭い感覚と運に恵まれないと無理です。

好きな人は上手に活用すればいいのでは

ひふみは過去に素晴らしいパフォーマンスを実現しました。だからこそ急激に純資産総額を増やせたわけですが、そのことや、中小型株から大きな利益を得るのが難しくなってきた時代背景もあり、2018年後半以降のパフォーマンスは凡庸です。

何も考えずに長期投資で、その投資対象の期待リターンを追求するのであれば、ローコストで良質なインデックスファンドの方が圧倒的にいいと思います。が、アクティブファンドが好きな人で、インデックスファンドの期待リターンでは物足りないという場合は、ひふみ(のようなアクティブファンドを)上手に活用すればいいと思います。

ひふみの人気の衰えはアクティブファンドの運命なのか

ひふみは、過去のパフォーマンスが素晴らし過ぎたため、信念のない、「いなご」と揶揄される人たちが群がった感じがありました。その人達は、パフォーマンスが悪くなると慌てて解約する傾向が強いのかも知れません。

長い期間で見た場合、生き残れるアクティブファンドは少ないと言われます。高い信託報酬に見合った、魅力的なパフォーマンスを発揮し続けるのは難しいのです。それについては、好き嫌いも含めて意見が分かれるところです。

現在、もしかしたら、ひふみはあるべき姿に変身中なのかも知れません。信念のない受益者を淘汰しているのです。

パフォーマンスが悪くなっても積立投資を継続できる、信念を持った受益者が残れば良いと思います。アクティブファンドは規模が大きくなりすぎると、流動性の制約がパフォーマンスを劣化させると言われているからです。

信念を持った、芯のしっかりした受益者だけが残れば、株価暴落から回復した時に本来のパフォーマンスを発揮できるかも知れません。(そういう雰囲気は確かにあります。)そうするとまた別の世代のいなごが群がって元の木阿弥にならないとも限りませんが。

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