投資信託は買って終わりとならない、難しい商品です。10年、20年という長期間保有し続ける可能性がありますが、その間に信託報酬が下がるか、不人気で純資産総額が激減してしまい、繰上償還されないかなど、不確実なことも気になります。
もちろん、未来のことは分かりませんが、少なくとも、これまでどうだったかは良い判断材料になります。
- これまで信託報酬引き下げに積極的だったか。
- 人気の獲得に成功できているか。(安定した資金流入が続いているか。)
- 純資産総額は十分か。
その観点では、iFree TOPIXは厳しいです。
iFree TOPIX
2016年9月8日に税抜き信託報酬0.190%で設定されました。単独最安値でした。その後3回引き下げられており、現在の0.140%はスリム国内株式(TOPIX)などと並んで最安水準です。
次は信託報酬引き下げ履歴です。
iFree TOPIXはつみたてNISA適格です。
運用コスト
次は運用報告書から計算した運用コスト(トータルコスト)です。スリム国内株式(TOPIX)と比較しています。
隠れコストは十分に安いです。運用報告書から計算したトータルコストは、スリム国内株式(TOPIX)と変わりません。
スリム国内株式(TOPIX)とのリターン比較
iFree TOPIXとスリム国内株式(TOPIX)の税抜き信託報酬が0.140%で並んだ、2019年6月13日から、2020年8月21日までで比較します。
青のラインはリターン差で、iFree TOPIXースリム国内株式(TOPIX)です。ほとんど差がありません。株価暴落後の段差も極小です。
eMAXIS TOPIXとのリターン比較
次はeMAXIS TOPIXとのリターン比較です。iFree TOPIXの設定直後を避けた、2016年10月3日から2020年8月21日までです。
eMAXIS TOPIXの税抜き信託報酬は設定来0.40%のままです。青のラインの形状は期待値ほどきれいではないですが、まあこんなものでしょう。次は同じ期間における、ニッセイTOPIXとeMAXIS TOPIXの比較です。
株価暴落時に青のラインが凹んでいるのは正常です。この比較結果から、iFree TOPIXの運用に問題視されることはなかったと判断します。
不人気です
次は設定来の資金流出入額の累計の推移です。純資産総額は20.58億円です。
頭打ちにはなっていないものの、安定した資金流入とは言えないです。信託報酬が同率のニッセイTOPIXとスリム国内株式(TOPIX)もプロットすると、iFree TOPIXの現状の厳しさが良く分かります。
iFree TOPIXは信託報酬の引き下げに積極的でしたが、これがiFreeシリーズの人気の実力なのか、とても生き残れるとは思えないです。
評価:不人気なのでおすすめしません
iFree TOPIXの運用コストはニッセイTOPIX、スリム国内株式(TOPIX)と変わりませんし、信託報酬引き下げに積極的でした。ところが人気の獲得に失敗しており、将来に不安があります。それは、圧倒的な純資産総額を集めるしか利益を確保する手段のない、超ローコストファンドの生き残りをかけた競争において、勝ち残れるのは1ジャンルあたり2本か多くて3本と考えているからです。iFree TOPIXがその3本に入るのは、現状の人気では不可能に思えます。
他の条件が同じなら、人気商品を選ぶのが賢明です。