新興国株式

iFree新興国株式の運用コストと評価

つみたてNISAで認定されている、単独で組成可能な新興国株式指数(ベンチマーク)は3種類あります。一番人気はMSCIエマージング・マーケットで、つみたてNISA適格商品12本中、10本がこのベンチマークを採用しています。iFree新興国株式は、つみたてNISA適格商品で唯一、FTSE RAFIエマージング・インデックスを採用しています。

iFree新興国株式

2016年9月8日に税抜き信託報酬0.34%で設定されました。新興国株式インデックスの最安水準でした。その約11ヶ月後にスリム新興国株式が同率で設定されました。

iFree新興国株式は設定来、信託報酬を引き下げていません。

FTSE RAFIエマージング・インデックス

iFree新興国株式のベンチマークはFTSE RAFIエマージング・インデックスです。目論見書にはこうあります。

FTSE RAFIエマージング・インデックスの説明

引用:目論見書

FTSE RAFIエマージング・インデックスは、MSCIエマージング・マーケットのように投資対象を時価総額比で決めません。これは人によって好みが分かれるところでしょう。

スリム新興国株式とiFree新興国株式の月次報告書によると、投資対象国、銘柄数に大きな違いがあります。

MSCIエマージング・マーケットとFTSE RAFIエマージング・インデックスの違いの表

FTSE RAFIエマージング・インデックスは相対的に分散されていないと言えるでしょう。でも分散されている方がいいということではありません。

次は投資国の上位比較です。

MSCIエマージング・マーケットとFTSE RAFIエマージング・インデックスの投資国上位比較表

FTSE RAFIエマージング・インデックスは韓国に投資しません。投資割合の観点ではこの違いが大きいでしょうか。また、FTSE RAFIエマージング・インデックスはアメリカに12.3%投資していますが、これはInvesco FTSE RAFI Emerging M ETFなどの保有比率であって、アメリカにそれだけ投資しているわけではありません。

iFree新興国株式のトータルコスト

次は運用報告書から計算したトータルコストです。スリム新興国株式と比較しています。

運用報告書から計算したトータルコスト表

ベンチマークが異なるので、同じ土俵での比較はできませんが、iFree新興国株式は隠れコストが高いです。トータルコストで見ると0.3%ポイントを超える差があります。iFree新興国株式にそれだけのコストを払ってまで、FTSE RAFIエマージング・インデックスに投資する価値があるかどうか、という判断をするのがいいと思います。

次は隠れコストの明細です。

隠れコストの明細表

iFree新興国株式は全体的に高いです。

iFree新興国株式は現物株運用ではありません

iFree新興国株式の目論見書には次のように書かれています。

効率性の観点からFTSE RAFI エマージング インデックスとの連動をめざすETF(上場投資信託証券)に投資する場合があります。

引用:目論見書

これは現物株だけでなく、ETFも売買しますよ、と言っています。目論見書に明記されているので何ら問題はないわけですが、重要なことなので気にした方がいいです。

売買しているのはInvesco FTSE RAFI Emerging M ETFなどです。次はそのETF比率の推移です。

iFree新興国株式のETFの比率表

大きく変動しています。グラフにプロットすると傾向がつかめます。

iFree新興国株式のETFの比率グラフ

ETFを買い増しし、ある比率を超えたら売却、再度買い始めているように見えます。iFree S&P500の運用にそっくりです。

目論見書に明記されていることなので、現物株とETFの併用自体は問題ありません。が、ベンチマークへの連動性は、現物株運用のものより仕組み的に劣るのではないでしょうか。

なお、スリム新興国株式は現物株運用で、ETFは買っていません。

MSCIエマージング・マーケットとどちらがいいか

新興国株式に投資したい場合に、選択肢の豊富な(でもスリム新興国株式一択ですけど)MSCIエマージング・マーケットがいいのか、FTSE RAFIエマージング・インデックスを採用しているiFree新興国株式がいいのか、判断に迷うかも知れません。

次はiFree新興国株式の設定直後を避けた、2017年9月26日から株価暴落開始直前の2020年2月20日までの、eMAXIS新興国株式とのリターン比較です。

2017年9月26日から2020年2月20日までの、eMAXIS新興国株式とのリターン比較グラフ

青のラインはリターン差で、iFree新興国株式ーeMAXIS新興国株式です。この比較期間だと青のラインはプラス圏内にいることが多いですが、この様子だとどちらがパフォーマンスが高いかは時期による、と言えそうです。

もっと長い期間で比較したいのですが、iFree新興国株式の実データは存在しません。そこで、ベンチマークが同じETFの実績を参照します。そういうマニアックな話はいいやって方は、ここまで飛ばして下さい。

PXHトータルリターンとの比較

FTSE RAFIエマージング・インデックスに連動するETFにインベスコ社のPXHがあります。次はPXHの配当金を再投資したトータルリターンと、iFree新興国株式の比較です。

PXHトータルリターンとiFree新興国株式の比較グラフ

青のラインはPXHトータルリターンーiFree新興国株式です。青のラインが大きく暴れていますが、新興国株式だとまあこんなものです。暴れは無視してください。

PXHの経費率は0.5%、iFree新興国株式のトータルコストは0.69%程度なので、青のラインの傾向は右肩上がりになるのが期待値です。

次はPXHトータルリターンの運用コストを年率0.3%ポイント増量したものとの比較です。

PXHトータルリターンの運用コストを年率0.3%ポイント増量したものとの比較グラフ

青のラインの傾向は右肩上がりでも右肩下がりでもなくなりました。これを仮想iFree新興国株式とします。

eMAXIS新興国株式の設定来からのリターン比較

次はeMAXIS新興国株式の設定直後を避けた2009年11月20日からの比較です。

eMAXIS新興国株式の設定直後を避けた2009年11月20日からの比較グラフ

青のラインはeMAXIS新興国株式ー仮想iFree新興国株式です。この比較期間だとeMAXIS新興国株式の方がパフォーマンスが高いです。

2014年年初からのリターン比較

次は2014年年初からの比較です。印象が大きく変わります。

2014年年初からのeMAXIS新興国株式と仮想iFree新興国株式のリターン比較グラフ

いい勝負です。どちらがパフォーマンスが高いかは時期によります。

勝負はとっくに付いています

次はiFree新興国株式の設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は32.19億円です。

iFree新興国株式の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

一定のペースで増えています。でもスリム新興国株式もプロットすると、もうとっくに勝負が付いていることが分かります。

iFree新興国株式とスリム新興国株式の設定来の資金流出入額の累計の推移グラフ

結論:FTSE RAFIエマージング・インデックスにこだわらないなら、おすすめしません

FTSE RAFIエマージング・インデックスにこだわりがあるなら、iFree新興国株式一択です。運用コストはスリム新興国株式より明らかに高いですが、優先すべきはベンチマークです。

新興国株式に投資したいけど、ベンチマークにこだわりがないのなら、スリム新興国株式がおすすめです。

  • 運用コストが安い。
  • 人気(純資産総額)が高い。

スリムシリーズが嫌いなら、MSCIエマージング・マーケットに連動する他の商品から選ぶといいでしょう。

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